かたつむり。さんの園芸日記

雑に扱った代償

2020/11/24
雑に扱った代償 拡大 写真1 雑に扱った代償 拡大 写真2 雑に扱った代償 拡大 写真3

 
 2015年の秋に根腐れで調子を崩して以来、ずっと養生中だったバンダ Vanda Pakchong Blue ですが、やっと持ち直してきました。ここまでが長かった~。

 でも、バンダって、株を育てることを優先するために花芽を摘み取り続けたとしても、せいぜい年4本程度しか葉が更新しません。(まあランにしてはこれでもよく育つ方なんですが。)つまり、調子を持ち直しても、そこからさらに3~5年程度は花芽を摘み続けないと、元の状態には戻れません。
 この株、調子を崩す前は、(照明下での栽培でも)毎年2回咲いてくれる、一番の優等生だったんです。丈夫だからと思って雑に扱ってたらコレ。気の緩みって怖いですね~。

 画像2は 2015年に最後に開花した時の写真です。完全復活して次の花を見られるのは、何年後になることやら。
 どんなに不調な時でも葉の付け根の成長点は100%花芽になるので、今も咲かそうと思えば咲かせられるのでしょうが、ここ5年は株の養生を優先させざるを得ないため、花芽を摘み取り続けていました。これからの数年も、好調が続いたとしても花芽除去は続けようと思います。

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 以下は詳細な経緯など。(ほぼ自分用のメモ。)

 バンダは(着生植物なので)通常は空気中に露出した状態の根をカゴに入れるとかしてぶら下げて栽培するのが一般的ですが、私は植木鉢に固定して栽培しています。その方法の利点は「他の植物と同様に据え置きにできること」なのですが、難点としては「定期的に植え替えないと根詰まり・根腐れを起こす」という問題があります。
 そこを甘く見て植え替えをサボり過ぎたせいで、5年前にひどく根腐れさせてしまったのです。慌てて植え替えた後も、わずかに残っていた根の腐れは進行し、数か月で全滅。幸い、その数か月の間に入れ替わりで新しい根が生えてくれたおかげで、辛うじて持ち堪えました。

 それから昨年までの4年間、根は着実に増え続けましたが、葉の方はというと、成長がやけに遅く、通常よりも短いうちに成長が止まってしまっていました。葉の質も悪いようで、新しい葉が出始めると、一、二本前の葉が、早くも老化した葉が枯れる直前のような状態になってきました。葉の色が薄くなり、シミが出てきて、そのシミはやがて黒く変色するのです。でも枯れるわけではなく、黒斑だらけの黄ばんだ葉が何年もそのままついている、という状態になっていました。(きれいに撮るためのカメラのお節介機能のせいなのか、写真ではそこまで酷く見えてはいないのですが。)
 ラン科植物の葉にこういう症状が出ると、ウイルス病を疑いたくもなりますが、バンダに関しては、ウイルスに関係なく「普通に調子崩しただけ(いわゆる生理障害)」でもウイルスそっくりの症状が出ることがしばしばあるらしいのです。個体によっては、かすり模様のように細~い黒線を満遍なく散らしたような、これぞウイルス!みたいな病斑が出ていても、検査したら陰性って場合もあるのだとか。もちろん正真正銘のウイルスでそうなる場合もあるので、見た目だけでは判別が難しいのです。
 この株の黒斑がもしウイルスに起因するものなら、ここまで明瞭に症状が出る段階に一度突入してしまうと、新しい葉がいくら生えても生えた端からウイルスに食われて、もう、症状が消えることはないでしょう。
 この株については、その症状が出始めたきっかけがはっきりしていることと、調子を崩した状態からまだ回復の途上にあることとから考えて、ウイルスと断じるのは早計だと考えて、栽培を続けていました。
 それが今年になって、やっと、成長速度も、完成した葉の状態も、正常になりました。
 ウイルスじゃなさそうで、よかったよかった~。

 もっとも、ラン科植物は、4~5年も栽培していれば、ほとんどの株がウイルスに感染しているものなのだそうです。だから、私の手元で2005年4月から栽培しているこの株も、確率的に言って感染自体はたぶんしているのでしょう。
 重要なのは、感染自体の有無よりもむしろ、植物とウイルスとの間に共存が成立しているかどうかと、その共存の力の均衡が崩れないように植物を健康体に保つことと、他のウイルスに追加で感染しないようにすることです。
 一旦は共存状態になった無害なウイルスでも、植物が弱った時には、爆発的に増殖して症状を引き起こしてしまうことがあります。これは人間に感染するウイルスにも見られる傾向で、現在の宿主に見切りをつけて新しい宿主に移るためのウイルス側の戦略だと言われています。
 植物が無害なウイルスと共存状態になることで、別のウイルスには感染しにくくなる効果があるとも考えられています。ところが、その別のウイルスへの曝露量があまりにも多い場合には、やはり感染してしまうことがあります。そうなると、複数種類のウイルスの複合感染となることで、症状が顕在化することがあります。そのため、どうせ既に感染しているだろうからと高を括るのは禁物で、新たなウイルス感染を防ぐことを常に意識した栽培管理が必要なのです。(ランの一番面倒臭い所ですね。)
 まあそこらへんの話はまだ仮説だらけの領域だと思われますが。

