大池公園花だより コットンボール 花学校 深川 由紀子
去年の秋、綿(ワタ)の種をもらいました。 綿の種はコットンボールといわれる綿の塊でくるまれています。 夏、綿は白や黄色の小さな芙蓉のような花が咲きます。 以前、苗をもらって植えたのですが、ハマキムシが付いて上手く育てられなかったので、春を待って種から蒔いてみることにしました。
私が子供の頃、衣類は木綿の普段着でさえ今ほど手頃なものではありませんで
した。 衣服はほころびを繕い、継ぎを当て(この言葉は今や死語かも?)、毛糸のセーターやカーディガンは解いて編み直し、大切に着回しました。
洗濯機も乾燥機もなかった時代、衣類や寝具の管理は手間と時間のかかる仕事でした。 実家の母は、布団の綿が固くなると打ち直してもらい、新しい綿を足しながら丁寧に綿をひろげ、布団針で留めて布団を仕立てていました。
種を取り出した後、ほぐした綿を一つかみ手のひらにのせると、仕立て直されたばかりの暖かい布団で眠った記憶がよみがえります。
人類が炎熱の砂漠や極寒の地でも生きられるようになったのは、衣服を手に入れたからだそうです。 今では海外で縫製された衣服が手軽に買えるようになりました。 裁縫箱のない家庭も増えているそうですが、それと共に衣服のありがたみが少しずつ薄れてきたような気がします。
東日本大震災で津波の被害を受けた東北の農地で、綿のオーガニック栽培が行われている様子がテレビで報道されていました。 海水が流れ込んだ土地では、米、野菜、花など多くの農作物は土を入れ替えないと育たないのですが、綿は塩分があっても作れるのだそうです。
そしてこの秋、公園の花壇で綿の実がたくさん採れました。 殻がはじけてコットンボールが顔を出しています。
来年のための種を採ったら、残りはリースの飾りにしましょうか。
でも、その前に私は着なくなった(正確に言えば着られなくなった)タンスの中の衣類をなんとかしなくては!
タウン誌まいんずに掲載されたものを転載させていただきました。
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