湯島臥牛さんの園芸日記
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湯島臥牛さん  東京都
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川砂が主体で本当にいいのか

2018/03/02
川砂が主体で本当にいいのか 拡大 写真1

.

以下は十数年前にあるSNSにUPしたコラム。
生意気な文だが、若気の至りってことで堪忍されたし。


          ◇


「馬鹿と鋏は使い様」と昔から云う

 栽培においては砂もそうである
 

小生がサボテン・多肉植物の栽培を本格的に開始した昭和50年頃の参考書には

「培養土に使う砂は川砂が最も適している」とある

「関東は玉土(たまつち)を使用し中部・関西以西では川砂を使う」

とも記してあり

「関東地方で砂を使用しないのは良い川砂がないからだ」とも

他の書も内容は似たり寄ったりで 要するに用土のベースは砂にかぎるという事だ

またある本には「愛知県のサボテン生産は全国の80%以上で それは良質の砂があったからだ」とまで書かれてある

この良質の砂というのは川砂のことをいっている

ほかに海砂 山砂があるが 塩気 泥気があって洗う必要があり 大量に使用する場合手間がかかるし 海砂は角がとれてまるく川砂に比べ水はけ通気が悪い とある  

 川砂の長所
       
   〇水はけがよい  〇空気の通りがよい  〇泥気が少ない

   〇入手し易い

たしかにこれは嘘ではない  
どれも他との比較の問題だが 間違ってはいない

しかし一つ一つよく考えてみると 必ずしも長所が栽培時に全面的に有利にはたらくとばかりは限らない

水はけがよい 通気がいい ということは 短時間に乾燥し過ぎる恐れがある


会社勤めの人は 出勤前 帰宅後に水やりをすることになる

朝の忙しい時間帯に鉢の乾き具合をみて適切な潅水をするのは非常に煩わしい

暗くなって帰宅してからの水遣りは億劫だ 飲んで帰った場合はなおさらである


まだ大丈夫だろうと潅水を控えてるうちに鉢の下部の培養土までカラカラに乾かし 葉枯れ 細根の枯死 生育の停止 最悪の場合 衰弱死に至る

主婦も 家事 子供の世話 亭主の居ぬ間の息抜きなどで忙しく「かわい~」だけの理由で衝動買いし ベランダに立錐の余地もないほど並べた鉢々を放置死させる

家計に余裕のある者はどんどん購入し杜撰な管理でつぎつぎに干物にしてゆく

購入直後に自慢げにブログで披露した株も数年後にはいつの間にか姿を消している

ブログにも昇天させたことについては くわしく述べられてはいない場合が多い


川砂は 上流で細かく風化した花崗岩 石英 長石 片岩などが流されてきたもので 最上流部のものは確かに泥気はないが 中下流のものは灌漑用水や生活雑排水が合流 護岸工事が盛んな昨今では 赤土が混じってることも多い

採集が容易だったのは2~30年前のことで 都会の川という川は両岸をフェンスで厳重に囲い 犬猫でさえ近づけないようになっていて自然採取どころの騒ぎではない

最近では園芸店 ホームセンターにも置いてあるので 入手方法は大概これになる

ただ市販の川砂は多肉植物専用ではなく盆栽用のもので 細かい粒も混じっていて微塵をフルイで取り除くと使える量はずいぶんと少なくなる

今は 多肉植物専用のものと称する土も市販されている

家族から顰蹙を買うほどコレクションを増やした人に配合の手間を省くためこれをすべての収集植物の植え替えに使用している例も多い

ブログでは一人前の収集家を気取って初心者の質問に答えている者が 植え替えの際膨大な数のコレクションにたった1種類の出来合い用土でもってすべて植え込んであとは澄ましてる顔を想像すると小生おもわず笑えてくる

個人の自由なのでどうこう云うつもりはないが ただ植物により必ずしも適する物ばかりとは限らないと思う(それについての理由は後述する)


