紙魚淑女さんの園芸日記
写真

他のプロフィール画像を見る

紙魚淑女さん  東京都
お気に入りメンバーに登録
2014年09月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
9

必死の最前線

2014/09/02
必死の最前線 拡大 写真1 必死の最前線 拡大 写真2 必死の最前線 拡大 写真3

フランチェスカが弾き飛ばされるように後方へ倒れた。
右眼の端で彼女が立ち上がってこないのを見ながら、
足元に広がった泥を捏ねるように、両足を踏ん張る。
耳元を真っ赤に燃えた鉄の粒が音を立てて掠める度に、
ばらついた解れ髪が、千切れるのが分かる。

飛び出した時真っ先に駈け出したのはアルベルトだ。
口元に妙に皮肉そうなそれでいて優しい微笑みを
貼り付けていた顔をテープの巻き戻し画面のように
思い出しながら背中を追い掛けてきたけれど 、
彼も突然、通電したように全身を震わせた後
ばったり前のめりに倒れるのを目の当たりにしてしまった。
私は声も出ない。

ジルベールとノーラと一緒に、昨夜寝る前に
ピカピカに磨き上げた銃弾が底を尽きかけているのを
手の重みで感じている。
ああ、やっぱり無理だったんだ。
私たちにはこの線を超える事は出来なかったんだ。

背合わせになっていたソフィアが「ぐぅっ」と
低い呻き声を上げた。
思わず、振り向いて倒れていく彼女の肩を掴むと、
物凄い勢いで、振り払われた。
「あなたが、これを持って行きなさい」
彼女が胸に抱えていた小さな包みを、
私の手の中に押し込んで
それきりソフィアは動かなくなった。

駄目だ。ここで止まったらやられる。
動くんだ。動き続けるんだ。
そのまま突き進むしかないんだ。
あの時、動き始めてから、
私たちはもう帰り道なんてないんだって知ってる。
深く長いトンネルへ列車が突入するように
破滅が待ち受けているかもしれないと分かってても、
止まる訳にはいかないんだ。
撃ち続けろ。
空になっても引き金を引き続けろ。


というような流れを、
来年度の命運をかけた喧々諤々の会議の真っ最中で
上司がどんどんボロボロになるのを見守りながら
眠気とやんごとなき欲求に耐えるために考えていたら、
後で上司に
「お前の真面目な姿勢がよかった」と言われた。

うん、私もそう思います。

「必死の最前線」関連カテゴリ

みんなの趣味の園芸にログイン/登録する

※コメントの書き込みには会員登録が必要です。

会員登録がお済みの方は

会員登録をすると、園芸日記、そだレポ、アルバム、コミュニティ、マイページなどのサービスを無料でご利用いただくことができます。

ピックアップ
定期購読
投稿募集中 from テキスト編集部
見て見て!お気に入りの花

見て見て!お気に入りの花
自慢の植物・庭の写真を募集中!

みんなのマルシェ

みんなのマルシェ
自慢の畑・野菜の写真を募集中!