園芸黒知識というトピ名にふさわしい、園藝界の異端書をご紹介しましょう。
その書物の名は『ナチュラルガーデン・ブック(原題 THE NATURAL GARDEN BOOK )』。園藝界のグリモワール(魔道書)とでもいうべき内容です。ピーター・ハーパーという人が大部分を書き、クリス・マデセンとジェレミー・ライトという人も著者に連なっています。産調出版という出版社が翻訳書を出しています。
副題に『ガーデンの包括的アプローチ』『健康的で、調和のとれた、エコロジーに忠実なガーデン環境の創造』とあり、ぱらぱらとめくってみれば写真は美しく、基本的な生物学、植物学、地球科学、土壌学について簡単かつ要を得た説明がなされ、有機栽培の手法についても詳しく述べられています。
これだけだったら、有機農法的手法をご家庭の庭で実践するための良書として紹介下でありましょう。
しかし詳細に読み進めれば、いろいろとあやしげな記述が。そう、この本は人智学の祖として知られるルドルフ・シュタイナーの農学に関する講義から始まった『バイオダイナミック農法(シュタイナー農法)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/バイオダイナミック農法を基本にしているのだ!
誤解を恐れず、わかりやすく言えば『有機と魔法の力で、土地と生物の潜在能力をレベルアップ!』と言うもの(笑)
これにしたがって、去勢牛の膀胱にセイヨウノコギリソウの花を詰めて夏は陽の当たるところに吊るして冬は土に埋め、オークの樹皮を家畜の頭蓋骨に入れて水の漏れる排水管のそばに冬が終わるまで埋めておくのだヽ(´A`)ノ
近・現代におけるヨーロッパ精神史の黒歴史(;-_-)が産んだ、サブカル的書物といえましょう。
え?まだ、アマゾンで新本が注文できるんだ…(;゜言゜)