海砂は角がとれて丸く川砂に比べ水はけが悪いということになっているが 果たして一概にそうだろうか

たしかに海から採取してそのまま植え込めばそうかもしれないが 初心者でもあるまいに普通フルイにかけて使うに決まっておろう

小生 熱帯魚飼育も趣味としておるが 水槽の底砂利(大磯砂)でハウォルチアを植え込んだことがあるが 赤玉土主体のそれに比べ何ら遜色なく生育した

もちろん大磯砂単用ではなく 腐葉土 バーミュキュライト 籾殻燻炭も混ぜて である

大磯砂は粒径3~5㎜のもので 粒が揃っており熱帯魚店で容易に購入できる

水はけも決して悪くなく 保水材と併用すれば優秀な培養土となり得る筈だ

関東のダイバーの諸君はご存知だろうが伊豆大瀬崎の湾内に撒かれてある砂利はつぶが揃っていて角ばっているので栽培に使えると小生確信している

もちろん ベンケイソウ科や実生苗のように繊細な根の場合は不向きだがユリ科 アガベ科のような直根性のものには充分特性を発揮できると思う

ただ湘南海岸にあるような細かい海砂はそのまま使うのはどうであろうか

フルイにかけて大粒のものだけ使用するにしても 問題は貝殻の破片がかなり混じっていることである

アクアリスト(熱帯魚愛好家)はよく知っているが アマゾン河で代表されるピラニアなどのカラシン類 ナマズ科の多くはアルカリ性の水質を嫌う

そこで 海砂を底砂として使うときは希硝酸に漬けて炭酸カルシュウムを溶かし去ってから使用する


多肉植物の多くのものもアルカリ性の土壌を嫌う

嘘ではない 不審に思う方は調べてみるといい


さらに云えば サボテンもほんとは石灰分を混ぜない方がよいのだ

常識ではカキガラ少量を配合することになっているがそれは大いに疑問である

そのことについてはいずれ証明する ご期待あれ


川砂には他に昔から盆栽に重用された京阪神の「天竜川砂」中部「矢作川砂」オモトの栽培に常用する「朝明砂(あさけずな)」「足守川砂」などがあったが現在は非常に入手困難で 一般的ではないうらみがある


ただ朝明砂については一部関東でも売られていて 万年青(オモト)栽培法同様 多肉植物にも応用できる要素があることを小生は発見した

それはいずれ主題を分けて述べてみたい


 ※朝明砂;三重県朝明川(あさけがわ)上流から産出される川砂の一種で花崗岩が風化した硬質の砂 鉄分を含み排水通気性に優れ 単用或いは配合用土として盆栽に使われる

つまり結論として云える事は 何が何でも川砂主体が良いかというとそれはその植物にもより 添加物の種類に大いに左右され 時代が下るに従って絶対とは云えなくなってきていると言う事だ

そして従来から敬遠されてきた海砂でさえ工夫すれば充分採用に耐える

次回 各玉土の特性 そして「理想的な砂 山砂」の理由の根拠を述べる
(一般にはほとんど知られていないが容易に購入できる砂利があるのである)



.

「川砂が主体で本当にいいのか」関連カテゴリ

みんなのコメント(15)

こんにちは

4月の植え替え(多肉植物リトープス等)川砂を主体に振るいにかけて粉を除いて(パンケーキ等に使用する振るい)使いたいと考えていましたところ参考になりました、最後の理想的な砂、山砂、次回期待してますよ、それと、鉱物でいうと沸石が有りますが今別名でゼオライト名で販売しております、魚飼育のろ過材、犬猫のおしっこ用等、これなんかも混ぜて使ったらどうですか?、次回早めに教えてください。

返信する

山砂は花崗岩の砂利、つまりマサ土のことです。
京阪神地方じゃ「岡山石」とか称して売ってます。
昔 四国の園芸店で売られてるのを手に取ったことがあります。

ゼオライトは玉型メセンの用土には合わないと思いますよ。
微細な多孔質で吸水性があり保湿に優れてますのでハオルチア・ガステリアなど休眠期でも完全断水をしない種に向いてます。
現に多肉専門店のハオルチアや小型ガステリアの用土に用いられてるのを見かけます。

リトープスのように日本の夏季の湿度を嫌う種は、おっしゃる通り川砂、マサ土、砂利に日向土などの軽石材を加え、腐食質は少量にし、保湿にゃバーミュキュライトや籾殻燻炭などの容易に乾く素材を使用するのがベストと心得ておりました。

こんばんは。
今回の砂や先日の石に関する話、どれも興味深く読ませていただいています。
「この植物にはこの土」と一概にいえないというのは、身を持って実感しています。
多肉類をベランダに置いて10年ほどになります。といっても、所持しているのは、よくある普及種がほとんどですが。限られた環境で試行錯誤した結果、土を固めた粒状の一般草花用用土に、小粒の軽石を混ぜて使っています。
…混ぜるというか、植え替えのさいにふるいをかける手間を惜しんで分離せずそのまま使ってみたら、案外良かったみたいでみんな元気です。軽石が、縁の下の力持ちになってくれてるんだなと思っています。

