8月29日夕刻に開催された、英国王立園芸協会日本支部(RHSJ)「サマーナイト・フォーラム2014」に参加しました。今回の話題はユリ。ゲストスピーカーのRHSユリ部会副委員長、アリスダー・アードさんは、ユリをタネから育てて咲かせるグリーンサム(Green thumb ※1)です。「英国・ユリの大家に聞く」というテーマのもと、日本からヨーロッパに渡ったユリの系譜について、愛情いっぱいの解説でした(サマーナイト・フォーラム2014の内容は、会報誌「RHSJ」10月号〈10・15発行予定〉に掲載される予定です)。
実は今回のフォーラムには密かな期待がありました。小生の愛読書の一つ、白幡洋三郎著『プラントハンター』の第6章に、明治期、日本のユリはイギリスを筆頭に欧米に愛好され、重要な輸出品目だったという内容が述べられているのですが、それを物語る何かと出合えるのでは、という期待です。
その瞬間はフォーラム後半、アードさんを囲んだユリ談義で訪れました。なんと、テーブルには明治中頃と昭和初期の、横浜植木による二つの美しいユリの図譜が……!?
当時、横浜植木など貿易会社は、カノコユリやヤマユリ、オニユリ等々を欧米に輸出していましたが、そのとき使用した外国向けユリの図譜の複製が登場したのです。100年以上も前に描かれたカラフルな画――ユリの園芸史に触れる図譜を何度もめくり返し、眺めることができました。
豪華な花が欧米の園芸ファンの心を奪った日本のユリ。フォーラム以来、来春にむけた秋植え球根を思い浮かべるとき、「バルブガーデン(※2)で花の歴史」といったコンセプトの球根選びもよいかもしれない、そう考える今日この頃です。
(写真左)
明治中頃の図譜「Lilies of Japan」に描かれた
カノコユリ(左)とオニユリ(右)の色鮮やかな画。
下のほうにカノコユリのLilium speciosum、
オニユリの別名Lilium tigrinumの文字が見える
【「Lilies of Japan」(1899〈明治32〉年刊、
横浜植木株式会社蔵・横浜開港資料館保管)
この資料は横浜植木株式会社が制作した、外国向けユリの図譜です】
(写真中)
カノコユリ Lilium speciosum(撮影:藤川志朗さん)
(写真右)
ヤマユリ Lilium auratum(撮影:牧稔人さん)
※1 グリーンサム(Green thumb)
直訳すると「緑の親指」。植物を育てるのが上手な人、園芸の才能。
※2 バルブガーデン
球根植物で作る庭のこと。バルブ=球根。
英国王立園芸協会日本支部
http://www.rhs-japan.org/
趣味の園芸ショップでは「秋植え球根大特集」でユリをはじめ様々な球根を販売中です。ぜひバルブガーデンに挑戦してください。
▼ 「秋植え球根 大特集」販売特設ページ
http://www.shuminoengei.jp/event/bulb-for-autumn-planting/
(元『趣味の園芸』編集長 原田)
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<9月16日メールマガジンにて配信>
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