富山昌克(トミー)さんの園芸日記
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富山昌克(トミー)さん  大阪府
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夜間の最低温度とドアの隙間風と低湿度

2012/02/17

 明日から東京ドームのラン展が始まりますね。たくさんのランが販売され、たくさんの方々がお買い上げしてくださることだと思います。専門家のひとりとしてちゃんとここに書き残しておきますね。

「ランをだめにしてしまう」ってよくききます。

 切花を買うより鉢花のほうが花が長持ちするから、「ラン展で洋ランを買うときは株がついた切花を買っている感覚なの」っておっしゃるかたもいらっしゃいます。この半世紀、ランを大量生産して販売し続けてきて、ランの管理方法もちゃんと伝わらないまま、いまにいたっておりますから、こういう評価を受けてもいたしないのかもしれません。

冬にランを枯らしてしまう原因は、
 冬季・理想最低温度(15℃)以下という温度環境のなかで、
15℃以下の冷たい水をかけてしまうことが第1位だと思います。

 1~2回程度なら問題はないのですが、草花のようにずっと湿ったまま、水やりの量が多いと夜間の低温により凍傷になったような状況になり不具合が生じてきます。
 低温で繁殖するバクテリアが根を食べ始めるのです。それが根腐れっていう現象です。

 水やり時の水温の理想は30℃。90℃のポットのお湯と冬場の0℃近い水道水を同量混ぜると、30℃のぬるま湯になります。それが無理なら、ペットボトルに汲み置きし30分間ランと同じところに置くと株の温度と水温が同じになります。 水温を意識した水やりもよろしくお願いします。

 基本的に鉢内が乾いていれば、寒さに対する抵抗力がついてきます。 つまり鉢内を乾かしていけば、冬季・生存限界温度が下がっていきます。
 鉢内が濡れたままだと、15℃を確保するのが安全なんですが、鉢内が乾燥しておりますと、10℃、7℃、4℃まで生存限界温度が下がっていくのです。しかしこの低い温度帯が1日のなかで何時間続いたか?という問題がいちばん影響します。3~4時間程度なら問題ありませんが、1日中、4℃という低温が続く温度帯では、いくら鉢内が乾いていても、低温によるダメージを与えてしまいます。

 さらに属によっても生存限界温度は異なってきます。
シンビジウム属、デンドロビウム属などは東京、名古屋、大阪では霜が降りない軒下やベランダでも越冬させることができますが、完全に安全というわけではありません。生存限界最低温度は4~7℃の間だと思います。
 薄葉系のオンシジウム属もその次に寒さに強いもので10℃前後が生存限界温度だと思います。
 カトレヤでもミニカトレヤは比較的寒さに強いもの(7~10℃)もありますが、大型カトレヤは15℃の最低温度環境で育てたほうが安全です。
 ラン科のなかでもっとも寒がりにあたるものは、コチョウランだといえます。本当の理想最低温度は20℃ですが、20℃という温度環境は昼間は維持できても、家族が寝静まった夜間はどうしても15℃→10℃→7℃と下がっていきます。その低い温度帯が何時間続いたか?というのがいちばんおおきな問題だと思います。もしコチョウランを夜間のみダンボール箱にいれて、夜間、一緒にお布団を被って寝て、朝になるとまた窓辺に置くといったことを冬の間、続けると、夜間の最低温度は確保され、枯らしてしまうことはありません(実験経験済み:笑)。
 
 案外、ドアの隙間風が直接株に当たって、株の局所が凍傷になってしまうこともよくみられます。すると病気に対する抵抗性がなくなってしまうので、炭そ病などになってしまいます。
ドアなどの隙間風対策を施されると枯らさなくなります。

 窓辺のガラスにぴったり置くのも夜間の急激に下がる低温問題が悪影響しますので、夜間のカーテン1枚、ガラスからちょっと離してずらして置くだけでも枯らさなくなります。

 最後いちばん難しい問題は湿度だと思います。加湿器をつけようが、どうしても冬場は空気が乾燥しておりますので、低湿度によるダメージが冬のあいだ、日に日に徐々に起こっていきます。栽培されていた温室のなかは湿度が70~80%あるのです。かといって、花に霧吹きをすると、低温で繁殖する灰色かび病にかかり、花にしみがはいってしまいます。
つまり温室のような高湿度状態の再現はなかなか難しいものです。大きなビニル袋をちょっと被せておくだけでも湿度保持になるのですが、見た目がちょっとという方にはお奨めできませんし、窓辺に大きな透明衣装ケースを置こともなかなか一般家庭では出来ないものです。

