かたつむり。さんの園芸日記

Phal. pulchra (1輪目)

2018/09/17
Phal. pulchra (1輪目) 拡大 写真1 Phal. pulchra (1輪目) 拡大 写真2

 Phalaenopsis pulchra が咲きました。まだあと2輪咲きそうです。

 今回は花茎が長く伸び過ぎて、壁や手や他の植物などによくぶつけてしまって、ヒヤリハットが30回はあったと思いますが、どうにか怪我もなく開花に漕ぎ着けました。でも、横に長過ぎる茎のせいで置き方に苦慮したため、花がおかしな向きに咲いてしまいました。たぶんなのですが、花茎の長さは、暑いと長く、寒いと短くなるようです。

 前回は新品種に化けたかと思う程の丸弁花が咲いて驚いたものですが、今回は普通の花形に戻りました。
 前回のがこれ。
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=358010
 今回の形が、最近の傾向としては普通で、側萼片(左下と右下)の下半分が膨らんだ独特な形をしています。
 でも、育て始めた頃は、側萼片も、ここまでは下膨れしてなくて、背萼片と側花弁(上の三枚)に近い細長い形のことが多かったような気がします。
 花の色の紅白の比率も咲く度に違いますし、形にも気まぐれの要素があるのかもしれません。

 そういえば、香りも前と今とで変わりました。鼻を近づけてよ~く嗅がないと分からない程度の微かな香りなのですが、以前はシクラメンの香りだったのが、最近はメロンの香りなんです。
 シクラメンの芳香が無い品種って、花に鼻を近づけてよく嗅ぐと、ホコリ臭いような変な匂いが微かにしますよね。以前はそれだったんです。言いようによってはシクラメンの香りです。それが最近では、ウリ科植物の茎や葉って、いかにも苦そうな独特な癖のある青臭い匂いがしますよね、あれとよく似た匂いがするようになったんです。言いようによってはメロンの香りです。どちらにしても部屋中にぷんぷん漂うようだと困りものですが、鼻を近づけてよ~く嗅がないと分からない程度なので、気になるものではありません。

 色も形も香りも毎回少しずつ違う花が咲いていれば、前回のような奇跡の一輪も十年や二十年に一度くらいはあるのかもしれません。





 以下は技術的な話です。
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◆やっぱりマグネシウム欠乏だった。

 今年3月の投稿
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=451599
でお話ししたように、この株は一昨年から昨年にかけて葉がひどいことになっていたのですが、原因はやはりマグネシウム欠乏で間違いなかったようです。

 昨年の秋頃からマグネシウム補給を開始したのですが、新しく生えてきた葉から症状が即座に全快するというわけにはいかなくて、最初の葉は少し症状が残り、2枚目も微かに残って、3枚目でやっと完治という感じでした。新しく吸収した分が全部新しい部分に供給されるのではなく、マグネシウム欠乏下で育った古い部分にも幾らか吸い取られてしまっていたためだと思われます。

 日向土等に植えてある他の蘭たちも、今夏の暑さにやられたのを差し引けば、概ね順調に回復に向かっているように思います。
 今年の年初頃から主に使いだしたのが「微粉ハイポネックス」で、(腰水のパフィオだけは違うやり方をしてますが、それ以外の)日向土植えには、2千倍希釈液を水やりの2回または3回に1回の割合でやっています。


◆剥き出し栽培については再検討中

 一方、剥き出し栽培の蘭たちには、8月まで「微粉」を千倍希釈で月5~6回(うちの剥き出し組はみんな肥料食いなんです)でやっていましたが、予想に反して、なんかイマイチな気がしていました。「ハイポネックス洋ラン」単用の時と比べて、悪くなってはいないのですが、良くもなってはいないような……。

 カリが多過ぎなのは最初から織り込み済みなので、水やりの際、数分おきに5~6回シャワーで洗うなんていうしつこいやり方をしていました。ここまですれば過剰なカリが蓄積し続けることは防げるはずだと思うのです。(そうしだす前から調子はイマイチだったので、デトックスのし過ぎが悪いわけでもないはずです。)

