湯島臥牛さんの園芸日記
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湯島臥牛さん  東京都
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水やりにゃ酢を混ぜろ🍋💦

2021/04/03
水やりにゃ酢を混ぜろ🍋💦 拡大 写真1 水やりにゃ酢を混ぜろ🍋💦 拡大 写真2 水やりにゃ酢を混ぜろ🍋💦 拡大 写真3

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水やりの水にゃ「穀物酢」をチョッと入れてる。

日本人栽培家が北米高地の"難物サボテン"にかなり強い酸性の水をやって栽培に成功し、欧米の研究家が続々と模倣してるそうだ。


「サボテンの産地は石灰岩で出来てんじゃぁねぇの?」

こう思う人が多いんじゃね?

たしかに前述のように、アメリカ・メキシコなどサボテン・アガベなんかの主要産地は石灰岩がゴロゴロ。

測ってみるとPH7.5からときにはPH8を超えるアルカリ性を示す。

それを見て「サボテン多肉植物はアルカリ性の土を好む」って思い込んでる栽培家が多い。

日本の昔のサボ多肉栽培家はほとんどそうだった。
サボテン専門書を出版するような大家でさえそう思い込んでた。

その証拠に、こちとら所蔵の古いサボテン栽培指南書にゃ「用土に牡蠣粉(ぼれいこ:カキ殻)を混ぜろ」って堂々と書いてある。

中にゃ「北米難物サボテンは根で石灰岩を抱かせろ」なんてウルトラCを提唱してる先生もいた。


しかし、実際はちがった。

「サボテン多肉植物は、総じて(弱)酸性の土でよく育つ」

こいつぁ本当だぜ、経験で判って来たんだ。

現に、自生地じゃ石灰岩に埋もれて育つ(サボテンの)牡丹類や太平丸も、赤玉土主体の用土(PH6~7の弱酸性~中性)で順調に育つ。


これは一体どぉゆうこった?

七めんどくせぇ理屈は置いといて簡単に云うと、

「サボテン多肉の根は弱酸性~中性の時に肥料三元素・微量元素などを満遍なく吸収するが、アルカリ性が強まるほどこれらを吸収しにくくなる」・・・らしい。

有名なのに、サボテンの成長点が萎縮・変色する「ホウ素欠乏症」や、全体が薄い緑になる「マンガン欠乏症」がある。

昔 問題になったいわゆる「南米病」

エリオシケ・コピアポア属、ロビビア、ギムノ、テフロ属でも上記の障害が多発。

専門家がいろいろ治療を試して見て結果「ホウ酸の0.3%溶液を掛けて」症状改善した。

これらの南米サボの産地は弱酸性土壌。
北米サボより端的に発症したものと思われる。



じゃ、ひるがえって、そんならなんで北米の強アルカリ性土壌に自生してるサボテンはそんな土壌でもよく育ってるのはなぜか、って疑問が湧いて来るよね。

その手品のタネは、現地に降る雨。

サボテンの自生地に降るのは大抵にわか雨。
雷雨を伴ったドカ雨が降るんだ。(サンダーストームと呼ぶ)

それは、砂漠があっという間に洪水になるほど。
我が国の梅雨のようにシトシトと長雨が続くはない。

これはどこでもそうなんだが、雷雨は「酸性雨」なんだよ。

とくにアメリカ南西部の春先~夏に降る豪雨はPH3~4.5っていう強酸性。
まるで酢が降ってるみてぇだ。

以前、日本でも問題になった酸性雨は「亜硫酸ガスが原因」と思われて来たが、酸性雨は太古の昔から世界各地で降ってたのが近年の研究で分かって来た。

サボテン・多肉は、いわば「酸性雨に当るのが前提」として進化して来たらしいのだ。


乾季でノドの乾いたサボテンやアガベたちはそれを逃さず盛んに根から吸水する。

強酸性の雨は石灰岩の炭酸カルシウムと反応して中和しようとするが、大量の雨にゃとても追っ付かねぇ。

つまりサボテンたちは結果、弱酸性の雨水を吸水することになる。
土壌の石灰質が中和出来ないくらいの速度で根が吸収するらしい。
(滅多に降らない雨を素早く吸水するため)


だから、おいらはサボテンの水やりする時は酢を混ぜる。

あんましたくさん入れるとサボテン共も酸っぱくてしょうがねぇだろうから弱酸性にしてる。

昔からPH調整キットを使ってる。
熱帯魚飼育に凝ってた時代があって、そういう事にゃ慣れてた。


さぁ、この水やりは正解か、はたまたとんでもねぇ間違いか?

