こんちゃんさんの園芸日記
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デンドロの花芽分化について

2013/11/22
デンドロの花芽分化について 拡大 写真1 デンドロの花芽分化について 拡大 写真2 デンドロの花芽分化について 拡大 写真3

デンドロビューム・ノビル系の品種は、花芽分化のために、低温が必要であることは、多くの方がご存知だと思います。
品種によって、必要とする低温量に差はあるようですが、概して、13~14℃以下の低温に、約300時間遭遇すると花芽分化すると言われています。

秋に気温が下がると、この低温に遭遇することになりますが、昼間に気温が上昇することを考えると、日数で言えば、約3週間ということになります。
時期で言えば、日本全国、気候条件に差がありますが、11月中旬くらいには、多くの地域で、必要な低温量を満たしていると思われます。
また、暖房している室内でない限り、室内に搬入した後でも低温に遭遇することになるので、その場合は、必ずしも秋遅くまで屋外で低温に当てる必要は無いということも言えます。
特に、秋遅くまで屋外で管理する場合には、過湿を避け、潅水量に注意し、雨が当らないように管理しないと、根腐れを引き起こす原因になり、そのために、最悪の場合、翌春は高芽ばかり発生する・・・ということもあるので注意が必要です。

さて、上記では、花芽分化に必要な低温量について記述しましたが、十分な低温を当てたからといって、必ずしも花芽分化するものではありません。
その前提となるのは、バルブの充実度合いです。

デンドロに限らず、どの植物でも、その植物の体に花芽を作る能力が備わっていなければ、花芽分化に必要な条件を与えても、花芽を分化することはありません。
植物の体に花芽を作る能力が備わることを、「花熟」と言いますが、デンドロの場合は、バルブが充実していることが、「花熟」に達しているかどうかの判断の目安となります。
つまり、栄養生長(葉を次々と展開し、バルブが伸びる)→止め葉(バルブ先端の最後に出た葉)が出る→バルブが充実する(花熟)→低温遭遇→花芽分化→花芽の発達→開花・・・の順になります。

バルブの充実は、バルブ先端部の太り方や、バルブの色などが判断の目安となります。
バルブの先端までよく太っていることが、先端まで花を着けさせる秘訣になります。
ただし、比較的太りやすい品種と、そうでない品種がありますので、バルブの先端に丸みがあるかどうかを見て判断すればよいと思います。
カメラ②充実したバルブ。先端まで太り、丸みがある。
カメラ③充実前のバルブ先端部。

また、「あめ色になる」とも言われますが、これについても品種間差があるので、旺盛に生長していたときよりも、バルブが黄色味を帯びた色になったかどうかで判断すればよいと思います。

このバルブの充実についてですが、注意しなければいけないのは、必ずしも低温に当てると充実するというものではありません。
上記に示したように、花芽分化のためには、低温に当てる前には、既にバルブが充実しておく必要があるのです。
バルブの充実も、デンドロにとっては生育の一過程ですので、充実の遅れている株にとっては、生長に適さない秋の低温は、むしろバルブの充実を遅らせる結果にもなりかねません。
この場合には、秋に屋外で低温に当てることは、むしろ花付きには逆効果になっている可能性もあります。

十分に低温に当てたにも関わらず、花付きが悪い・・・のは、バルブが充実していない段階にも関わらず、秋の低温に長く当ててしまったことが、原因の一つである可能性が考えられます。
つまり、バルブの充実が不足している株については、早めに取り込み、暖かい場所で管理し、バルブが充実してから、涼しい低温の場所で花芽分化を促した方が、結果としては、花付きをよくすることに繋がります。
従って、どの株も一律に、屋外で秋遅くまで低温に当てることは、適切な管理とは言えないようです。

ただし、屋外、室内に関わらず、デンドロは光を好むランですので、生育期間を通して、強く遮光し過ぎないよう、十分に光を当てて管理することが、花付きを良くするための前提となります。

最後に、デンドロは、品種により、大きく分けて、当年バルブに着花する品種と、前年バルブに着花する品種があります。
最近では、生産性を高めるために、多くの品種で、当年バルブに着花する性質の品種が主流となっており、前年バルブに着花する古いタイプの品種は見かけなくなってきましたが、例えばユキダルマのように、僅かながら、後者に該当する品種も作られています。
前者では、バルブの充実が遅れた場合、当年バルブの下部と前年バルブの上部に着花し、また、後者でも、逆にバルブの充実が早かった場合には、同様の咲き方をします。
こうした品種の違いは、「花熟」に要する期間の品種間差によるものと考えられます。

「デンドロの花芽分化について」関連カテゴリ

みんなのコメント(14)

こんばんは

いつも思うのですが、良く分かるように書いてくれるので勉強になります。こういう風に説明できるといいなといつも思います。
さすがですね。

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こんばんは

花熟や低温量という言葉も初めて聞きました。
なるほどそういう概念があるんですね。

開花するまでの必要なステップもよくわかりました。
逆にこのステップを理解していれば、デンドロは葉やバルブの大きさや色など植物からのサインで、次にどうすればよいか分かりやすいとも言えるのかな。

ありがとうございます。
この頁evernoteに保存しとこうっとウィンク

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おはようございます

詳しく書いて下さってありがとうございます。
勉強になりました。
デンドロは育てていませんが、
オンシジウムの参考にさせて頂きます。<(_ _*)>

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おはようございます。

わかりやすく適切な説明、納得です。

昨年咲いた2種類のデンドロのうち、1種類は、昨年、下方の充実した部分だけ花が咲いて、上から2~3節は今年、花芽と高芽ができています。
今年のバルブはまだ花芽が見えないので、ドキドキ観察しつつ、楽しみに待ちます。

