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どんな鉢が多肉には向いてるか?

2018/04/04
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もちろん多肉つっても千差万別、産地も世界中あちこちに散らばり その性質もいろいろ、この鉢がいいとは一概にゃ言えない。

現代の多肉植物の世界は、昔のようにサボテンのオマケのような位置に甘んじてはいない。
いわゆる「多肉女子」と呼ばれる多肉好きの(比較的若い)女性たちが徐々に増え、今や静かなブームと云われるまでになった。

ミニサボテンや「かわいい」多肉植物を部屋に飾り、あたかもインテリアかオブジェの如くそれを楽しんでる。

業者もこのチャンスは指をくわえて見逃しはしない。
世界中のありとあらゆる多肉をかき集め、彼女らの需要に応えるべく市場へ大量に送り出してる。

かつては図鑑でしか見た事のない珍種が園芸店の店頭に並んでるのを見かけて大いに驚くこともしばしばである。


かつてセントポーリアがブームになったのを覚えておられようか?

あの当時も女性(老いも若きも)がセントポーリアを室内に置いて楽しんでた。
中にゃ室内にビニール製のミニ温室を設え、あの淡い紫色の「植物育成用蛍光灯」を点けて栽培してる本格派もいた。

しかし、今やセントポーリアを栽培してる一般の人はひとりも見掛けない。

願わくは、今度の多肉ブームはあの一時的なセントポーリア流行の二の舞いを演じてもらいたくない。
ブームが冷えて、捨てられたり忘れ去られて枯れてゆく植物が不憫ではないか。

とくに多肉は一見水やりなどの手間が省けて世話がかからないと思いがちだが、実際はけっしてそうではない事は読者諸姉・諸兄はよく御存知だろう。

そりゃたしかに剛健な種は、軒下に周年ほったらかしにしてても成長もし花も咲く。
しかし、「かわいい」と思って通勤帰りに駅ビルの花屋の店頭で衝動買いした多肉がすべて強い性質の多肉ばかりとは限らない。

たいていの多肉女子は、目の前の鉢植えがどんな栽培法が適してるかをネットで調べようともしない。
只々カワイイか可愛くないかが彼女らの唯一の価値基準、栽培法などせいぜい買う時に花屋の店員にひと言聞くぐらいだ。

店員だって知るもんか、膨大な種類がある多肉植物のそれぞれの栽培法なんて把握してるはずもない。
第一その植物の種名さえ知らなさそうな受け答えをしてる店員も結構いる。

横で聞いてると吹き出しそうになることがある。
だが、余計なくちばしを挟むと「キモいおじさん」と見なされるのがオチだから私は黙ってる。
買われてゆく多肉には気の毒だが。


憎まれ口はさておき、鉢の話をします。

私は常日頃「多肉に向く鉢は?」と聞かれると「朱温鉢(しゅおんばち)」と答えることにしてる。

このサイトの多肉コミュニティの相談にもそう答えてる。

しかし、本当はもっと奥がある。まぁそれについては次の機会に譲るとする。

それを明かす前に、多肉栽培に用いられる鉢の種類についてチョと分類しておこう。
なにも勿体ぶってるんじゃない、ほかの種類を知らないと私の言うことが理解できないだろうから、である。


まず御存知プラ鉢。

業者をはじめ大量にコレクションしてる重症のマニアなどは、軽くて色も形もサイズも多いプラスチック鉢は重宝する。

通販でもその軽さゆえにいちいち「抜き苗」にしなくても、ティッシュなどで鉢土がこぼれないようにして発送できる。
これによって根も乾燥によって傷まなくて済む。
それに、鉢が軽いから送料も安く宅配員も持ち運ぶのに楽だ。

しかし栽培面でいうと長所・短所は相半ばする。もちろんそれは他の鉢にも云える事だが。

当たり前だがプラ鉢の壁に通気性はない。

だが、これは短所でもあり長所でもある。

欠点としては、通気性(透過)がないから水をやると水分が鉢の壁から水蒸気として発散されないので、鉢穴から流れ出る余分な水以外は鉢内に留まる。
つまり加湿になりやすく、根の吸水が旺盛な生育期以外には常に根腐れの危険が付きまとう。

真夏の強烈な日射に照らされてプラスチックの側面は、さわるとヤケドしそうなくらい熱くなる。

とくに最近は黒い色の鉢が多く利用されてる。

黒い色は太陽光の熱線である赤外線が透過し鉢自体熱をもつ。

冬は鉢内が温まって良いが、夏は鉢壁に張り付いてる根が煮えてしまう。
動物だと熱いと手足を引っ込めることも出来ようが植物の場合そうもいかない。
その根は死んで腐るしかない運命だ。

だが寒い時期にゃ逆に鉢は暖まった方が良い。
サボテンをはじめ多くの多肉植物は根を凍えさせない方がいいに決まってる。

だから春の植え替え時は、来たるべき夏に備えて白い色の鉢に替えた方がいいだろう。
さいわい最近は、ありとあらゆる色の鉢が売られてる。
季節に合わせて使い分ければプラ鉢はいわゆるコスパが良好な鉢と云える。


