冬将軍の到来は天気図でわかる
まもなく冬至を迎え、庭の植物にも冬支度が必要な12月。家にこもりがちなこの時期は、新聞などの天気図から冬将軍の足音を読み解いてみませんか。気象予報士の片山由紀子(かたやま・ゆきこ)さんが解説します。
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冬将軍はどこから?
天気図には季節それぞれに名前がついています。一番有名なのが「西高東低の冬型の気圧配置」でしょう。日本列島を中心に、西側に高気圧、東側に低気圧があることから、こう呼ばれています。仕事で毎日、天気図を描いていると、寒さを感じるよりも冬型の天気図を見たときに冬がやってきたと思います。冬型が強まると、天気予報では「冬将軍がやってきた」といわれます。フランス皇帝ナポレオンが冬のロシア遠征に失敗したことに端を発し、「自分の辞書に不可能という文字はない」とまでいったナポレオンを打ち負かすほどの猛烈な寒さという意味合いがあります。でも、正式な気象用語ではなく、気象解説者によって使い方はまちまち、寒さのわりには大げさに用いる人もいて、首をかしげることも多いものです。
冬将軍の故郷、ロシア・シベリア地方は12月になると太陽がほとんど昇らず、凍てつく大地が広がります。真冬には氷点下50℃になることもあり、極寒の空気がシベリア高気圧をつくります。天気図の左上、中国大陸の北側に優勢な高気圧が姿を現したら、冬将軍に備えましょう。数日後には日本列島にやってきて、いちだんと寒さが厳しくなります。
冬の花の代表のように思われるパンジーやプリムラなどは、本来は春の花。植えつけたばかりのときは寒さに弱いものです。植えつける時期や、防寒の必要性を見極めるには、天気図も参考になると思います。
■『NHK趣味の園芸』連載「園芸家のための天気予報」2014年12月号より