湯島臥牛さんの園芸日記
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湯島臥牛さん  東京都
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植物に紫外線は必要か?

2018/02/26

.


植物に紫外線がはたして必要か?

必要ならどの程度必要か。照射時間は。
あるいは無くったっていいのか。

結論を先に書くとあとは読んでくんないから勿体つけて最後に書くぜ。

いや、こう予告すると途中を読み飛ばすのがいるから結論の個所は意地悪して明かさねぇよ。
ちゃんと全文読んでくれる人にだけ教えちゃう。
(結構しんどい思いして書いたから斜め読みされちゃぁかなわねぇし)



まず、紫外線にゃ種類がある。
UV-A(紫外線A波)・UV-B(紫外線B波)・UV-C(紫外線C波)の3種類。

このうちUV-Cはオゾン層に吸収されるから除外するとして、ふつうにゃUV-AとUV-Bの2種が人体に影響する。
(UV-Cは生物の細胞に対しての破壊力が凄まじい。つまりオゾン層の破壊されてる南極地帯は相当にヤバいことになる)

地表に降り注ぐ紫外線の約99%をを占めるのがUV-A。
波長が長く、雲や家の中・車の窓ガラスも透過して肌にも到達するため「生活紫外線」とも呼ばれる。
UV-Aを浴びると肌はゆっくりと黒くなりシワやたるみを引き起こす。

次に波長が短いのがUV-B。
屋外での日焼けの主な原因となるため「レジャー紫外線」とも呼ばれ、多量に浴びてしまうと皮膚に赤い炎症を起こしメラニンを生じさせシミや色素沈着の原因になる。


昔は「夏場に日光浴して肌を焼いておくと冬になって風邪に対する抵抗力が備わる」とか云われてた。
しかしこれは俗説で、今どきこんなことを言う学者・医療関係者はいねぇ。

たしかに、古来紫外線は人体に必要不可欠とされて来た。
昔の衛生学なんかにゃ「紫外線は皮膚におけるビタミンDの生成に必要」って書かれてあった。

あるアメちゃん学者は、UVB照射時間が短いことがビタミンDの欠乏を起こし合衆国で何万もの死者が生じていると主張してる。
実際に米国では日照の少ない緯度の高い地域での大腸癌、乳癌、卵巣癌、多発性硬化症が多発してるらしい。

また、ビタミンD欠乏は骨軟化症(くる病;いわゆる背ムシ)を生じさせる。
現に、北欧へ移住した黒人の子供たちがくる病を発症してる例が多いそうだ。
皮膚の活性化したメラニン色素が紫外線吸収を阻害してる症例だろう。

だけど、必要なビタミンDを得る日光浴の時間はごく少なくて良い。
緯度によって違うけれど、夏場で云うと10~20分で十分でそれ以上、たとえば1時間以上浴び続けると皮膚にとっては有害でしかない。

紫外線は波長が長いほど皮膚の深部にまで到達する。
UV-Aは真皮にまで届き活性酸素をつくり、皮膚に弾力を持たせてるコラーゲン繊維をズタズタにしてシワ・弛みを生じさせる。
いわゆる「紫外線老化」だ。

UV-Bは波長が短く皮膚の表皮部分で止まるが、その有害性は紫外線Aの100~1000倍強く、美容に悪いだけでなく免疫力の低下、皮膚がん、白内障など引き起こす。

余談だが、蛍光灯は水銀蒸気をイオン化することにより紫外線を作り出す。
蛍光管の内側の蛍光物質は、紫外線を吸収しそれを可視光線に変える。

ところが水銀蒸気の放射する紫外線はUVC領域で、蛍光物質を塗られてねぇ水銀アーク灯から皮膚や目に受けることは非常に危険。

一般的な蛍光灯のガラスはUVC領域の透過性の悪いガラスが使われているため蛍光物質が部分的に剥がれても危険は生じないが殺菌灯は透過率が極めて優れた石英ガラスが使用されているため直視することは大変危険。
水銀灯の光はまた水銀灯やメタルハライドランプも発光管に石英ガラスが使われており外側のバルブが破損状態で点灯しているのもUVCが強力に放射されているため直視は極めて危険で死亡者も出る。

ちなみに、カバは赤い(ピンク色)汗をかくことで有名だが、この赤い汗にゃ紫外線や細菌から身を守る働きがあるので、カバは紫外線に対する抵抗がバカに強い動物だといわれてる。


