渋谷区ふれあい植物センター 軟式さんの園芸日記
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ホタル観賞会と飼育について

2019/06/19

渋谷区ふれあい植物センターは「渋谷でホタルを」という
願いのもと、14年間取り組んできたホタル飼育プロジェクトを
昨年末に終了しました。
今回ご鑑賞いただくホタルは
関東圏内の専門の飼育業者さんから手配したホタルです。
また本年は公開規模も縮小した形でのホタル観賞会を
開催することになり、
これまで十年以上も鑑賞会を楽しみにしていただいた皆様へ
当観賞会を縮小した経緯をお伝えいたします。

理由は大きく3つです。

①ホタルを飼う事が技術的に難しい
②ホタルの餌となるカワニナを飼う事が難しい
③観賞会で放すホタルを適切に飼育する信頼できる業者が殆ど居なくなった

ホタル・カワニナの飼育を私たちは日本全国の事例を参考にしながら実施してきました。
ホタルの幼虫はとても小さく、卵から孵ってしばらくの間、
目視するのも難しいため顕微鏡で覗いて、
1匹ずつカウントしながらピペットで吸い取っては移動させてから、
汚れた水を交換します。
餌や排泄物で水が腐ったり、
水の中に他の肉食生物が出現したりすると、
あっという間に数が減少します。

カワニナも大変水の汚れに敏感な生物です。
水が汚れるとすぐに死んでしまい、
死骸でさらに水が汚れるために水槽1つが全滅してしまうことも
ままありました。
ゲンジホタル1匹が幼虫の間に食べるカワニナの量は約25匹。
ホタル100匹を育てるためには2,500匹のカワニナが必要で、
そのカワニナを育てるためにも膨大な数の水槽が必要で、
さらにその水槽の中を清潔に保つために、
1週間に最低1回、丸1日がかりの作業が必要でした。
そして雌のホタル1匹は1回の産卵で50~100個の卵を産みますが、その中で成虫になる確率は0.05~0.1%だとされています。
当園では5日間で約500~1000匹のホタルを公開していましたが、
このような数のホタルを狭い施設の中で飼育するのは
技術的にも環境的に無理な状況でした。
1年間膨大な手間と時間をかけても羽化まで成功するのは
100匹行くか行かないかです。
こうした背景から最終的にホタルを適切に管理していく事は
不可能だという結論に至ったのです。


毎年皆さんが満足して鑑賞いただける量のホタルを放つために、
専門の業者さんから購入してきました。
しかし今、ホタルを卵から飼育して販売する業者さんが
激減しています。
インターネットで「ホタル 販売」と検索すると
沢山の業者さんがヒットします。
しかし毎年、地方のニュースでは
「ホタルが自生する場所で一晩のうちにホタルが消えた」
「ホタルの卵が産み付けられていた苔がごっそり持ち去られた」
といった情報が報道されます。
乱獲や盗掘することなく「真面目に」ホタルを飼育している
信頼できる業者さんは数少なく、
その業者さんの高齢化や後継者不足を理由に廃業していく状況でも、
私たちはホタルを購入し続けるかどうかについて大変悩み、考え、
「ゲンジホタルは購入をしない」と決定しました。           

これ以上、希少となるホタルとカワニナを購入し命を奪いたくない。

これが、私たちがホタルの飼育を終了し、観賞会を縮小する理由です。
それなのに、まだホタル観賞会を続けるのかというお声もあると思います。
私たちも継続について悩みました。
しかし「あの光はLEDでしょう」と
初めてホタルを見た子どもが言うのを聞いて、
「本物」を見てもらい「本物」を知ってもらうことの大切さを感じています。
ほんの少しのホタルであっても初めて見る「生物が光る不思議」を
体感してもらいたいです。
ヘイケホタルを適切に飼育して販売している業者さんが
まだ関東圏内に存在するため、
当園としては、ヘイケホタルのみで観賞会を続けたいと考えています。

日本国内でホタルが自然界で羽化し飛び回る光景を
見たことがありますか?
それは何処だったでしょうか。
皆様がご覧になった風情は、
現在どんどん失われている奇跡の光景です。
渋谷にもかつてホタルが舞う風景がありました。
野原が消え、小川が消え、ビルが建ち、
全ての道がアスファルトとコンクリートに敷き詰められ・・・。
当園の脇を流れるコンクリートで固められた渋谷川では、
絶対にホタルは生きられません。
どうか、日本の中に残っているホタルの生息場所を
大切にしていただきたいと思います。