次に、候補で思いつくのは素焼き鉢(写真1枚目)

広い意味での「素焼き鉢」には、駄温鉢・朱温鉢・テラコッタも含まれるが、ふつう園芸の分野じゃ素焼き鉢といえば、釉薬(ゆうやく;うわぐすり)のかかってないあの白っぽい黄土色の目の粗い陶器を指す。

古代の土器と同じで焼きが甘く(700℃~900℃)、水をかけると吸い込み、試しに耳を当ててみるとジュウジュウと音をたてて水分を吸い込む様がよくわかる。

こういう鉢は、用土を入れ水やりをすると鉢内の表面から急速に水分を吸収し、また鉢の外側から蒸発させ急速に乾いてゆく。

ふつう植物の根は土中で放射状に拡がる。とうぜん鉢の内側の壁に向かって伸びてゆく。
根が鉢の内面にたどり着いた際、そこが乾燥してたら水分を吸収できない。

素焼き鉢の場合そういうことが起きる可能性がある、あまりにも乾燥が急だから。
気孔が密にあり かつ大きいのであろう。目には見えないが。

一般に、サボテン・多肉植物の根は蘭と似ていて空気の流通がないと窒息してしまう、とされている。
しかし、たとえそうであっても水分を吸収するメカニズムは普通の植物と変わらない。

吸水の現場は細根の尖端の根毛の部分で、根内部の浸透圧で周囲の土の表面の水分を吸収している。
そこが極度に乾燥して根の周囲の土に水分がなくなれば根毛は萎縮し枯れる。

普通の植物の場合、根が枯れたら本体(地上部)も枯れる。
しかし多肉植物は体に水分を蓄える貯水組織を持ち、本体は枯死をまぬがれる事ができる。
そしてその蓄えた水分で光合成など、最低限の生命維持活動を続けていられる。
そしてやがて降雨が訪れ新しい細根を出すか干からびた根が復活して吸水を始める。

サボテン・多肉植物の根は適度な湿り具合い(適湿)でないと根からの水分吸収が円滑に行われない。

あまりビショビショでもいけないし、反対にカラッカラに乾いててもとうぜん水分吸収は無理。

素焼き鉢は、適湿時間がその急激な水分発散であまりにも短く、多肉植物の栽培には向かないと言わざるを得ない。
しかしフウランのような着生ランのミズゴケ栽培じゃ使えるかも知れない。

また冬場には、鉢の外側から水分の蒸散により気化熱が奪われ鉢全体が冷えるきらいがある。

サボテン・多肉は根が冷えるのを嫌う。(真夏は多少冷えた方がいいが)
彼らの自生してる砂漠・荒野は日照のある昼間は炎熱地獄だが、夜間は急速に冷え込み明け方には氷点下近くまで気温が下がる所が少なくない。
しかし乾燥した土壌は保温性があり、地上の寒暖差を地中で和らげる働きをする。

そういう土中の環境に慣らされてるサボ・多肉の根が、あたかもラジエーターのような作用をする素焼き鉢に植え込まれると、日本の冬のように冷え込む際に万一凍ったりでもすれば根を傷めるのは当然であろう。

というわけで素焼き鉢はカニバ・シャコバサボテン、月下美人などの孔雀サボテン類のミズゴケ栽培において、冬場に室内に取り込むなどの処置を条件に使用できる程度という結論になる。


ほかに「駄温鉢」という種類がある(写真2枚目)

素焼き鉢より硬く焼いてあり(1,000℃~1,200℃)、ボディは薄いが鉢の縁に帯状の釉薬のかかった部分がある。
この帯状の部分を桟(さん)というが、素焼き鉢とは上薬のかかってないのを云うが、一部でもかかっているのはこの駄温鉢だけだ。

駄温鉢は素焼き鉢より高い焼成温度で焼かれているので通気性・通水性は2/3程度くらいということだ。

逆に云うと、それだけ鉢内が加湿になりやすいとも云えるので、多肉の種類や大きさにもよるが、5号鉢(直経15cm)以上の鉢に植え込む場合は、用土を粗めにするか水やりの頻度に注意が必要だろう。

側面が薄いので軽いと思いがちだが、駄温鉢は意外と重く衝撃による破損しやすいという欠点もあるし、その薄さゆえに断熱・保温という点で他の素焼き鉢に劣る。
だが、サイズに留意すれば多肉栽培にはそれなりに重宝するかも知れない。


このほかに「朱温鉢(しゅおんばち)」というのがある(写真3枚目)

これが私のおすすめの鉢だ。

素焼き鉢とフォルムは同じだが、駄温鉢と同じくらいの焼成温度で硬く焼いてあるので素焼き鉢のような急激な乾燥からは免れる。

それに駄温鉢より厚めだから保温という点で寒暖の影響を受けにくいという長所があり、気孔も細かいのが無数にあるから穏やかに乾燥してゆきサボテン・多肉の根の生育に良い影響を与えると思われる。

