フランチェスカが弾き飛ばされるように後方へ倒れた。
右眼の端で彼女が立ち上がってこないのを見ながら、
足元に広がった泥を捏ねるように、両足を踏ん張る。
耳元を真っ赤に燃えた鉄の粒が音を立てて掠める度に、
ばらついた解れ髪が、千切れるのが分かる。
飛び出した時真っ先に駈け出したのはアルベルトだ。
口元に妙に皮肉そうなそれでいて優しい微笑みを
貼り付けていた顔をテープの巻き戻し画面のように
思い出しながら背中を追い掛けてきたけれど 、
彼も突然、通電したように全身を震わせた後
ばったり前のめりに倒れるのを目の当たりにしてしまった。
私は声も出ない。
ジルベールとノーラと一緒に、昨夜寝る前に
ピカピカに磨き上げた銃弾が底を尽きかけているのを
手の重みで感じている。
ああ、やっぱり無理だったんだ。
私たちにはこの線を超える事は出来なかったんだ。
背合わせになっていたソフィアが「ぐぅっ」と
低い呻き声を上げた。
思わず、振り向いて倒れていく彼女の肩を掴むと、
物凄い勢いで、振り払われた。
「あなたが、これを持って行きなさい」
彼女が胸に抱えていた小さな包みを、
私の手の中に押し込んで
それきりソフィアは動かなくなった。
駄目だ。ここで止まったらやられる。
動くんだ。動き続けるんだ。
そのまま突き進むしかないんだ。
あの時、動き始めてから、
私たちはもう帰り道なんてないんだって知ってる。
深く長いトンネルへ列車が突入するように
破滅が待ち受けているかもしれないと分かってても、
止まる訳にはいかないんだ。
撃ち続けろ。
空になっても引き金を引き続けろ。
というような流れを、
来年度の命運をかけた喧々諤々の会議の真っ最中で
上司がどんどんボロボロになるのを見守りながら
眠気とやんごとなき欲求に耐えるために考えていたら、
後で上司に
「お前の真面目な姿勢がよかった」と言われた。
うん、私もそう思います。
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