湯島臥牛さんの園芸日記
写真

他のプロフィール画像を見る

湯島臥牛さん  東京都
お気に入りメンバーに登録
2017年12月
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ

根腐れのメカニズム/ 「ウェントの霧箱」

2017/12/25
根腐れのメカニズム/ 「ウェントの霧箱」 拡大 写真1 根腐れのメカニズム/ 「ウェントの霧箱」 拡大 写真2

.


「ウェントの霧箱の実験」というのをご存知か

アメリカの植物生理学者ウェントは暗くした箱に数本のトマトの根を横に並べて垂らし片方の端の横壁に穴を開けて定期的に水を噴霧して一定期間栽培した

すると 噴霧孔に近いトマトほど生育が悪く根の伸張度が著しく貧弱であった

この実験から解ることは 植物の根は表面が始終水分の膜で覆われているとその機能に支障を来たす ということである

これは根が酸素を吸収するのを水分の膜が阻害するためで 根は吸水が役目だが同時に酸素も吸収しないと植物体自体の生長に障害を起こすことがわかる

この際 根は最初 水の膜に溶けた酸素を吸収するのだが やがてそれでは追い着かず空気中の酸素を求めるが 水膜がそれをシャットアウトするので酸欠状態を来たしこれが長時間続くと根は死んでしまう

これが いわゆる「根腐れ」である

ご存知のように水に溶ける酸素は水温が高ければ高いほど少なくなる
高温期に培養土を過湿にすると腐死する植物が出てくるのはこの理由による

もちろん植物の種類によってこの度合いが違うのは周知の通り

乾燥した土壌に生えてる多肉植物はこの生理が著しく 特に乾燥の激しい地帯に自生する玉型メセン 小型クラッスラなどの高度多肉質のものは高温季の過湿に弱い

しかし何ごとも例外というものがあるもので ハス ガマ イネなどの水中の土に根を張って生長する いわゆる沼生植物と呼ばれるグループは葉や茎で酸素を吸収しそれを根に輸送して根部の酸欠を防いでいる

昔のサボテン・多肉植物の栽培のベテランは長い経験でこの辺りの按配をカラダで覚えていて 用土も種類に合わせて選び 水遣りの手加減も適宜に調節できていた

初心者は(これは無理もないことだが)その辺の機微が理解できず 用土選びもトンチンカンで 灌水も不適切で 数年のうちに多くの植物をアノ世へ送る

サボテン・多肉植物の培養土に水はけの良い粗めのものを使うのは根にすばやく酸素を供給し土中の過湿状態をできるだけ回避するためである


願わくば 斯くのような耐乾性植物(多肉・根茎植物)の根の性質を踏まえ この拙文を参考にして頂き 灌水 用土・鉢選択に一考を

.

「根腐れのメカニズム/ 「ウェントの霧箱」」関連カテゴリ

みんなの趣味の園芸にログイン/登録する

※コメントの書き込みには会員登録が必要です。

会員登録がお済みの方は

会員登録をすると、園芸日記、そだレポ、アルバム、コミュニティ、マイページなどのサービスを無料でご利用いただくことができます。

定期購読
投稿募集中 from テキスト編集部
見て見て!お気に入りの花

見て見て!お気に入りの花
自慢の植物・庭の写真を募集中!

みんなのマルシェ

みんなのマルシェ
自慢の畑・野菜の写真を募集中!