返信する

いらっしゃい。

おっしゃる通り いわゆる「紋切り型」の用土プロフィールで多種の多肉を植え込むのはリスクがあまりにも高い。
栽培業者のそれですが、水やりの手加減で乗り切れればそれに越したことはないが、業者は業者でかなりの歩止まりの悪さを隠してるケースが多いように思います。

用土の配合割合は、多肉の種類・性質はもちろん、鉢の容量、季節、株の状態、己れの水やりの癖、置き場所など種々のエレメントを考慮しながらの決定に帰結します。
ひと鉢ひと鉢マメに配合を変えられるのが、我々アマチュア栽培家の特権たる所以。

たしかに根の強い普及種は微塵を抜かずに使用した方が成績が良い場合もあるようですな。
ただ、希少種や難物はセオリーに従った方が無難でしょう。
先人の幾多の経験から生まれた「微塵を抜いて」というセオリーである訳ですので。

アッ言葉足らずなところがありました💦
全体はふるいにかけ、砂塵を取り除いています。ただ、培養土として使っている物の粒に近いサイズの軽石が混じってしまって、それを取り除いていなくて。鉢の下部は大きめ軽石、上部は軽石と粒状の土で混合、といった具合でして、根の細かいものは土多め、太いものは軽石多め、でやっています。
ひとつひとつに目をかけられるのがアマチュアの特権、確かにその通りですよね。土が同じで水やりを変えるより、水やりを同じくして土の乾き具合を調節した方がカンタンだと思うのですが。大量生産に大量消費の世の中では、そうもいかないのでしょうか。店の隅でクチャクチャになっている株などを見ると、いたたまれないです。

ボラ土や日向土など軽石素材は微塵を多少含んでいても用土の目詰まりなどは起こさないと思いますので、然るべくそのようになさって下さいまし。

軽石成分は、表面に微細な孔(あな)が無数にあり保水にも役立ち、通風した時に速やかに乾燥する性質があります。
それも考慮に入れて用いられることをお勧めします。

ホームセンターや百均であわれな徒長株・ミイラ株を目にすると、あたかも保健所で殺処分される犬猫を連想するのは小生だけじゃなかったのですな。

たしかにすべての多肉植物を救う事など不可能ですが、手にした株だけでもなんとか衰弱死からレスキューしたいという願望がぬぐい切れません。
小生などはまだまだ悟り切れない未熟者でしょう。

アドバイス、ありがとうございます。
ヤッパ、花崗岩の風化したマサですか、先月茨城県高萩市方面に有る鉱山探索に行ってきました、この場所は花崗岩のマサの露頭がありました沢には沢山のマサが敷かれておりました残念、ホームセンターの園芸店で購入します、建設用の砂利をふるいにかけて使用したらどうでしょうか、川砂よりも粒が荒いと思いますが、ヤッパ川砂か軽石がリトープスによろしいですか。

返信する

最近じゃリトープスも大量に生産され一般に普及して来ました。

それはそれで喜ばしい事ではありますが、反面「玉型メセンを栽培する覚悟」を持たない門外漢の人たちまでが容易に入手、結果的に「大量消費」されてゆくという御時世になったようです。

彼ら彼女らは「メセンの生態」を研究しようともせず、ただ単に「かわいい」という動機のみを以って収集を始めます。

難物メセンの休眠期に枯らした経験を持つオールドファンとしてはハラハラのし通しで、老婆心ながらのアドバイスをするものやらしないものやら悩む日々であります。(ヘタに助言するとプライドが傷つくのか 怒り出す人もいます)

玉型メセンが腐るのは、経験上 本体と根元の境目が多い。
夏季の休眠期に根元の湿気が直接の腐敗の原因です。
ゆえに、根元付近に保湿性の石や土があるのは危険です。

軽石を敷く場合、けっして湿らさないことが大切。
石英・長石などの吸水性のない中粒の化粧石が適してますね。

前の日記「驚くべき岩石の利用」の中にマサ土について書いてます。
⬇️
『粗い粒子は「さび砂利」と呼ばれる小さ目の砂利である(砂としてはかなり大粒)
鉄錆び色の混じった乳白色の花崗岩の風化したものでかなり重量がある

