クンシラン属(Clivia)の色彩について
一般にクンシランはミニアタ種(ウケザキクンシラン)をさす。
クンシランの花の黄色はカロチノイド、
橙赤色はフラボノイドであるアントシアニンの内の一つ、ベラルゴニジン。
この二つの色素で発色している。
ベラルゴニジン(橙赤色)を抑制する劣性遺伝が働いた変種は黄色になる。
また劣性遺伝で発色するものにピーチ(Peach)がある。
ピーチと聞くと日本人は「桃色」=「桃の果皮のピンク」をイメージすると思うが、外国人は「桃の果肉の色」を連想するらしい。
ピーチはイエローとともに日本にも2~30年前に導入された(当時は非常に高価だった)がそれらからの交配苗は一般に広まることはなかったようだ。
海外や自生地に近い環境では淡い黄色にピンクをさすピーチだが、
日本(特に室内栽培)ではピンクの発色が弱く中途半端なイエローに見えてしまうことが普及しなかった要因らしい。
パステルは劣性遺伝によるイエローやピーチと劣性遺伝ではない色彩の花との掛け合わせになる。
花の色の入り方で底緑、底白、爪赤、バイカラー等がある。
また咲き進みで色が濃くなるブラッシュという変化もある。
こういった色にかかわる要素を解きほぐしながら再構築していかないと希望する色を出すのは難しい。
長くなったが、私の交配目標「桜色」である。
クンシランで「桜色=淡いピンク}はできるか?
大変難しいが可能性はある。
海外では種間交配やパステル系の交配からピンク系の花はいろいろ作出されている。
ただ日本人がイメージする桜色とはちょっと異なる。
桜色の繊細な色彩を再現する道程は長い。
桜色は極明るい赤色。
しかし、ミニアタの普通種には赤や赤紫の色素はありません。
ノビリスやカウレスセンス、ある一部のピーチ系交配には赤色~赤紫色の色素=シアニジンがあるそうです。
また白地が多くてピンクを有するミニアタの原種もあります。
それらをもとに改良することで純度の高い赤や赤紫を導くことができるかもしれない。
だが、いくら赤を強めても桜色にするには課題がある。
例えて言うなら、黄色の色画用紙+水彩絵の具の赤。
黄色と赤が重なってオレンジになってしまう。赤紫だと濁りも出る。
地色の黄色、カロチノイドによる色彩だが、黄色を抑えて限りなく白にしないとピンクは発色できない。
地色の白さが重要なポイントだと思う。
それらのことがわかってきたので、
苗探しもそのようにした。
1・ピーチ系で黄色を抑えた花が出やすい親株。
G1・Yellowには白くなる傾向が強い個体がある。それを片親にし たピーチ
2・花形よくピンクがフラットに発色するピーチ
3・ノビリスやカウレスセンスが入った種間交配
4.Q1~8の系統内交配 Q系は白地が際立ちピンクを発色する原種
5・ブラッシュでピンク色が濃くなる系統の交配
これらの特性を組み合わせて交配していきたい。
栽培場所は限られるし年数もかかるので、できることは少ないが新花作出の過程を楽しめたらと思っている。
また、いつか八重咲きの桜色+短葉も実現できたらと思って八重咲き+単葉の苗も入手した。こちらはとても年数がかかりそう。
今回、苗はオークションで入手した。
通販は苗も情報も少なく希望する苗の入手は難しいと感じました。
オークションでは出品者の方に質問を何度も繰り返し、その都度丁寧な回答をいただきました。
「こんなにしつこく?!質問する落札者はいない」と我ながら思うのだが、出品者は海外事情に精通し人脈や知識が豊富で大変多くのことを教わりました。
趣味園でクンシランの交配を考えている方がいたら情報交換し、公開できたらと思っています。
「伝統園芸の君子蘭」も好きだけど、花物としてのクンシランの可能性を発信したい、それが私の希望です。
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