 どうかみなさま、ランを枯らさないような冬越しテクニックを学ばれてください。よろしくお願いします。 園芸研究家トミーこと、富山昌克

「夜間の最低温度とドアの隙間風と低湿度」関連カテゴリ

みんなのコメント(4)
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  • 2012/02/17

おはようございます

切花を買うより鉢花のほうが花が長持ちするから
発想ちょっとお花がかわいそうですね。
もうちょっと勉強して育ててあげればお花も喜ぶでしょうにね。といいながらデンドロ、シンビジューム以外、
私は温度管理が無理かなと手をださないのですが。

冬にランを枯らす原因はお水の温度大切なんですね。
本には水やりの回数は書いてあっても温度にはあまり触れられてないですから勉強になりました。

湿度も先生の先日の放送でお花に霧吹きするとしみができるとおっしゃていたのは低温で繁殖する灰色かび病に罹るからなのですね。詳しくよくわかりました。

ランの生存限界最低温度について先程1日前の日記と重複してしまいました。

返信する

富山先生

バンダ日記へのコメント、有難うございました。お忙しいのに、コメントいただき、感激しいています。毎日朝風呂30分ですか!贅沢ですね。ドイツの人は毎日シャワーだけで、お風呂にはほとんど入らず、湯船が無いという人も多いのです。バンダの手入れも毎日シャワー、週に一度お風呂と書いてあり、いくらなんでも少ないのではと、不安に思っていたところです。ありがとうございました。

冬越しのテクニック、とても勉強になりました。元々寒い国ですから、暖房や窓の防寒などは問題なく、ドアの下に置いて隙間風を防ぐぬいぐるみ(ダックスフントや蛇など、長いものが多い)などもあります。

一番の問題はやはり湿度です。植物園の温室に行くと、入った途端に空気が馴れ馴れしくまとわりついて来ますよね。あの湿度、実は不快なのではないかと思い、不快指数を計算してみましたが、不快とまでは行かないようですね。家庭で再現するのは無理ですが、高湿を好む植物は、湿らせた発泡煉石を入れた大きなプランターに載せています。水やりした時の余分な水もそのままプランターに落ちるので、水切りの手間が省け、局所的には多少湿度が上がっています。

病院で、ついたてに霧吹きしているのを見ましたが、皆さんどんな対策をしていらっしゃるか、何か妙案があったら教えていただきたいです。

返信する

チゃロとゴーヤさんへ

温度ってエネルギーだと思うんです。

温度がないとほんまに細胞分裂がとまってしまいますから。

やはり水温も気にしてあげたいですよね。

普段、温室でランを栽培しているかたは、

枯らしてしまうのがもったいなくて

窓辺で栽培はしないものなんです。

この10年、実験のために

ずいぶん窓辺でランを枯らしてきました(爆笑)。

そのおかげで

生きた言葉が話せるようになりました(爆笑)。

コメントありがとうございます。

トミー

返信する

小春さんへ

室内で湿度を補うには

加湿器を設置するのがいちばんいいんでしょうね。

当たり前なコメントですみません。


昔、ワーディアンケースで

ランを栽培する実験を行っていたとき、

ひよこ電球(加熱器)を割らないように

茶筒などの底をキリなどで小さな穴をあけて、

ひよこ電球に被せておりました。

その茶筒の上に

ぬれたタオルを被せ、

そのタオルの下部は

水をいれた丸トレイに浸してあるんです。

これはめっちゃいい感じで湿度保持になりました。


つまり

丸トレイなどに水を汲んで

ひろげたタオルの下部の一部を浸しておくのです。

洗濯物を乾かすように

広げたタオル上部から蒸発する水分でお部屋に拡散させていくのです。

見た目が微妙かもしれなせん。

乾燥を促すために

ファンヒーターの熱風をあてたほうがいいかもしれません。


さらに水やりの補充がたいへんかもしれませんが、

ご一考くださいませませ。

コメントありがとうございます。

トミー

返信する
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