🌒 黒衣のハオルチア
「 黒姫」 径4cm 【写真①】
ネットオークションで落札。
割とすんなり落札出来た。
入札数が少ないのでのぞいて見たら、なんだかこの親株の黒い光沢が妙に気に入った。【写真③】
「日焼けさせると こんな色になるのか」
ギョッとするような黒。
銘も「黒姫」
しかしミステリアスでいいじゃねぇの。
命名が「そのままじゃねぇか」って気もするが、凄味ある写真③にマッチしてる。
終了時間ギリギリで入札すると、何回値段を上乗せしても「自動入札」の表示。
この「自動入札」という表示が出るってことは、こちとらの入札額が最高金額に届いてないという事。
どうやらおいらみたくこの株が気に入ったマイノリティ(趣味的少数派 : マニアックともいう)が かなりの高値を付けてるようだ。
ムキになって10回以上入札を繰り返す。
こうなりゃヤケだっ。
すると、やっと「あなたが最高値」という表示が出た。
終了時間が近づいても新たな入札があれば時間が延長されるシステム。
タイムリミット30秒以内に最新の入札が為されると入札期限が五分間延びる。
カッタりぃんだ、これが。
五分間ってのは長げぇのよ、こういう時の。
引き出しに隠してたタバコをふかしたり、テレビを点けたりと、ジリジリして終了時間を待つ。
カウントダウンが10秒を切った。
5、4、3・・・
そのまま「あなたが落札しました」の表示。
結局「競売(せり)」にゃならなかった。
上乗せ入札は一切なし。
どうやら前の最高値入札者は「捨て入札」をして行ったらしい。
「捨て入札」とは、最初にある程度の金額を入札し、そのまま落札されれば良し、たとえ上回る金額の入札があってもそのまま放っておく事。
なんだよぉ、競(せ)って来るだろうと身構えて損したぜ。
※
【写真③】を見てくれ。
親株。
ものスゲぇ色だろ。
思わず息を飲む色合い。
黒光りと云うもおろか、黒い黄金虫(コガネムシ)の体色の如く虹色の光沢を帯びた漆黒。
「赤色が入り混じる”カラスの濡れ羽色”」とでも表現すりゃいいのか。
あるいは、薄闇の中で見た「フルボディの赤ワインの深い色」とでも。(ソムリエかっ)
この色に魅入られて入札する気になったのさ。
意図的に日焼けさせてるらしい。
一般にハオルチア・ガステリア類をここまで真っ黒に日焼けさせると成長は停止する。
いや、ここへ行く前の赤茶けた段階で枯れちまう、ふつうは。
ところが、性質の剛健なレツーサ・ピクタ類の中には黒く日焼けしながらも生育を続ける種がある。
最近じゃそのしぶとい性質を利用してわざと赤黒く焼いて芸術的色彩を創り出す業者が増えた。
人の事は言えねぇが、この「漆黒」にヤラれちまうマニアも多い。
調べてみると「黒姫」という品種は「スプリング系 × ピクタ系交配」とある。
ピクタは判るとしても問題は「スプリング」
これは「春」とか「温泉」という意味じゃなく、ハオルチアの原種に「スプリングボクブラケンシス」という覚えたくもねぇ名の種、それの略称。
南アの「スプリングボク産」のハオルチアっていう意味。
(よくは知らねぇが、南アフリカにゃガゼル、インパラなどのカモシカの一種の「スプリングボック」っていう動物がいる。
名前からこれもこの地の固有種らしい)
それはともかく、
その「スプリングボクブラケンシス」
(お年寄りは正確にゃ言えねぇだろな)
原種。
葉先が丸いのが特徴的。
非常に日焼けし易い種として有名。
全ハオルチア中 最も弱光線を好み、6,000ルクス以上の光量の下じゃまともに育たないそうだ。
6,000ルクスと云えば、戸外じゃ暗い方だ。日陰と云っていい。
ウチの庭のいちばん陽当たりの良いポジションじゃ、三月彼岸の頃で9万ルクスあった。
やはりハオルチアは半日陰の植物なのか。
しかし、玉扇・万象は「1万ルクス以上の強光線下の栽培が望ましい」(日本ハオルシア協会)んだそうだ。
そんな強光線に弱いスプリングの血を引くこの「黒姫」、半分はピクタの血を引くという。
一般にピクタ系はかなりの強光線にも耐え、日焼けしながらも成長する種も多く存在する。
【写真①】出品の苗、見事に赤く焼けてる。
やはりスプリングの血がそうさせるのか。
4cmの子苗だが、こんな年齢から日焼けさせても【写真③】のような黒々とした成苗に育つのか。
【写真②】送って来た苗。
緑色に戻ってる。
写真①の苗はいつ頃撮影されたのか。
画像を見る限り、形は送られて来た苗と同じなので、撮影されてからそんなに期間は経ってはいまい。
宅急便は丸一日で届いたので、発送中に箱内の暗さで元の緑色へ戻ったとも考えられねぇ。
果たしてどのくらいの光量で出品時の赤色に変わるのか。
また、再び赤色に日焼けしたとして、そのままの光線下で写真③の親株まで成長するのか。
あるいは写真③の色は、緑色で成長させ親株になった時点で日焼けさせてこの黒光りの色に仕上げたのか。
疑問は次から次へと湧いて来る。
これが対面販売ならいろいろ質問できるのだが、いかんせんネットオークションの悲しさ。
電話で呼び出して質問するのも迷惑だろう。
これからは照度計を片手に手探りの毎日。
まぁそれが「ハオルチア栽培の醍醐味」とも云えるのだが。
くわしくはそだレポ
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_r_detail&target_report_id=10311
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