いつのまにか、もう9月。しかし今日も台風の影響か蒸し暑いですね。
さて、8月19日に環境省が進めている絶滅危惧植物保全のモデル事業、野生では絶滅したコシガヤホシクサの野生復帰合同検討会議に出席してきました。
8月28日には昨年に引き続き「十二潟観察会・学習会」に行ってきましたので、今回はそのお話を。
今日の話題67 比べてくださいアサザの花
アサザは環境省のデッドデータブックでは絶滅危惧種に指定されていましたが、各地での保全活動が功を奏して、2007年の見直しでサクラソウやサギソウと共に準絶滅危惧種にランクダウンしています。
さて十二潟のアサザですが、新潟大の学生さんの調査によって、すべてが等花柱花(雄しべと雌しべの長さが同じ 写真中央)だったと調査会社の方からお聞きました。これは珍しいです!鼻血は出ませんでしたが、ちょっと興奮しました。
何が珍しいのかというと、アサザは株によって雌しべの長さが違うのが普通なんですね(異型花柱性)。雄しべの長さに対して雌しべが短いのを「短花柱花」、長いのを「長花柱花」といいますが、虫が花粉を運んで短いのと長いのが交配するとタネができます。長と長、短と短ではタネはつきにくいわけです。
しかし、アサザは根(匍匐茎:ストロン)でふえますので、大きな池にたくさん生えているように見えても、実は一株ということがあります。これですとタネはできませんね。日本の自生地はもとは一株という場所が多いようで、数はたくさんあっても多様性は非常に低いというのが現状です。
さて、十二潟のアサザは等花柱花と書きましたが、これは突然変異で現れるそうで、何と!自分の花粉でタネをつけるようです。ということで、実生でふえていれば、雌しべが長いの短いのが混じるはずですが、等花柱花しかないのであれば、一株である可能性が非常に高いわけです。
聞くとタネはできているそうです。アサザのタネは水に浮かび、水面を漂って、岸に流れ着きます。タネは水中では発芽しませんので、田んぼに水を入れる春5月に水面が下がると発芽します。その後水位が上がると、水の中に根を伸ばし、水中に移動していきます。
実生をさがしてみると、水がしみ出ている岸部にごく小さいのを発見(写真右)!しかし、原因は分かりませんが、毎年芽は出ても水中にうまく根を伸ばせないで枯れてしまっているようです。実生が育てばアサザの多様性も回復すると思いますので、引き続き観察していこうと思っています。
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こんにちは。
返信するアサザって、初めて見せてもらいました。黄色の花が咲くのですね。一見、スイレンに似てますね。花はちがいますが、葉っぱなどは。
これは、自然界のことですね。人工的に、種から増やせないのですか。熱帯スイレンのように家庭で楽しめないのですか。
花好きかんちゃん様
返信するコメントをありがとうございます。
葉はおっしゃるとおり、スイレンによく似ています。スイレンはスイレン科、アサザはミツガシワ科なのですが、育つ環境が似ていると浮き葉も同じような形になるのかもしれません。
もしタネが採取できれば(なかなか取れない)、育てるのは簡単だと思います。株でふやしたのが、植物園の池にも育っています(短花柱花だけです)。
スイレンのように鉢でも楽しめるとは思いますが、すごい勢いで根が張るので、長く栽培するのは難しいかもしれません。どこの株か分からないものが、自生地に戻されてしまう危険性もありますので、保全の目的以外での栽培はしていないようです。
以前、霞ケ浦で土壌シードバンクからアサザを再生させるっていう話題がありましたね。
返信するあお@岐阜県様
返信するコメントをありがとうございます。
自分では面白い話題だと思ったのですが、コメントが少ないので、つまんなかったですかね。
そうなんです。日本のアサザの自生地で健全に世代交代が行われているのが、(多分)唯一霞ヶ浦なんですね。十二潟も埋土種子や実生を使えば、もとのアサザの多様性(花柱の長さがいろいろあるような)をとり戻せるのではないかと期待しています。
こんばんは。
返信する1週間留守にすると、生活が落ち付くのに苦労します。
ということで…
電子書籍はダウンロードしたまま
秋の夜長~ゆっくり楽しませていただきます。
アサザを見て、
先日郵便局前でヒツジグサの花が咲いていたのを思い出しました。
十二潟~かつての豊栄市でしょうか?