重いのが欠点だが、地上部の重量のある多肉サボテンを安定させて、風などで倒れにくい。厚さもあるので割れにくいというのもある。


イタリア製のテラコッタは、鉢の側面が厚く朱温鉢より少し焼きが甘いキメで、素焼き鉢と朱温鉢の中間くらいの手触り。
西洋風の透かし彫りが施されてあったりして、サボテン多肉の異国情緒と雰囲気が似合うという事もあって最近急速に普及して来た。

ウチにもテラコッタにしては珍しい小型の3号鉢に植え込んだ株が何個かあるが、口が朱温鉢より少し開いた形で、栽培した感じでは朱温鉢より用土が早く乾くようだ。
同じサイズの朱温鉢・駄温鉢より全体的に厚ぼったい感じで、柱サボテンやユーフォルビアなどに似合う気がする。


ほかに、朱温鉢に似た色の植木鉢に「常滑焼(とこなめやき)」などが有名な「朱泥鉢(しゅでいばち)」があり、植木鉢のほかに湯飲み・急須・皿などが昔から作られて来た。
紛らわしいが、さわってみると朱温鉢との違いが肌触りでわかるはずだ。

この朱泥鉢は釉薬(ゆうやく)を掛けずに焼いたもので、外見は(広い意味の)素焼き鉢だが肌のキメはさらに細かくなめらかで、素朴な朱色が装飾性を醸し出してる。

昔はよく盆栽の鉢に利用され、朱色だけじゃなくくすんだ灰褐色のシブい「烏泥鉢」や緑がかった「緑泥」「梨皮(りひ)」などの種類がある。

もちろん湯飲みや急須もあるくらいだから吸水・透水性はまったくなく、釉薬の掛かった塗り鉢(化粧鉢)と共に装飾鉢として使われて来た。

しかし、塗り鉢は釉薬をかけて高焼成温で「二度焼き」してるせいで生地が緻密になり熱の伝導率が高い物が多い。
とくに透明感のある釉薬は日光の赤外線をよく透過して鉢の深部まで発熱する。

このように塗り鉢は釉薬で夏に熱せられたり冬に冷やされてリして、植物の根にあまり良いとは云えないが、現代人の洋風の部屋に飾るのには雰囲気が合う鉢が売られており、植物はやはり見て楽しむものだから「根に良い物だけにしろ」とばかりも言えないだろう。

最近では、奇妙な形をした「作家物」の鉢・受け皿のセット(ポット&ソーサー)が、容貌怪奇なサボテン多肉植物のムードに合うとかで、ネットのカタログで紹介され、工芸品として高値で販売されてる。

受け皿は水やりの余分な水が溜まり、小まめに捨ててゆかないと鉢内がいつまでも過湿な状態が続き根腐れの恐れがあるので、サボ多肉にはおすすめ出来ないが、植物と鉢を一体の装飾品として考えた場合、機能性ばかりを喧しく言うのは野暮というもの。

とにかく、そうした植木鉢の欠点は栽培技術で補うくらいのスキルを身につけたいものだ。






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コメント

最新20件を表示

1 2018/05/24
朱温鉢も値段が高くなり、気のせいか品質低下しているような。素焼きは乾きすぎて水やりが面倒だし。3号4号で乾きの丁度いい培養土配合となると、これまた厄介。

私の中でのお勧めは、苗の種類にもよりますが、2リットルペットボトルを真ん中の括れたところから切断し底の四隅に大きな穴を開けたものが赤玉鹿沼に腐葉土を入れた配合に丁度良いと・・・
セブンや分別ごみの日に持って帰れば、人の目を気にしない限り、金銭的な負担を気にしなくていいので満足してます。

小生は多肉植物を消費する趣味家ではないので、できるだけ鉢は深く、大きく懐の深いものを使用したい。
しかし、残念な事に限りある設備の中に大きなペットボトルばかり並べることも出来ず・・・窮屈な思いをさせている多肉も存在しています。

最近では多肉の鉢といえば錆びた空き缶とかが多いように思えるけど、自己満足されている方には文句を言う筋合いはないのです。
2 2018/05/24
湯島臥牛
十年数前だったか、横浜のそ◯うの屋上に「朱温鉢らしき」のが売られていたので十個ほど買って帰りました。

従来の国産の朱温鉢より厚手で「水持ち」が良さそうと踏んでましたが さにあらず。
ひどく乾きが早いので往生しました。
「焼きが甘い」のです。
どうやら外国産テラコッタだったようで買い物の失敗。
やはり従来の朱温鉢が良かったというオチ。

もちろん、それぞれの使い勝手の良い鉢でいいのです。
株の種類に合わせて用土を調合し水やりが加減出来りゃそれでOK。
経験則が必ずしも正しいとも限らない。試行錯誤も必要でしょう。
正解はひとつじゃないと思いますから。

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