こんにちは。園芸日記担当の倉重です。
先回もサツキの話をしましたので、時期外れではありますが、この勢いでこれまでに少なくとも100回は質問された「サツキとツツジはどこが違うのか」について書くことにしました。
ユリやランという言葉は特定の植物ではなく、ラン科、ユリ属とグループを指すように、ツツジもサツキやヤマツツジ、レンゲツツジなど、シャクナゲよりも葉が薄くて、枝が細い落葉または常緑のツツジ属の総称です。「サツキ」はその中のサツキの野生種またはその園芸品種のことです。サツキはヤマツツジの渓流型と考えられ、葉は常緑、増水時に流されないように葉が細長いのが特徴です(写真右:屋久島の自生)。
これが答えなのですが、しかし、なぜ同じツツジの仲間に2つの名前が用いられてきたのでしょうか?その歴史をたどると江戸時代に行き着きます。
今日の話題42 ツツジとサツキはどう違う?
江戸中期の1692年、江戸で「錦繍枕(きんしゅうまくら)」というツツジの種類や栽培を解説した世界初の専門書が伊藤伊兵衛によって版行されました(写真中央:復刻版)。時は後に「元禄のツツジ」と呼ばれる流行の最中であり、さまざまな品種が作出されました。
江戸中期は、戦の心配もなくなり、人々の暮らしが豊かになった時代であり、余暇の楽しみとしてツバキやボタンなど、さまざまな植物の品種改良や栽培が流行し、現在の園芸の基礎が築かれた時代でした。
「錦繍枕」は5巻からなり、3冊が「躑躅(つつじ)」、2冊が「さつき」という構成になっています。その中で、いわゆる「つつじ」は春(旧暦1~3月)に咲き、「さつき」は初夏(旧暦4月)咲くと記されています。その十年ほど前に刊行された日本最古の園芸書といわれる「花壇綱目」(1681)にはツツジとサツキは区別されていませんので、ブームに伴って現れた数多くの品種を大別するために、現在の4~5月中旬に開花するものを「つつじ」、5月下旬から6月に開花するものを「さつき」と呼びはじめたのではないかと考えられます(写真右:さつきのグループに入れられたマルバサツキの自生)。
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こんばんは。
返信する関東とは花の時期が大部ずれる新潟ですが、
先に花を見せるのが「ツツジ」で、新芽が出るのが花後。
新芽が伸びた後に花が咲くのが「サツキ」
素人考えでしょうが・・・
これまで友人と、そう思っていました。
なんにでも例外はあるでしょうから~当てはまらないかもしれません。
それにしても「元禄文化」の産物の一つが『ツツジ』
それから「アザレア」が誕生して、新潟の花卉栽培に繋がった歴史に県人として嬉しく思います。
hanura様
返信するいつもコメントをありがとうございます。
ツツジ属の新芽の出る時期は大体どの種類でも5月中旬ですので、ツツジは花後、サツキは開花前で正解です。開花が7月と非常に遅いバイカツツジは完全に葉が伸びきってから小さな花を咲かせますので、葉の下にかくれて、良く見ないと気づきません。
野生のツツジからアザレアに至るまで途切れることなく栽培が続いていたことを思うと、本当に歴史を感じますね。
こんばんは。
返信するツツジ・サツキ・アザレア・・・どこが違うの?と思っていたので、少しわかった気がして嬉しいです。
父の趣味に少しはお付き合い出来そうです。
高齢になってきた父の庭を、写真に残して上げないと・・・・
倉重さんに感謝
こころ様
返信するいつもコメントをありがとうございます。
本物を見れば、サツキとすぐに分かるのですが、言葉だけでは説明が難しいですね。
ただ、最近のサツキの園芸品種はアザレアやミヤマキリシマ等と交配されて、今では「品評会や専門店でサツキとして展示、販売されているからサツキ」ということで区別するしかないようです。
お父様のお庭の写真を記念に残すのは楽しみですね。
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