生態実験園の一角でヘクソカズラ(アカネ科)の花が咲いています。屁糞葛とは何ともひどい名前ですが、葉や茎の悪臭に由来し、中国では鶏尿藤、帰化植物として侵入した北米でもスカンクカズラ(skunkvine)というひどい名が付けられています。花は白い小さな筒状で、中央のえんじ色が美しく印象的です。拡大すると、花筒の内側に、先の丸い腺毛が密生し、外側も数珠のような腺毛に被われています。花の内側には、細長いやくを持つ長短2種類の雄しべが、貼りつく様に着いています。雌しべは下部で2本に割れて細長く、割れた内側に多数の突起があり、筒の入り口を塞ぐかのように折れ曲がっているのが特徴的です。蜜は雌しべの基部から出ます。このような花の形態は、コハナバチのような小型のハナバチが、花奥の蜜を求めて身体ごと花筒の中に入り込んだ際に、虫に花粉を擦り付け、同時に受粉するよう進化した結果と考えられます。腺毛の役割はよく解りません。アリなど蜜を盗む昆虫が花の中に入り込むのを防ぐためと説明されていますが、もっと他の役割もありそうです。
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