ここで本題に入るとする。

「植物に紫外線が必要か」

植物に光が必要なのは誰でも知ってる。
だがその光というのは「可視光線」で眼に見える光のこと。
紫外線はとうぜん眼に見えないものを云う。

紫外線は可視光域に近い方から、UV-A(315〜400nm)・UV-B(290〜315nm)・UV-C(波長280nm未満)と分類される。

上にも書いたように紫外線は動物では概ね波長が短いほど有害とされ、波長の短い光のうち特にUV-Cの光は細胞のDNAにダメージを与え、細胞が死んだり突然変異を起こす。
UV-Cの光が細胞に有害であることは植物も動物と同じ。

だがここで肝腎なのが、紫外線は植物にとって動物以上に有益な面も多いってこと。

専門用語を省いて結論を云うとだね、まずUV-Aは、植物のバヤイかならずしも有害ばかりじゃねぇ。

実験室でUV-AやUV-Bなどのある特定の波長の光だけが植物に当るような実験条件にして調べた結果、光受容体と思われる器官がUV-Aの光を受け取り茎の徒長を抑える働きをすることが実験でわかってる。

また、この光受容体の一種がUV-Aの光を受け取り、花芽の形成を促進したりアントシアンという赤紫色の色素の合成を促進することがある。

もうひとつのUV-Bの光の効果は植物ではまだそれほどに解明が進んでおらず、光受容体も明らかになっていねぇ。
しかし、遠赤色光受容体による徒長抑制の働きを促進する効果があるらしい。

つまり植物の茎や葉の徒長を抑える働きがあるので、UV-Bの光はかならずしも有害というばかりではない。

また読者諸姉・諸兄の最も知りたいのは、窓ガラスにフィルムを貼って太陽光のうちのある程度の紫外線をカットしたとき室内の植物や観葉植物に影響があるかどうか。
また逆に細胞にダメージを与えるかどうか、成長を阻害するかどうか、だろう。

一般的には、ある程度のUV-Aに相当する光があったほうが、葉の伸展(葉がイキイキと広がること)や徒長抑制(しっかりした株に育つ)には有効ってこった。

ただし、UV-Aがカットされてもより長い波長域の青色光が十分な強度であれば多くの植物じゃ正常に成長が調節されるので、必ずしもUV-AあるいはUV-Bの光がなければ植物は正常に成長しないということではないらしい。


はい、面倒な講釈おわり。

理屈屋のお節介にうんざりしてるお人にゃスマなかったねぇ。

まぁ勘弁しちくり。



.

「植物に紫外線は必要か?」関連カテゴリ

みんなのコメント(10)

こんばんは、いつも感心して拝見しております」、さて今回の投稿記事参考になりました。

紫外線のUV-BとUV-C及び遠赤外線は、植物の成長には必ずしも必要と言うわけではないと思いますが、UV-Aはどちらかと言えばあった方が良い、遠赤外線は概ね必ず必要ではないのかも、日照時間や地上に届く光の波長の関係に注意を払った方が良いのでは、西日がたくさん差し込む部屋は、夜になる前に遠赤外線がたっぷりに植物に照射されることになり、夜間の植物の徒長が促進されてしまう場合が有るのでは、これから春に向かい多肉植物に最高の成長期になりますが徐々に日光の日照りにならして強い環境の植物を、蒸し暑い梅雨、熱い夏を何とか遮光シートの力を借りて乗り切ろう。

返信する

概ねおっしゃる通りですが、昔から日本の伝統園芸じゃ日中のカンカン照りは植物に有害で、朝夕の日照は植物の成長に良いことは長い経験で伝統的に判っております。
現代的に云うと「遠赤色光(690〜770nmの波長領域)」のことです。

東洋欄・万年青・イワヒバ・森林性シダ・苔などは払暁(明け方の朝日)に当て、日中は寒冷紗・スダレで遮光します。

こんにちは、

普段は蘭友さんの日記以外 滅多に目を通す事がないのですが 以前 pHについて書かれていたエッセイを偶然面白く拝見して以来 湯島臥牛さんの日記を覗かせて頂いています。

植物栽培の経験薄く、最近 蘭栽培を始めたばかりの初心者からの質問です。

“徒長” は良くないのでしょうか?

