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寒い季節、カンキツ類が活躍するのはなぜ!?

寒い季節、カンキツ類が活躍するのはなぜ!?
グレープフルーツの香りはどこか温かさを感じる

 ミカンをおいしく食べながら、NHK出版新書 『〈香り〉はなぜ脳に効くのか』(塩田清二著)を読んでいたところ、面白い内容が載っていました。

 

 この本は香りが人間の体にどのように作用するかを解説しているのですが、著者の昭和大学教授、塩田清二さんが総務省統計局家計調査データ(平成20~22年)を調べたところ、グレープフルーツの消費量で最も多いのは新潟市(年5,229グラム)、最も少ないのが宮崎市(年490グラム)だったそうです。さらに消費量トップ10は東北と関東、下位10位のうち8県が九州と四国だったそうです。

 

 塩田さんは、グレープフルーツの精油の香りを嗅ぐと、体を活発化させる交感神経が働き、脂肪を燃焼させて体の内部から熱をつくり出そうとして体温上昇が起こることから、寒い地域に暮らす人々は「体を温める作用」を求めてグレープフルーツを食べたくなるのではないか、とアロマセラピーの観点から解説していました (もちろん南国では他のカンキツ類の栽培が盛んでグレープフルーツの消費量が少ないということもあるでしょうが)。

 

 カンキツ類は人々を温かくする――そこで思い出したのがオランジェリーです。

 かつて、北西ヨーロッパでは鉢植えオレンジの栽培が貴族たちに好まれました。冬、寒くて日照が少ない北西ヨーロッパの人々にとって、温暖な南欧からやって来るオレンジは温かさを感じさせる 貴重な樹木だったようです。しかし庭植えでは冬、枯れてしまうことから、鉢植えで栽培し、加温して越冬させる温室、オランジェリーに憧れたという話です。

 

 グレープフルーツを多く消費する新潟県、オレンジを大切にした北西ヨーロッパ。カンキツ類を求める姿に洋の東西で共通点があるところに興味をおぼえます。

 

 さて、今年は22日が冬至。香り豊かな柚子湯で体も心も温まりたいものです。

 

(元『趣味の園芸』編集長 原田)

 

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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』テキスト元編集長の原田による園芸エッセイです。

寒い季節、カンキツ類が活躍するのはなぜ!?
ベルギーにあるラーケン宮のガラスの温室宮殿にあった 大きな鉢植えオレンジ(実が付いているのが見える)。貴族たちにとってオランジェリーはステータスシンボルだったという
寒い季節、カンキツ類が活躍するのはなぜ!?
庭先のキンカン。黄色の実が付いた姿は陽だまりが似合う

<香り>はなぜ脳に効くのか

2012年8月10日 発売 定価 799円 (本体740円)

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