ホタル飼育プロジェクトの延長として、
当園は以下の取り組みを提唱します。

・ゴミをポイ捨てしない
・排水溝に廃油をそのまま流さない
・分別できるゴミは分別してリサイクルする。
・近隣の河川敷や海岸のゴミの清掃活動に参加する  
このような取り組みが自然環境を守る事に繋がります。

当園はホタルを飼育することの難しさと環境を守る事の
大切さをPRすることが今後の務めだと考えています。
夢物語かもしれませんが、
いつの日か日本国中で、自由にホタルが飛び回り、
人々が笑って見守れる日が来ることを心から願っています。
ご理解ご協力いただけますと幸いです。

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みんなのコメント(7)

子供のころは、普通に蛍が飛んでいました。
誰も、飼育何てしていません。小川のそばの田んぼの中で飛んでいたのです。
それが、今は、荒れ果てた田んぼと深くなったコンクリートの川です。水がほとんど流れていません。これでは、カワニナも育ちません。
ホタルの育つ環境は少なくなってきましたね。また、飼育も難しいのがわかりました。

返信する

花好きかんちゃん様
日本人はどうしてホタルがそんなに好きなんですか?と
先日、チェコの方にきかれました。
そういえば、、、何故でしょうね。

ホタルを卵から成虫にまで飼育したことで
1つの生命が全ての寿命を全うすることの難しさを
改めて感じさせられました。
この経験を、私たちの大切な学びにしたいと思っています。
コメントありがとうございました。
スタッフ宮内 拝

うちの辺りでも、昔は田んぼ脇の小川でフナ釣りなぞしたものですが、今は農業用水となり、圃場整備と護岸工事で景観はすっかり変わってしまいました。農家にとっては栓をひねれば水が出て、冬場は乾田となり便利ではあるのでしょうが、水路に住んでいた生物はどうなったのやら。
生育しなくなった生物を飼育するといっても、生育環境に敏感なものは難しいですね。渋谷の暗渠を元に戻して浄化された水を大量に流すなんてことをすれば、あるいは何とかなるかもしれませんが、そこへ戻すホタルは、元いたホタルと同じものといえるかどうかなどということもありますし。

返信する

あお@岐阜県様
一度壊したものはもとに戻らない。
それが自分の手で作り出せないものなら、尚更のこと。

海に流れ出たプラスチックが、
人間の体内に蓄積され始めているというような情報を
知る度に
「このままで良いのだろうか」と考えさせられます。
コメントありがとうございました。
スタッフ宮内 拝

こんばんは。

我が家の裏の川には蛍が飛びます。
嫁いできたときは回りの田んぼにも沢山飛びましたが、
最近は見られなくなりました。
最近大がかりな川ざらいが行われ土砂が重機ですくい上げられました。
今年は蛍は見られないかと心配しましたが、
昨夜…夫が「一匹飛んでいたぞ~」と。
もう少し川ざらいが遅かったら、沢山見られたかな~なんて。
勝手な思いを…でも川底が浅くなっていたので、
大雨になったら水害を引き起こすかもしれない?
地域を守るためには仕方ないこと。
地域は土砂崩れ警戒区域の指定を受けているからです。

当地の植物園でも色んな取り組みをしています。
地域の自然保護活動など…苦労も大変。

貴植物園は都会ならではの大変さ御苦労も多いことでしょう。
そんな中でも色んな啓発活動をされていることに頭が下がります。
都会ならではの自然環境を守るなら、
こちらは田舎ならでは自然環境を守る…根っこは同じですね。

返信する

hanura様
河川と人間の攻防は、ずっと昔から続いて来て
水が無ければ田んぼに水も引けないし
土地も肥えないし、
それでも家が流されるのは困るし、
そもそも水の流れを思いのままに操るなんて無理な話。

それでも、色々な場所に生きる生物たちと
人間が上手く共存できるようになればいいなと思いますね。
どうぞお住いの環境を愛してくださいませ。
コメントありがとうございました。
スタッフ宮内 拝

こんばんは。

小さい頃、父の田舎で暗闇に舞う幻想的な光を
観た記憶を今でも覚えています。
でも…蛍を観たのはあの時が最初で
最後だったような。

人間のエゴで共生している生き物(動物や植物)の
居場所を奪っておきながら、
いざ野生の鳥獣が人里に出れば
被害を与えるからと…本当に勝手な話です。

自然環境は壊すのは簡単でも
元通りに復元させるのは難しく大変なことですね。
時代も新しくなった今、自然環境を守り、再生させる
我々人類は、そんな生活をしていくべきなのでしょう。

返信する
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