フランス式彩色の古地図と最新技術の出会い~「歴史的農業環境閲覧システム」
11月18日~20日、東京ビッグサイトで開催された「アグリビジネス創出フェア」を見学してきました。
最先端の技術や研究がずらりと並ぶなかで、国立研究開発法人農業環境技術研究所による「歴史的農業環境閲覧システム」の展示の前で思わず足を止めました。どこか気になる古地図に惹かれたからです。
古地図は「第一軍管地方二万分一迅速測図」という、明治初年の関東地方の農地状況を描いたものでした。この古地図に現在の地理情報を加えて、関東地方130年間の土地利用の歴史的変化を俯瞰できるのが、「歴史的農業環境閲覧システム」だったのです。
このシステムを作成した農業環境技術研究所によると、明治10年の西南戦争の際、軍事作戦用の地図がないことを痛感した陸軍参謀本部は、直ちに地図作成にとりかかりました。そして出来上がった地図の一つが、関東地方の「第一軍管地方二万分一迅速測図」でした。当時、陸軍がフランスを模範としていたことからフランス式彩色地図になったそうです。
国立研究開発法人農業環境技術研究所は、明治26年(1893年)に設立された農商務省農事試験場に由来します。次代によりよい農業環境を伝えるべく、食の安心・安全にかかわる環境汚染物質、生物多様性の保全、あるいは農業活動に由来する環境負荷物質などの問題について、解明と解決に取り組んでいる研究機関だそうです。
「歴史的農業環境閲覧システム」が公開されている農業環境技術研究所のHPには、さらに「データベース・画像情報」というコーナーもあり、土壌や生物多様性・外来生物、微生物・小動物、昆虫等々の情報を見ることができます。興味のある方はアクセスしてみてください。参考になるデータが並んでいます。
取材協力:国立研究開発法人農業環境技術研究所
(元『趣味の園芸』編集長 原田)
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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』テキスト元編集長の原田による園芸エッセイです。