千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で「伝統の朝顔」展が始まりました(会期は9月15日まで)。「くらしの植物苑」には愛好家の心を捉えた変化アサガオが展示されています。
「変化アサガオ」で思い出すのが、駆け出し編集者時代に出会った小川信太郎さんという、変化アサガオを深く探求し続けた園芸家です。遠い記憶ですが、1反〈たん〉(300坪)ほどの広い畑に大量のアサガオのタネをまく姿、几帳面にデータが記録された研究ノートが脳裏によみがえります。パソコンなどない時代、紙と鉛筆で膨大なデータと向き合っていたのです。とてつもない緻密さと粘り強さ、まさに園芸の究極を思い知らされました。
変化アサガオは「確率の園芸」ともいえます。どんな花になるか、どんな葉になるかは遺伝子によって決まりますが、ふだん目にしているアサガオと違い、相対的に出現する確率が低い形や性質が現れたものが変化アサガオです。現れにくい形や性質ばかりの変化アサガオに出合うと、「これ、アサガオ!?」と目を疑ってしまうほどです。これら出現の確率がきわめて低い花は出物〈でもの〉と呼ばれ、愛好家に大切に扱われてきました。
小川さんはこのような出現する確率がきわめて低い変化アサガオの背景を辿り、交配を重ね、タネをまき、選抜に選抜を重ねて、最終的にどんな花が咲いたか、経過と結果を漏らさず克明にノートに綴っていたのです。
見る人をいつも驚嘆させてきた変化アサガオ――。
国立歴史民俗博物館によれば、変化アサガオのなかでも出物と呼ばれる花が多く咲いてくるのは8月中旬とのことでした。百聞は一見に如かず、変化アサガオの世界にぜひ触れてみてください。
国立歴史民俗博物館「伝統の朝顔」展
http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/plant/project/index.html
(写真左)青顰葉渦小人葡萄鼠丸咲(あお/しかみば/うずこびと/ぶどうねず/まるざき)。
株の高さは20センチくらい。一見、アサガオとは思えない
(写真中央)黄鶏足柳葉紅細切采咲牡丹(き/けいそく/やなぎば/べに/ほそぎれ/さいざき/ぼたん)。
ヤナギのような細い葉、花は細く采配のような八重咲き
(写真右)青斑入海松葉茶覆輪細切采咲牡丹(あお/ふいり/みるば/ちゃ/ふくりん/ほそぎれ/さいざき/ぼたん)。斑が入るミル(海松)のような葉、花は茶で縁取られる
(元『趣味の園芸』編集長 原田)
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<8月4日メールマガジンにて配信>
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