 ここに来て、気づいたこと。
 この株の栽培にあたっては、夏場はほぼ毎日、冬場も1日おき程度の頻度で、全身に水をかけるように水をやっています。そのため、ミネラル分の固着やカビの発生により、結構葉が汚れます。なので、以前は数か月おきに拭き掃除をしていました。それを、ここ5年は、全力でサボっておりました。先日久しぶりに掃除すると、ティッシュが何枚も真っ黒になって愕然…。葉が老化し易くなった原因はむしろそっちにあったのかも。確かに、葉の表面があんまり汚れていると、気孔が塞がれて窒息しそうですし。
 そう言えば、その掃除の後、(まだ十日ほどしか経ってないけど、)黄ばんでいた古い葉に、少し緑が戻って来始めたような気が、しないでもないような。
 雨や霧から水を得る自然界とは異なり、珪酸や石灰なんかが多量に含まれる水を毎日かけているのだから、その点へのケアは必要なのかもしれません。

 あと、この株に限らずなのですが、以前から気になっていたこと。
 バンダの類は、たまに、葉が古い順に枯れずに、中間にある葉が枯れてしまうことがあります。このバンダにも最近その現象が発生し、まだ比較的新しい2本の葉が枯れてしまいました。(画像1の矢印)
 こうなると、その後数年にわたって、歯抜けバ……、いや「葉抜けバンダ」になって、見栄えがカッコ悪くなります。
 バンダを栽培していて、そういうことって、たまにありませんか? それとも、私の扱い方の癖が影響しているとか?
 ひょっとすると、水やりの後で水を切るためにブンブン振ったりとか、花芽を取る時に葉の付根を押し広げたりとか、そういう作業で葉の付根に負荷がかかっていて、その圧迫のストレスが積み重なって、ボディーブローのようにじわじわ効いて、枯れてしまったとか?
 そのへんも含めて、今後はもっと丁重に、お姫様扱いしてあげないといけないのかな~、と思っているところです。

 …と言いつつ、最近この株で、ちょっと(どころじゃなく?)かわいそうな、ある実験を始めました。アタリなら斬新な裏技なのですが、ハズレならただの拷問。「やってみなけりゃ分からない」から「実験」なのですが、半年後くらいに、思惑通りの効果が報告できるといいですね。
 画像3がその様子なのですが、どんな実験なのかは、画像を加工してあえて分かりにくくしてあります(笑)。

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みんなのコメント(5)

かたつむり。さん、こんにちは(*^^*)
日記更新待ってました~\(^o^)/

バンダ元気になって良かったですね。バンダも大きくて頑丈なように見えて、いったん調子を崩すと回復にかなり時間がかかるものなのですね。

ところで、ウチのバンダや胡蝶蘭も、水道水のカルキ?の跡らしき白いものがついてしまいます…
前に胡蝶蘭のお店で買ったとき、何かをシュッと一吹きして綺麗にされました。
何なのか聞いてみると、「界面活性剤、洗剤みたいなもの」とのこと…台所用洗剤を薄くしてかければいいのかな?と思いつつ(違うと思います)、怖くて出来ず白いままですf(^^;

画像3の実験は、もしかして…?と思うところが有ります。興味津々です、楽しみにしています(^_^)/

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 ミルキー・ノンさん
 こんばんは

 葉面洗浄剤(住友化学園芸「リーフクリン」)はホームセンターの園芸用品コーナーなどで割と普通に売ってますよ。ランのようなデリケートな植物にも使えるのかどうかは分かりませんが…。

 俗に言うカルキというのは次亜塩素酸カルシウムのことですが、現在水道水の塩素消毒に実際によく使われているのは次亜塩素酸ナトリウムのようですね。塩素分については、蒸発するか、付着しても水で流せる物質(塩化ナトリウムなど)に化けているはずです。いずれにせよ、水質中に元々含まれるミネラル分の量に比べるとずっと少ない量です。
 どこの水質中にも普遍的に含まれているミネラル成分で、乾くと水に溶けない物質に化けてしまうのは、主に珪酸・カルシウム・マグネシウムです。カルシウムやマグネシウムは主に炭酸塩の状態になるので、酢酸やクエン酸のような弱い酸でも溶かすことができますし、それらと混ぜこぜに付着している珪酸も浮かせて剥がすことができるので、一般に水垢汚れは酸で掃除することが推奨されていますよね。

 ただ、そうい薬品系を使わなくても、数か月に一回、単純に濡れたティッシュで拭くだけでも、十分きれいになりますよ。強いて何か使うなら、食酢は20倍程度に希釈すれば植物の葉にかけても(たまに単発でやるぶんには)大丈夫なので、薄めた酢を霧吹きで葉にかけて濡らしておいてからティッシュで拭き取るという方法も考えられます。

かたつむり。さん、おはようございます~
詳しく教えて頂きありがとうございます(*^^*)
あの白いのはミネラル分だったんですね…知らなかったです、
教えて頂いた除去方法、早速試してみます!
ありがとうございました(^_^)/

こんにちは。
水をかけたあと、ブンブン振る……葉を押し広げて云々……ドキッとしてしまいました。まるで私!(笑)

うちのフウランも、たまに葉抜けバb……じゃなかった、葉抜けバンダになることがあります。屋外にいる間にそうなることが多かったので、単に直射日光によるダメージのせいと思っていましたが。
もしかしたら、少しでも駄目なもの(僅かな傷などがある葉)は早々に切り捨てて新しく葉を作る養分に変換する、というバンダなりのルールがあるのかもしれませんね。

返信する

 藤宮まだらさん
 こんばんは

 屋外に出すことがあるのなら、直射日光による熱や紫外線によるダメージが目に見えないレベルで発生していることも確かに考えられますよね。
 ところが、うちのバンダは、ずっと室内でしかも光は人工照明という、超低刺激な環境で栽培しているのです。これでそういう(新しい葉が先に枯れる)ことが起きるのがなんでだろう、って考えてみると、そのくらいしか原因が思い当たりません。
 そのへんをもっと優しく扱うようにしたら、そういうことがなくなるのかどうか、十年位は見てみないと分からないでしょうね。

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