ちなみに、これを発見したのはおいらと同年代。「三丁目の夕日」の情景をおぼえてる世代の男性。

「難物サボテンの栽培」に取り憑かれ、長年失敗を繰り返し、それを克服しようと北米・中米・アンデスの原産地を踏破したという猛者。

なにしろ希少種のサボテンの種を遭難覚悟の命懸けで砂漠奥深く徒歩で拾いに行くくらいのクレージーツーリスト。

こういう人のヤケクソ破れかぶれの情熱・努力の上にサボテン・多肉の栽培法の普及・改良が成り立って来たのだよ。

どんなサボテンもアダやおろそかにゃできねぇなぁ。



📷1⃣ 「花籠(はなかご)」アズテキウム属

絶滅危惧種。

ワシントン条約批准前にベテラン栽培家が輸入したのをサボテン業者が買い取り(たぶん安く)、それをおいらが高く買わされた。

今んとこ順調に育ってるようだ。
輸入球だから暴れて汚ならしいが。



📸2⃣ 「世界の図」エキノプシス属

「短毛丸」の黄斑・斑入り種。

これが白斑の斑入りになると「水晶」と呼ぶ。
昔から「水晶」の名前は専門書にあるけど、こちとらまだお目にかかった事はねぇ。

一昨年の開花

https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_image_slideshow&target_report_id=11981&num=22


📸3⃣ 「精巧丸」ペレキフォラ属

よく似たのに「精巧殿」がある。
これはツルビニカルプス属。

昔は「精巧殿」「白斜子(しろななこ)」と共にソリシア属に分類されてた。

イボは「ワラジムシ」の形。
「虱(しらみ)」のようでもある。

シラミを実際に見た経験のある人は団塊の世代でも上の部類だろう。

新制小学校で、猛毒のDDTを頭からぶっかけられた記憶がお有りにちげぇねぇ。





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「水やりにゃ酢を混ぜろ🍋💦」関連カテゴリ

みんなのコメント(8)

こんばんは~😌

③番凄いですねー!!
虫いっぱい、ぞうり虫ってそのまんまですねぇ😱
フナムシにも似てるかも…
思わず、えっ…!と見入ってしまいました。

師匠宅には不思議ちゃんが沢山ですね。

返信する

いらっしゃい、hanaコロさん。

ウチは家族も全員不思議ちゃんです。
お互い自分だけはまともって思ってますがね。


この「精巧丸」も「精巧殿」も昔からある原種で、ウチも40年前に直径7㌢くらいの太いのを持ってて花も咲かせたんですが、引っ越しの時に人へあげちまいました。

1枚だけマニュアルカメラで花が咲いたのを撮影した写真を持ってたんですがどっか行っちゃいました。
残念。

こんにちは。。

強烈なイメージでトラウマになりそうな
ルックスですね。。。
3枚目は特に。。
奇妙キテレツと言う言葉がぴったり。

返信する

そうですか、比較的近年にサボテン栽培を始めた方々の眼にゃ珍奇な形に映るかも知れませんね。

一方、我々オールドファンは戦後まもなくから専門書に必ずと云って良いくらい記載がある種です。
(たぶん戦前すでに日本へ持ち込まれてたと推測)
いわゆる見慣れた物で、とくに奇妙な感じは受けませぬな。


もうこの歳になると、壇ノ浦の戦いの平知盛の最期じゃありませぬが、「見るべきほどの事は見つ」と、まるで日向の老猫のようになにごとにも驚かなくなってしまいます。


そういう新鮮な驚きをお持ちなのは至極うらやましい。

これでも小生などもガキの時分にそういうワクワクするような好奇心の湧き出るのを感じたものです。

あの頃に帰りたい。

こんばんは。

珍しいなぁ。と思って色々み始めると、
もう、終わりが見えない世界ですね。。
多肉もサボテンも。。。

こんばんわ、

そう、舞台は世界中の原産地。
奥が深いなんてものじゃない。

無限の広がりがあります。
おいらが証明です。
45年間やってまだ限界が見えない。

こんばんは!
ある方のブログや鹿沼オンリーを勧めている有名な多肉業者の言っていた言葉が疑問になってて、「何故?アルカリじゃいけないんだろう?」「赤玉に植え替えても、何故、この方は御酢を必要としているのか?」私は、御酢を使用していないので、疑問でした。
やっと、その謎が解けました!!
赤玉オンリーでは、要らない感じですね。
お勉強になりました。有難うございました。

返信する

いらっしゃい、なごどのさん。

淡水熱帯魚でも水質がアルカリ性を好む魚はごく少数です。
アマゾン河の物もメコン河も弱酸性です。

アルカリ性の水を好むのはアフリカのシクリッドくらいかな。

生物は弱酸性が基本じゃないでしょうか。

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