uesugiさんの園芸日記
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uesugiさん  京都府
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続き

2014/02/07

昨日の日記の続き。


…あのように書くと、すごく怖いような印象があるんじゃ
ないだろうか。

『モスピランなんか絶対使わないぞ!』
『国は何をしているんだ!規制しろ!』

と思うのが、文系の一般人の反応だと思われる。

しかし自分は理系の専門をかじった(農薬化学や生化学を
大学院で履修した)人間、流行の言い方だと“リケダン”
なので、割と冷静に分析している。

以下、長くなるので暇な人だけ読んでもらえれば良い。

まず、日経の記事の見出しや書き方がいかにも煽り文句に
なっているので気をつけなければいけない。
脳に影響といっても、どのような影響かが問題。

すごく乱暴な言い方だが、タバコの一服だって“脳に影響”
するし、コーヒーに含まれるカフェインも“脳に影響”する物質
なのだ。

記事をよく読むと、ラットの脳の培養細胞による実験をもとに
「脳内のニコチン性アセチルコリン受容体という物質を
興奮させる作用があることを確認」したと書かれている。
それ以上のことは、あくまで可能性だけだ。1%の可能性でも
99%でも可能性は可能性なので、ここはまだ気にしなくて良い。

ニコチン性アセチルコリン受容体などというと難しそうだが、
要するに、これまたすごく乱暴な言い方をするなら、
タバコに含まれるニコチンが交感神経や副交感神経の
伝達物質であるアセチルコリンの受け渡しを刺激する、
つまり、
野球で言うとアセチルコリンが球で、受容体がグローブ(を
持っている選手)のようなもので、ニコチンは監督の指示
みたいなもんかな。ちょっと違うか。

タバコを吸うと肺から血液に入ったニコチンが脳内で
これらの神経を刺激して興奮させるので、目が冴えたり
するわけだ。

さて、ネオニコチノイド系農薬というのは、このニコチンに似せて
構造がちょっとだけ違う物質が成分の農薬のこと。上記の
アセタミプリド、チアメトキサムがこのネオニコチノイドにあたる。

神経伝達をつかさどるニコチンの代わりに神経を
異常に興奮させ、ニコチンと違って吸収・分解されにくいため
神経が興奮状態のままになってしまう。そのため筋肉に
けいれんが起きたり呼吸ができなくなったりして
虫は死んでしまう。

野球で言うと、星野監督のニセモノが球場に現れて
本物よりも無茶な指示を出すと、楽天の選手がびびって
試合がめちゃくちゃになって野球が乱闘になって
終わってしまう、みたいなもんだ。違うか。

農薬の場合、虫と人間の違いに注目して
虫の神経や細胞には作用するが動物や人間の神経や細胞には
作用しえないような物質が農薬成分として選ばれるため、
人間には安全とされてきた。

しかしそれが、改めて細胞レベルで研究した結果、
ラット(ねずみ)の脳でも、ネオニコチノイドのうちの
2種類の物質が、神経伝達に興奮作用を及ぼすことが
示された、というのが今回のニュースのもとになっている。

ラットで起きるんだから人間にも起きるんじゃないか、
すわ、恐ろしいことになるぞ! というわけだ。

しかしもとをたどれば、ニコチン様物質(ニコチンに似た構造の
物質)である。その恐ろしい影響が起きる量も不明であるし、
ラットで起これば人間でも常に起こるというものでもない。

興奮作用といっても、タバコよりちょっと覚醒効果が長い程度
かもしれない。それもまだわかっていない。

そもそも、培養細胞ではなく生体レベルでの実験では、問題が
起こらなかったから、国が農薬として許可したのだ。

もし培養細胞で起こることが生体レベルでいつも起こるんなら、
オボカタ博士のSTAP細胞のニュースではないが、
酸っぱめのオレンジジュースを顔に塗ったり頭に塗っただけで
人間は若返ったり禿げ頭に毛を生やすことができる、という
暴論が成り立ってしまう。

まだまだ研究はこれからなのである。

EUの欧州食品安全機関(EFSA)はあくまで、
問題が起こるかもしれないから予防的措置として、とりあえず
規制の基準を厳しくするよう勧告している、
という段階が現状なのである。

またまたすごく乱暴にいうと、これも“仮処分”のようなものだ。
過去、発禁の仮処分を受けた過激な週刊誌は数知れないが、
廃刊になった週刊誌はとても限られている。
世の中そんなものである。(←乱暴すぎ)

この日記の前半を読んでもらえればわかるように、
農薬を見くびって使用基準を守らない連中まで擁護する気は
サラサラないのだが、
農薬だからといって、ネオニコだからといって、過剰に恐れる
のも、いわばフクシマ産の農産物を口にしないのと
同じようなものではないのかな、と個人的には思う。

農薬も、フクシマも、正しい理解が大切。

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