6 断れぬ招待
家内がやってきた。「今日から入院するんだって?」
「そうなんだよ。いきなり入院だってさ。先週海に行って、いたって元気だったのにね。」「うん。着替えはこれとこれね・・ ここに洗面用具が入ってるからね。」
「Y君は?」
「それがね パパがこのままいなくなっちゃうと思ってるみたいなのよ。」
「そうか・・ わかるのかな?」
「わかるんじゃない。Y君、パパ大好きだから」
小学校1年になった息子のYとは良く遊ぶ。息子はウルトラマンやポケモンのフィギュアを沢山持っていて、フィギュア同士を会話させて物語を作るのが好きだ。よく息子の遊びに付きあわされる。「パパ、これとこれを喋らせて。こっちが敵の要塞だよ。」いい加減にやっていると怒られる。「もっと静かに喋らないと見つかっちゃうよ・・ 偵察してるんだから」こんな調子で、2時間も喋らされたこともあった。遊びといっても結構疲れる。会社から帰ってから風呂に入っていると、「パパー、おかえりー」と走ってきて一緒に風呂に入る。
「今年の夏休みは一緒に過ごせるかな・・ 可哀想な事をしたな。」
「先週、海に行っといて良かったじゃないの。早く良くなってね。」
「ありがとう。早く治すよ。」家内は帰った。
呼吸器内科の病室は満員で、私は救急病室に入る事になった。この病院は緊急センターになっていて、24時間体制で緊急患者を受け入れている。救急車が、夜昼問わずひっきりなしにやって来た。救急病室は、救急車の駐車スペースの隣にある。いつも人の出入りがあって騒々しい。その夜、私はなかなか寝付けなかった。
「今日、入院されたんですか?」年配の男が話しかけてきた。さっきまで気づかなかったが、隣のベッドに寝ていた男だった。歳は、60から70歳だろうか。厚手の腹巻をした男は小太りで、いかにも風采が上がらなかった。「ここでは何ですから、外で話しませんか?」と小声で囁くと、足を引きずりながら病室の外に出て行った。私は片手で点滴スタンドを転がしながら、男の後に続いた。
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救急病室、いろいろな人がいて、面白そうですね。
返信する救急車の音が一晩中聞こえるの、寒そう~
さて、何が起きるのか、・・・・・
次が楽しみ~
カントリーレッド、写真だと普通のピンクに写っちゃっていますね。
赤のサルスベリ、情熱的で良いですよね
ぶらっくべりいさん
おはようございます。
救急病院は、年がら年中救急車がやって来るのでうるさいですね。
カントリーレッドは、これより多少赤い色程度です。真っ赤ではないですよ。今朝は真っ赤なハイビスカスが咲きそうです。
ん? 意外と 主人公の 年齢が
返信する若いことに びっくり しました。
まだ こんな 幼い子供が いるのですか
それは 大変
なんとしても 治さなくては いけませんね。
みんみんさん
こんにちは~
15年前の経験を思い出して書いてます。登場人物は当時の状況にしました。当時、子供はショックだったかもしれませんね。
退院した頃から小説の構想はあったのですが、当時書けませんでした。思い出すと体調が悪くなってしまったので・・ 小説を書くには体力が要りますね
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