こんにちは。植物園日記担当の倉重です。
ライン川をはさんで、フランクフルトの西側にマインツという町があります。今回の旅行では、ほとんどそこに滞在していました。
今日は、マインツ大学附属植物園で見た植物を紹介します。小さい植物園なのですが、コレクションは大変充実していました。また、きれいに管理されて、すがすがしく感じました。
今日の話題71 乾燥地の植物
乾燥地の植物を英語でゼロファイト(Xerophyte)と言います。余談ですが、コピー機の会社のゼロックス(Xerox)は乾燥したという意味で、乾式のコピーに由来するんでしょうね。
本当に小さな温室ですが、写真左のオトギリソウの仲間のヒペリクム・バレアリクム(Hypericum balearicum)が開花していました。スペインのバレアレス諸島に特産する常緑性の木本です。厚くて、よじれたような、細長い葉が印象的です。葉と茎にイボのような突起があるのは本種だけのようです。オトギリソウの仲間には、400種もあるそうですが、花は黄色で皆同じようですね。
また話がそれますが、科の学名はceaeで終わるものがほとんどです。ツツジ科 Ericaceae、ユリ科 Liliaceaeなどです。これ以外に、オトギリソウ科 Guttiferae、その他にもキク科 Compositae、イネ科 Graminae、シソ科 Labiatae、アブラナ科 Cruciferaeなど、語尾がceaeでないものがあります(現在はキク科がAsteraceaeなどceaeで終わるように表記される)。これらは、人間の生活に深く関わった植物で、古い時代の表記がそのまま使われたからと聞いたことがあります。
写真中央は、フウチョウボク(フウチョウソウ)科のカッパリス・スピノーサのとげのない亜種ルペストリス(Capparis spinosa ssp. rupestris)。地中海からインドに分布する常緑の木本です。紫色の雄しべと花の白色の対比が鮮やかですね。1日花ですが、次々と開花していました。
「世界有用植物辞典」によれば、蕾(ケーパーと呼ばれる)に淡い香辛味があり、塩と酢でピクルスにし、これを芯にして、アンチョビで巻いた油漬けが有名であるとあります。そう言われれば、瓶詰めを見たことがあるような気がします。
これは隣のサボテン温室でしたが、ちょうどサボテン科のモクキリン(ペレスキア・アクレアタ Pereskia aculeata)が満開でした。5~6mも茎が伸びて、無数はオーバーですが、数百の花を咲かせていました。葉があるのも不思議な感じですね。日本で見るのよりも、ずいぶん花が大きい感じがしました。
温室中に甘くスパイシーなにおい(あまり良いにおいではない)が充満して、たくさんのハチが花に集まっていました。ちょっと緑がかった花(外花被)といい、まるで人がつくったような感じの花です。
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こんにちわ。
返信する私には、深いお話ですが、ありがとうございます。
よく解りました。
coron様
返信する植物園日記担当の倉重と申します。早速のコメントをありがとうございました!
ドイツの植物をもう数回か紹介しようと思っておりますので、今後もよろしくお願いいたします。
こんばんわ。
返信する見たことのない植物ばかりです。
咲き誇るサボテンの花!
葉と花がこんなにつくサボテン、見たことがなかった!
サボテンの本体もさぞかし大きいのでしょうね。
い~な~見てみたい!
巨大な花に極小の花~驚きと感動が満載!
返信する世界中の花が咲く各地の植物園(ほとんど温室内)
でも外の園庭を歩くと、つい足元は見落としがち。
街路樹も季節毎の花や実を、
見る事も楽しむことも無く通り過ぎてしまいます
そんな中…今年は新潟県立植物園前の街路樹「ユリノキ」の花を、
友人達を誘って十分に楽しむことができました。
実は友人共々、花は初めて見たんです
ところで「モクキリン…ペレスキア・アクレアタ」
アクレアタ?どこかで聞いた記憶が~?
一晩経って思い出したのですが、
「メコノシプス・アクレアタ」…アクレアタとは有剣類?
やはり植物の名前を覚えるのは難しいです
ヒペリクム、茎葉の突起が見えなくて残念!それも腺点なのでしょうか。雄しべの豊富な花は何故かひかれてしまいますね。ケーパーブッシュは、某ハーブガーデンで、うっとりでした記憶が…。後日手紙に写真同封で質問した経験があります。メールなんてのがなかった時代で、お返事いただいたときは感激でした。また、以前NHKの番組で、イタリアの方が石垣の隙間に種を押し込んで、「こうやると、発芽に適した環境で容易に芽をだしてくれるのよと語っていたのが印象的でした。
返信するグレープ様
返信するこんばんは。いつもコメントをありがとうございます。
サボテンは大きくて、4〜5mくらいあったと思います。きれいですが、においとハチがすごかったですね。
他の種類も紹介していこうと思っていますので、お楽しみに。
hanura様
返信するいつもありがとうございます。今日は出張で東京に来ています。
ユリノキはタネも面白い形です。ヘリコプターのようにクルクルまわって地面に落ちてきます。今年はたくさんなったようです。先週も地面に落ちていたのを見ました。
アクレアタは、おっしゃるとおり、刺のあるという意味です。さすがですね!
jardin様
返信するコメントをありがとうございます。植物にお詳しいですね。
ヒペリカムは腺状の突起だと思います。写真では見えないですね。
カッパリスは、ケーパーブッシュという名で売られているのですね。知りませんでした。とてもきれいな花でした。雄しべが多い花は、繊細で美しいと思いました。
こんばんは。
返信するドイツのオトギリソウの仲間のヒペリクム・バレアリクム日本のオトギリソウとお花は似ていますね。
オトギリソウの中には花やツボミには黒い斑点がつき、汚らしく見えるのもありますが、ドイツの花は拡大して見ましたが綺麗ですね。
また、オトギリソウは止血薬、うがい薬などの薬効があって漢方にも使われている植物だとか。
オトギリソウの仲間には、400種もあるんですね。
温室中にも、たくさんのハチが花に集まっていて、パンにもミツバチとハチが多いのですね。
miyoshi様
返信するこんばんは。植物園日記担当の倉重です。コメントをありがとうございます。
花は日本のオトギリソウに似ていますね。花や蕾に斑点があるのには気づきませんでした。
弟切草の名は、オトギリソウが秘伝の傷薬であることを恋人に伝えた鷹匠が兄に切られ、その血しぶきの跡が葉にあるという話に由来すると言われています。葉を日に透かしてみると、黒点がが見えるのですが、これが血ということなのでしょう(ない種類もたくさんあります)。西洋でも傷薬として利用されてきたようですね。
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