東京の車窓からの夜景が好きだと父が言う。
明るい車内から眺める暗い街のきらびやかなネオンの街並み。
だだっ広い関東平野の片隅を揺られながら
若き日の父は何を思ったのだろうか。
通り過ぎるだけだから、見ていられるのだろう。
一つ一つの灯りにじっくりと向き合えば
そのどれもが、他者のものであることに気付いて
息が出来なくなる。
夜景はただの光の粒だから
使い捨てに眺めるぐらいがちょうどいい。
お菓子の包装に入れられた、安いシリカゲルの粒みたいだ。
地下から地上へと上がってみると、雨は止んでいた。
浸み込んだ雨水の届かぬ地面の下を走り抜ける
眼の無い蛇のような機械の腹の中に居ると、
この世の果てへと突き進んでいくような気がする。
表示された終点にはなんだか信憑性が無いのだ。
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