これは園芸店で買ったのではなく建材店で20㌔袋八百円ほどで購入したものである
大小篩(ふるい)に掛けてその中で中粒を用いた

園芸用に使用されることはなく住宅の通路に敷かれる砂利として売られている

主に伊勢地方で産出するものが多いが関東北部でも少数採掘されるようだ
他の園芸砂に比べ安価だが 大量使用する建材用砂利としてはかなり高級品なのだそうだ
読者の中にもどこかの豪邸の玄関周囲に撒かれておるのを見た方がおられるかも知れぬ』

了解しました、石英(珪石)、長石(ピンク色、白色等)、カリ長石等、雲母等が、鉱物採集で持て帰って有りますのでこれらを砕いて使用します、最後にマンガン鉱物等を混ぜると害が有りますか(当時マンガン鉱山採集しましてこれも集めてありますが、硬い鉱物でピンク色からチョコレイト色と、とても美しい鉱物ですが今はタドン色で真っ黒です、マンガン電池に使用されて、今は鉄に混ぜて使用されているようです)が。しつこい様ですみません素人なもんで。

返信する

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マンガン鉱石を加えるのはお止しになった方がよろしいと思います。

たしかにマンガンは、鉄・硫黄・カルシウム・亜鉛・マグネシウム・銅・モリブデン・塩素・ケイ素・ホウ素などと並んで植物に必要な微量元素のひとつです。

これらは、肥料の三要素(窒素・燐酸・加里)以外に植物の成長に欠かせないもので、日本産の土壌(赤玉・鹿沼・桐生砂など各種の土)にゃ微量ですがふくまれてます

これらが欠乏すると各種の障害を起こすことが知られており、中でもアルカリ性土壌においては南米サボテンのホウ素・マンガン欠乏で体部・葉の黄変や成長点障害が発生します。

しかし同時に「マンガン過剰症」も報告されており、イネの葉の斑点・赤枯れ・根部の黒変、りんごの樹皮の肌荒れ・ひび割れ・葉の黄変などがあります。
とくにサボテン・多肉植物のように体内に水分を蓄えるような体液の薄い植物は、濃い肥料を与えると根毛の半透膜の脱水を引き起こす いわゆる肥え負け現象が起こります。

お持ちのマンガン鉱石が黒ずんでるとの事で、ほかの元素とイオン的に活発に反応するかどうか、水溶性になるかどうかは判りませんが、積極的に加えるメリットは考えられませんので、用土に添加するのは賛成できません。

しかし、マンガン過剰症がどのように起こるかを実験したいとおっしゃるならやってみられるのもひとつの試みでしょうね。
そのために植物に実験台になってもらうことも、可哀想ではありますが価値のない事じゃないかも知れませぬ。
.

こんばんは


リトープスで表土付近に赤玉小粒だけを使っている鉢があります。更に悪いことに粒がつぶれてきています。
本体と根元の境目が特に弱いとのこと、過湿にならないように用土を見直して早めに植替えようと決めました。
溶けないうちに教えて貰って良かったです。

返信する

表土の赤玉土だけを根を避けて部分的に入れ替える「部分植え替え」の裏ワザがあります。
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_r_detail&target_report_id=9085

それと「リトープスの皮むき」という作業もあります。
コルク状の脱皮殻は湿気を吸いカビの胞子の温床になりますので遅くとも8月末までには行ないたいもの。

ただしピンセットで引っ張って取れないものは無理をなさらないで下さい。本体に傷が付くとかえって腐敗の原因になります。
誤って傷がついた場合、消石灰などをまぶして速やかに乾燥させ、以後根元に湿気がこもらないよう通風に努めて下さいまし。

梅雨〜8月いっぱい小型扇風機で絶えず風を送るのも一法です。

とにかく夏季の半休眠期間は根元の周囲を濡らさない事です。
湿らせることはいつも腐死の危険と隣り合わせってことです。

園芸用途の川砂が入手困難になって、ホームセンターでの価格も安くありません。海砂は水洗済み表示があっても園芸には使えない事になっており、なんとかならないかと手間暇掛けずに雨水自然洗浄を目論んでいます。雑草が生えて草刈りの手間に悩まされる庭地に海砂を散布放置して、時間を掛けて自然洗浄できれば培土に転用できるのではと思考しています。目安は、雑草が繁茂するようになれば良いかなと思っています。

返信する

まずはこの記事をご覧下さい。

http://www.asahi-net.or.jp/~dt4k-ynd/zakki05402.htm

ゆえに現在、ウチは川砂は一切使用しておりません。

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