ありがとうございますぴかぴか(新しい)

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  • 写真
  • 2013/11/23

こんにちは

必要な低温量、その前にバルブの充実が必要なのですね。
どの株も一律に、屋外で秋遅くまで低温に当てることは、適切な管理とは言えないのですね。
もう一度我が家の株を見直してどのように管理すればいいか考えてみます。

優しく丁寧に解説してくださったので、とても分かりやすかったです。ありがとうございます。

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さいちぇんさん、こんにちは。

そう言って頂けると有り難いですね。
デンドロの花芽分化には低温に当てることが必要ですが、低温に当てさえすれば、デンドロの花芽分化が起こるというものではありません。
逆は必ずしも真ならず・・・ですねウィンク

季節柄、この話題が散見されますが、低温が必要なことだけがクローズアップされ、肝心なことが意識されていないように思いましたので、採り上げてみました。

・・・にしても、文章が長過ぎ~~~げっそり
さいちぇんさんの、簡潔にまとめる能力が欲しいですうれしい顔

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marumushiさん、こんにちは。

「花熟」の意味を知ると、他の植物でも、なるほど・・・と思うことがあるかもしれませんねわーい(嬉しい顔)

余談ですが、「桃栗三年、柿八年」と言われますが、これを園芸学的に説明すると、「花熟に要する年数は、植物の種により異なっており、桃や栗は3年、柿では8年を要する」・・・となりますうれしい顔

低温量は、低温要求量と書いた方がよかったかな~わーい(嬉しい顔)

いずれにしても、植物の状態を観察して、それに応じた管理を行うことが必要ということですねウィンク

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風葉子さん、こんにちは。

オンシジュームも、日光不足にならないよう、健全に育つように管理することが大事ですねウィンク
ただし、残念ながら、オンシの場合は、低温の話は参考にはなりませんがく~(落胆した顔)

オンシは、品種のバリエーションが多くて、あまり詳しい開花生理を知りませんが、それぞれの品種で、日長に対する反応が異なっているのでは?と思います。
中には、二季咲きや不定期に咲く品種もあるので、そのような品種は、生育リズムなどが大いに影響しており、温度が花芽分化に直接的な影響を及ぼしてはいないのでは?と想像しますうれしい顔

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とらちゃんのしっぽさん、こんにちは。

思い当たる部分がありましたか・・・わーい(嬉しい顔)

デンドロは、比較的低温に強いランなので、あまり温度をかけずに育てれている方も多いのではないか?と想像していますが、ずっと低温で管理していると、春の生長開始が遅れ、それに伴い、生長の終わり(バルブの完成)も遅れ、結果、秋までにバルブが充実しないということになり易いと思います。
理想を言えば、春先は少しでも暖かくしてやり、新芽の生長を早めることが望ましいですね。

返信する

華さん、こんにちは。

「秋の低温に合わせること」が独り歩きし、低温に当てさえすれば花芽が付くように受け取れる説明が多いように思いましたので、詳しく書いてみました。
まずは、よく光に当て、健全に生育させること、バルブを充実させることが、何よりも重要ですね。

きちんと管理していませんが、私も、ノビル系デンドロの元祖であるノビル(Den.nobile)という原種を育てています。
屋外に出したことは無く、1年中温室内でカトレアと同居させているので、もちろん屋外の秋の低温には当てたことがありません。
しかしながら、温室の最低温度を12℃くらいにしていますので、光不足で花付きは少ないですが、春には開花してくれますよわーい(嬉しい顔)

華さんが、暖房の効いていない低温の場所で冬越しさせているのであれば、屋外で低温に遭わせる必要は全く無いかもしれませんね。
(光は必要ですよウィンク

返信する

こんばんは~

デンドロの花芽分化がよくわかりました。
株が充実していたら低温に当てて花芽分化を促すが充実していない株は暖かくしてバルブの充実を目指したほうがいいのですね。
家のデンドロは今年は2階のランの部屋にゆとりがないのでまだ2階のベランダで辛抱してもらっています。今のことろは昼間の気温が12~15度夜間は6,7度です。でも、実際に計ったわけではなく予報の温度です。昼間は今日の室温が24度でしたから外も20度はあったのではないかと思います。12月になったら室内に入れなければ・・・・場所が・・・悩みます。ふらふら

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オランジュリーさん、こんばんは。

屋外で秋の低温に遭わせることが必ずしも良い管理では無く、株の状態を見て、判断することが大切と言うことですねウィンク

今オランジュリーさんの置かれている場所なら、室内でも十分低温と感じる温度域なので、早めに取り込んでも、低温不足になることは無さそうですねわーい(嬉しい顔)

場所の問題は、お悩みですね。
オランジュリーさん所、ランがいっぱいだから・・・うれしい顔
でも、咲いたら嬉しいですよね指でOK

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こんばんは〜

ほぼ1年後に熟読させて頂きましたわーい(嬉しい顔)

なるほど〜〜。
とっても勉強になりました。
頭の中が、きちんと整理された感じになりました(笑)
今しばらくの時期がありますが、秋以降の参考に致します!

返信する

サクシュコトニさん、こんばんは。

コメント頂いているのを見逃してしまっておりまして、申し訳ありません。

デンドロの花芽分化には低温が必要なのですが、あまりにもそのことばかりが強調され、それ以前のバルブの充実については触れられていないことが多いように思いましたので、書いてみたものです。
参考になれば幸いです。

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