遠くもない場所なのに、知らなかったですし、
植物園では、スイレンやオニバスに目が行き…
まだまだ未知が一杯~の植物園です。
こんばんは。私にはちょっと難しい話題でした。(頭が弱い上にアルコールまで・・・。)
返信する普通、1株だとタネはつかないのですね。知りませんでした。(汗)中学校の理科の教科書があったら読み直したいです。アサザの中にもいろいろな個体があって、その多様性が重要なのはそのためですか。
等花柱花なのに、ちゃんと受粉できるのですね。2重の驚き。
倉重さんが地味に興奮したという等花柱花のアサザの存在を覚えて、今回はOKということにします。
こんにちは
返信する初めての植物です。
暑さで一段と頭の回転が悪くなり・・・・すいません。
潟に咲く準絶滅危惧種・黄色の花「アサザ」と記憶する事にします(私のレベルではここまで)
久しぶりにクレープさんに、お会い出来て嬉しいです。
コレープさんのコメントは、何時も私の教科書です(これからも宜しくお願いします)
興奮がドンドン萎むコメントで・・・・すいません。
こころさん、私は中1位のレベルかな~
返信する専門的な話は聞いても右から左です。
目から入っても脳に届きません
興味は人一倍あるのですが
旅からの帰宅後HPで植物園でも「変化朝顔展」開催中と知りました。
そして今日午後の「変化朝顔を楽しむ」講座に急遽申し込み、
参加してきました。
講師の方は、難しい話を分かりやすく~結構笑えて、
楽しい講座でした
ところで、倉重様~事務所に伺ったら、お休みでした(残念)
東京で金子明人先生にお会いしてきました。
「長年の友人だよ~よろしく伝えてね!」
という、言伝ですm(_ _)m
hanura様
返信するごぶさたしておりました。電子書籍のダウンロードをありがとうございます。
hanuraさんは本当によくご旅行に行かれますね。金子さんには東京でお会いになったのですか?久しくお会いしておりませんが、お元気そうで何よりです。何年か前に長岡で趣味の園芸の公開収録をした時にも、金子さんにお越しいただきました。事務所にもお越しいただいたのに、休みですみませんでした。園芸教室にもご参加くださり、感謝申し上げます。
十二潟は、豊栄ですが、豊栄というよりも、京ヶ瀬の奥(新潟から見て)という感じの場所です。今年はアサザとガガブタが満開でした。午後には閉じてしまいますので、見頃は午前中です。
多分、ヒツジグサは新津の「ちあきの会」が配布したものだと思います。吉田千秋の会なのですが、それについては、次回の展示のこともありますので、次に書こうと思います。
グレープ様
返信するいつもコメントをありがとうございます!
アサザの話、分かりにくくてすみませんでした。要は、雌しべの長さが違う株がないと、タネができにくいということで、十二潟で、タネができる突然変異株が生えていたということです。
おっしゃるとおり、生物には多様性が必要なわけですが、現在のアサザの状況は、人間で例えると、自分の分身だけがたくさんいるけど、他の人は誰もいない、子供もできないという状態です。その人が特定の病気に弱い場合など、一気に死に絶えてしまうことがあります。ですので、タネで子供をふやして、多様性を高める必要があるんですね。
滅多に出ない等花柱花があって、タネができるのですから、それを使って子供をふやすと良いですね。
また分かりにくくなってしまいました。すみません!
こころ様
返信するいつもコメントをありがとうございます!グレープさんもコメントも久しぶりでしたね。
自分で読み直して見て、そんなことに興奮するのは変だなと思いました。内容はグレープさんのコメントに書きましたので、そちらを参考にしていただいて、昔はどこにでも生えていたアサザが、ほとんど見られなくなったということは知っていていただければと思います。
おはようございます。
返信する金子先生には、二子玉のお店でお会いしました。
私は用事があって上京の度に時間を作り、
植物園や、
都内や近郊・横浜のガーデンショップ巡りをしています。
見るだけでも楽しくて~大好きです!
この度は羽田往復の北海道でした。
札幌で会ったガーデニングショップの店長をしている友人の話を、
金子先生にしました。
「アザレア・椿のことなら倉重先生に、教えを請うのが一番です。」と、
おっしゃって下さったのです。
友人が新潟に来た節には是非、よろしくお願い致します。
hanura様
返信するそうですか。羽田経由で北海道ですか。札幌の都市緑化植物園(だったと思います)にはアザレアのコレクションがあるんですよ。毎年展示会をやっていると思います。
私の専門はツツジとシャクナゲです。多分、アザレアとツツジと金子さんはおっしゃったのではないかと思います。はじめてお会いしたのはまだ金子さんが趣味の園芸に出演していない頃でした。15年以上前かもしれません。
事前にご連絡いただければ、いつでもどうぞ。お友達にもよろしくお伝えください。
こんにちは。
返信するアサザといえば、私の住んでいる石川県河北潟にも群生しているらしく『アサザビオトープ』の看板を見た事があります。今度行って花を見てきたいと思います。
一瞬、黄色の花が、家の畑のゴーヤの花を思い出しました(笑)
等花柱花のアサザが存在するんですね。本当に興奮するくらいびっくりですね。
準絶滅危惧とはいえ、ちゃんと保全活動しないとまた絶滅危惧種に戻りますね。繁殖するような湿地がなくなってきたり、池があっても池の底が汚れ生息しにくくなったのでしょうかね。
miyoshi様
返信するいつもコメントをありがとうございます。日記担当の倉重です。
河北潟にもアサザは生えているようですが、一株のようですね。どこかから入った可能性もあるようです。
時期的にはまだ咲いていると思いますので、ぜひご覧になってください。アサザの花は朝に開いて午後には閉じてしまいますし、曇りや雨では咲きません。
環境省では何年かに一度見直しをしていてますが、絶滅危惧種になるもの、外れるものいろいろですので、準絶滅にランクダウンしたとはいえ、安心はできませんね。
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