 ではそれ以外で「微粉」にどういう(あくまで剥き出し栽培向けに使った場合においての)短所があるのか、考え直してみました。
 この肥料に不足成分は無いはずです。だとすると、疑われるのは過剰成分。「液肥=水で溶ける成分でできている=食べきれない成分があっても洗い流せる」という先入観が通用しなかった相手。乾いたら、水に溶けない物質に化けてしまう性質を持つ物質。真っ先に疑惑の目を向けたくなるのは、やっぱり(非キレート状態の)カルシウムでしょう。そう言えば、バンダの栽培にはカルシウム分の多過ぎる水は不向きだと本にも書いてあります。カルシウムは全ての植物に必須の元素には違いないのですが、蘭の剥き出し栽培においては、匙加減に神経をとがらせなければならない相手でもあるのです。
 あと、「微粉」は窒素肥料の殆どが硝酸塩であるため、それを吸収した後の残留物がアルカリ性になってしまうことが考えられます。そのこと自体が根にストレスになりますし、食べ残したカルシウムが炭酸塩などの不溶性物質に化けて固着するのを促進してしまうとも考えられます。

 「カルシウムとマグネシウムがしっかり入っていて、窒素の全量が(微生物等による分解を経なくても)直接吸収可能である」という「微粉」の長所は、剥き出し栽培に是非とも取り入れたい要素です。でも、それ単用というのは、ベストな選択ではなかったように感じているのです。高濃度高頻度を要求するうちの剥き出し組にはなおのことです。

 そこで最近やり始めたのは、“水 300 ml に「微粉」 0.1 g を溶かして、濁りを沈殿させた上澄だけを取り、それに 10% w/v クエン酸水溶液(10 g の無水クエン酸を水で溶かして 100 ml にしたものに相当)4滴を加えて混ぜてから、「ハイポネックス観葉植物」5滴を加えて混ぜたもの” です。1滴を 0.05 ml とし、窒素はアンモニア性+硝酸性のみ、燐酸は水溶性のみをカウントすると、N-P-K = 5.92-4.83-9.67 を千倍希釈したものに相当します。pH は(“うちの水”の背景下で)6程度です。
 ここでブレンドする相手として「観葉」を選んだ決め手は、直接吸収可能な窒素が多く含まれていることです(窒素全量7のうち4.5)。クエン酸には、単に水を酸性にするだけでなく、カルシウムやマグネシウムなどの2価金属イオンの吸収を助ける効果があります。(酢酸にはキレート作用がない上に揮発性があるため、酢ではクエン酸の代用にはなりません。)

 さらに、液肥ではない普通の水やりも、50 mg/L(水 100 ml あたり 10% w/v 水溶液を1滴)の濃度でクエン酸を加えた水を与えます。これも pH 6 です。毎回の水やりにまでクエン酸を加えるのは、食べ残しのカルシウム等が根に固着するのを抑制すると同時に、元々水中に含まれているミネラル分の吸収を助けることで、「微粉」の施用量削減を穴埋めする効果を期待してのことです。

 ★後日追記★ 上記クエン酸添加量は入れ過ぎ!!
 pH は 6.5 より少し大きい位に変更。液肥は 37 mg/L 通常の水やりは 5 mg/L に添加量を大幅に減らしました。詳しくはこの11月17日の日記。
https://www.shuminoengei.jp/index.php?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=519639

 クエン酸は食品添加物用のものを使用します(100 g 入りが 400円程度)。洗剤用のものは 500 g 入りが 300円などと安価ですが、純度はおろか無水物か水和物かの別すら書いてないのが多くて、正味どれだけクエン酸が入っているのか分かりにくいのと、洗浄力を高めるために混ぜ物がされている可能性もあるからです。
 pH の指示薬は観賞魚用のものが最も入手し易いのですが、産業用のものの方が値段は安いです。守備範囲が広いものよりも、pH 5~7 あたりをクローズアップできるものを選んだ方がいいでしょう。

 まだ新体制になってから日が浅いのですが、「微粉」単用+ただの水の時よりも、少しマシになったような感触はあります。
 この話題については、もう少し様子を見て、いずれ改めて詳しくお話ししたいと思います。

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みんなのコメント(2)

おはようございます。

昨年は 艶のある紫の立派なお花を拝見した覚えがあります。今年は紫に白が混ざりこれも素敵です。
毎年 異なる顔を見せてくれるプルクラ、年毎にワクワクします。

私のプルクラは花茎が15cm程伸びた状態で止まってしまいました。今年はあまりの猛暑に胡蝶蘭の花芽さえとんでしまったのではないかと思っています。

返信する

 つまらぬ採点基準を設けて良し悪しを云々するよりも、「毎回違う花が咲くのが楽しい♪」と思ってた方が、人生が豊かになりそうですよね。

 花茎が伸びきったところで動きが止まるのは、そういうもんなんです。胡蝶蘭には茎が伸びた勢いで一気に開花まで進むのが多いですが、pulchra はそこで一旦休むみたいです。気長に待ちましょう。

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