米ぬかの思ひで(番外編)・・・・・後編

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1年もたったある日の事・・・、蒸し暑い夏の日の事だった。庭でたどたどしくも楽しい園芸作業をやっていた。今でこそ、なんの疑問もなく、ミニトマトに対して脇芽取り、誘引作業、追肥、黄化した葉っぱの撤去などをほぼ無意識で実施しているのだが、その当時は追肥意外はなぜその作業をするのか分からぬまま、園芸本、ネット等で吸収した知識を使いながらも夢中になって育てていた。

ミニトマトは、話すと皆に驚かれるのだか、栽培当初から種から育てていた。理由は種の方が安くて多く出来るという、ただそれだけの理由だった。園芸をやり始めた当初から野菜を育てるのにお金をかける必要はないとさえ思っていた。なぜ普通に苗を皆が購入するのか不思議にさえ思っていたものだ。最初に野菜の種を購入した動機はそのようなものだった。

しかし、実際種から野菜を育ててみると種が発芽して土を押しのけて双葉を開かせる様子に今度は目を奪われた。自分が、この種に生命を吹き込んだという事実に対して素直に感動した。最初からその植物の成長を見ることが出来る場所にいられる事に感謝すらした。きっと苗より種の方が価格が高くても現在の自分は迷わず種を購入するだろう・・・

このようにして、ミニトマトから始まり、きゅうり、モロヘイヤというように次々と種から野菜の栽培を広げていたが、不思議なことにある程度、野菜を育てているとその苗を見ると大体、栽培情報が無くても育てられるようになっていった。「好きこそものの上手なれ」という言葉は実感的に「こういう事なのか・・・」と感じとれるようになっていた。

野菜を育てていると、重要なことがなんなのか徐々に教えられなくても経験的に分かってくる。肥料も、もちろんそうなのだが、肥料よりも重要な事がある。それは土のことだ。土が悪ければ植物の栽培はだいたい徒労に終わるという事が経験上、蓄積してきた頃でもあった。だからこそ、堆肥というものの重要性が身に染みていた。

庭から出る、多量の雑草、残渣、刈り取った枝を分解するための米ぬかの実力を昨年にまざまざと見せつけられたので、今年もこの米ぬかを使用しようと肥料ボックスを開けて久しぶりにビニールに入った米ぬかと対面した。ん・・・ん・・・っ💦 WOW～!!と次の瞬間、思わず外人のように大げさなリアクションで米ぬか袋を見て叫んでいる自分がいた・・・・

米ぬかのビニール袋の中には、赤い5ミり位の甲虫が沢山入ってじっとうずくまっていたのだ。バレーボールサイズの米ぬかの袋の中に50匹以上はくだらない・・・訳の分からぬ怒りがむらむらとこみあげてきて思わずその米ぬかの入った袋を思いっきり足で蹴り上げた。米ぬか袋はなんだか寂しそうな面持ちで、空中で一旦静止すると、庭の端っこにころころと横たわり、やがてジッとうずくまって動かなくなった・・。タバコシバンムシとの最初の出会い。園芸なんて・・・、園芸なんて・・・( ﾉД`)ｼｸｼｸ…と体を震わせる若き日の自分がそこにいた。何もかもが若かった・・・そして今は歳をとった(笑)
　(追伸)
　今回は、肥料として認められず、日陰者の米ぬかにスポットを
　あてて2部構成にしてみました。堆肥作りには色々な園芸資材が
　利用されていますが、自分は米ぬかが身近にある一番の、発酵促
　進剤だと思っています。もっと、米ぬかにエールを!!
　最後まで、飽きないで読み進まれた方には、本当にお疲れ様で
　したとねぎらいの言葉をお送り致しま～す✨✨

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