返信する

いらっしゃい。
徒長については美的感覚の領域ですから、どうしろこうしろとは小生から口幅ったいことは言えませんが、昔から「間延び」「うらなり」「もやしっ子」と表現されるように園芸的に歓迎されませんようで。

植物生理学的にも、日照不足・灌水過多・肥料分過多などの不適切な栽培の結果としてあらわれ、病虫害にも抵抗力の乏しい植物となり不健康の象徴的な姿と見做されます。

まぁでも、憲法にも保障されてる表現の自由がありますので、その植物をオーナーがどのように栽培しようが個人の自由ですのでたとえ徒長株を多数栽培しようが非難されるべきではないと思います。

植物が可哀想だと小生は内心思いますが・・・
(これも思想信条の自由、憲法で保障されてる国民の権利です)

早速 ご回答頂きありがとうございました。
回答には納得です。美的感覚は主観で個人の自由ですが 植物生理学的考察はサイエンスなので説得力があります。

植物管理人としての私は、そもそも健康な姿がよく分かっていないので 徒長しているかのかどうかさえ見分けがついていないレベルなのだと思います。

引き続き、観察と勉強を続けます。

結構です、これからの趣味のご発展お祈り申します。

現代はネットがあり、熱意と根気さえあれば栽培に必要な知識はいくらでも収集できます。
どのような草姿の株が愛好者に好まれるかはすぐに検索できます。
小生が園芸を始めた40数年前は本屋か図書館へ通って情報を収集するか近隣のベテラン愛好家の門を叩き教えを乞うくらいしか栽培上達の道はありませんでした。

小生は他にスキューバ・ダイビングの趣味がありこれも40数年のキャリアがありますが(自慢じゃありませんよ)、これも"水の性質”が肌を以て解ってないと楽しめません。
いや命を落とす事すらあります。

しかし幸い園芸の場合、失敗して徒長させても命に関わる事はない(植物の命は失われますが)

願わくば、ネット上の頭でっかちの情報だけじゃなく、"土の性質"と"植物の本質"を体で感得して頂きランや多肉の真の魅力に触れて頂きたいと切望する次第であります。

こんばんは

車の窓ガラスは高い紫外線カット率で出来ていますが、家の窓ガラスやべランダの透明な屋根(たぶんポリカ)はどうなんだろうと疑問を持ちました。
というのも1年のうちで窓際やベランダに置く割合がそこそこ多いので。
近年の傾向としては紫外線カットを謳う工業製品が増えてますので気になります。
まずは我が家のガラス調べてみることにします。

返信する

ポリカーボネートはどうやら紫外線は透過させないようです。
透過率ゼロと謳ってるロゴも見かけます。
だからサングラスの素材に使われてる。

紫外線の欠除を気にされてるようですが、本文の最後にあるように直射の紫外線のカットされた環境でも充分な明るさがあれば植物の成長に影響はないようです。
ましてベランダであれば壁の反射紫外線も降り注ぐだろうし、真横からの青色光の散乱もありますからポリカの遮蔽はなんら問題はないと思われます。

それよりも室内に収容された根茎の方が心配です。
休眠期の塊根・根茎は1日に何時間かはある程度の温度を確保しないと日本の冬場の環境じゃ腐敗するケースが増えるようです。
通風下での毎日の日光浴は不可欠で、そうでないと歩留りが落ちるようです。
ウチのアデニア・ラケモサは日中30℃のフレームに入れ夕方からは成育ライト下で温度を確保してます。
そのせいか落葉せずに現状キープ。成長は止まってますが。

こんにちは。お久しぶりです。
臥牛先生すこぶる快調なご様子で安心致しました・・・って私がいうのは変ですね^_^;
先日コメント頂いてありがとうございました。
久しぶりに日記にお邪魔したら臥牛節炸裂〜でニンマリしました。
難しいお話へのコメントではなくすみません。
またよろしくお願いします^_^

返信する

相変わらずでさぁ 😌🤚🏻
紫外線の話ぁ大してむずかしくもねぇんだが、専門用語が出て来んで女性にゃ読みたくもねぇだろうねぇ。
こちとらぁ理屈から入る方だから、まず能書きを知らなきゃ栽培する気にもなんねぇ。
一種のビョーキよぉ。

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