湯島臥牛さんの園芸日記
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湯島臥牛さん  東京都
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ハオルチア栽培の基礎1⃣

2021/04/06
ハオルチア栽培の基礎1⃣ 拡大 写真1 ハオルチア栽培の基礎1⃣ 拡大 写真2 ハオルチア栽培の基礎1⃣ 拡大 写真3

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【ハオルチア栽培の基礎】



まず始めに、ハオルチアとはどんな植物か。


何科だとか何属だとかはこの際どうでもいい、要は「栽培の実際」どのように栄えさせるかだ。

いくら能書きを暗記してても枯らしてたんじゃどぉしようもねぇや。

でも逆に、いくら「実践の腕がモノを言う」つっても基礎知識がゼロじゃ心許ない。


ここじゃ最低限の理屈・セオリー、そんで一番大切な実践ポイントを書いとく。

「何をえらそうに、講師でもあるまいに」

、って思う人はもう先は読まなくて結構。

志(こころざし)の有るお人だけどうぞ。



まず、「自生地のハオルチアは半日陰に生えてる」ってこと。

原産地じゃ岩陰・岩の割れ目や草の根元、低い背丈の灌木の下などにうずくまるように生えてる。
(「半日陰」は「日陰」とは違う。軟光線は葉に届いてる)

灌木や叢の葉ッパが作る陰で強烈な日差しは弱められ軟らかい光線となりハオルチアの上へやさしく降り注ぐ。

これら「木漏れ日」を提供してくれる植物を『保護植物』と云う。


ただしそれは雨季での事で、さしもの乾季にゃ日陰を提供してくれてる草やブッシュの葉が枯れ、季節が移り日差しの角度が変わるので冬にゃ差し込まない岩陰にも日が入って来る。

日光を遮蔽してくれる植物の葉が枯れ落ちてハオルチアは強烈な日差しに晒される。

その場合はハオルチアは日焼けし赤茶ける。
(ストレス抗酸化物質アントシアニン色素で)

その度合いがひでぇ時は生育を停止する【写真①】



もちろん『保護植物』の枯れた葉が残ってる場合にゃ日焼け葉焼けを免れるが、乾季で生えてる土壌が乾き切った場合にゃ同じく生育を停止し葉の表面が凹む。


ちなみに日本での栽培で成長期に水切れさせても葉が凹む。

普通に栽培してて葉が凹む場合は水切れを疑って頂きたい。

そいつぁ何か原因があるはず【写真②】



ネットを彷徨ってると、時々「紅葉させる」などと言って真っ赤にさせてる人を見かけるが、日本の植物が秋に寒気に当って紅葉するのとは根本的にちがう。

何もわざわざ直射日光を当てて日焼けさせることはない。


もちろん日焼けはハオルチアにとってはひでぇストレスとなる。
そのまま赤黒く萎縮して枯れてしまう事もある。


だから大切なポイントのひとつは、ハオルチアにゃ周年遮光が必要ってこと。

種によってその度合いはちがうが、物によっては6,000ルクス以上の光線下じゃまともに育たないスプリング系というような難物もある。
("6,000ルクス"という数字は某ハオルチア協会が提唱)


一般的に云うと窓のない硬葉系は有窓の軟葉系より日焼けし易くより強い遮光が必要とされる。

だがその株によって個体差があり種によっても違いがある。
硬葉系でも短時間なら直射日光でも耐えられる剛健種も存在する。

逆に、強光に耐えられる種でもホムセン・百均など日照不足の園芸コーナーに長く置かれてた株は、いきなりお日様に晒したりすると覿面(てきめん)に日焼けする。

最初はティッシュペーパー・寒冷紗・遮光シートなど厚く掛け、徐々に減らして軟光線に馴らしてゆくのが大切だ。

なお、百均ホムセンなどで黒いメッシュの遮光シートが売られてて安価なので重宝するが、真夏に植物に被せる場合葉に直接触れさせると黒いビニール繊維が熱せられて葉がヤケドをするので要注意。

これは痛い目(植物は熱い目)に遭った経験者が言うので間違いねぇ。



でもまぁ結局は、その株をよく観察しなきゃ適量の光線量は分からないってこった。

なお、日陰に置いとくと徒長して見苦しい株になる。
その人の価値観にもよるが、おいらなどは徒長を最も栽培家の恥と思ってる。


こちとら永らく勘を頼りに目分量で遮光率を増減してたが、数年前に「照度計」をネットショップで買った【写真③】

おのれを過信してたのか近年遮光率を誤り日焼けさせたりが続いたからだ。



最近は驚くほど安いのがネットショップで売ってる。

要りもしないバッグ買ったりパチンコで浪費するならたかが2~3千円のこった照度計買いなされ。
それが確実。



ハオルチアの原産地の南アじゃ冬が雨季で、温度の低い季節に雨が降ってハオルチアは成長する。
夏の乾季は休眠してるいわゆる冬型(日本じゃ春秋型)の植物。


ただし小生は初級者が誤解するので「冬型」と呼ばず「冷涼期生育型」と呼んでる。

日本じゃ秋から早春~梅雨期くらいまで成長させる。
なぜならハオルチアは昼夜の温度差がある程度ねぇと成長が鈍くなるから。
(東京都心標準じゃ2月下旬の早春が最盛期)


現代は冬場に屋内に取り込んで冬越しさせる人が圧倒的に多い。
だがエアコンの効いた部屋は望ましくない。

空気が乾燥する事もあるし、第一昼夜の温度差が小さくなるからだ。

ハオルチアは『冷涼季生育型』
成長期はある程度冷やした方が調子がイイ。

こういう事から、ハオの戸外栽培の環境はフレームか温室が望ましい。
なぜなら真冬でも日中かなりの高温が作り出せるからだ。

んで、夜~朝に冷え込む。
この温度差こそがハオルチアの成長を促す。

ただし、日本の真冬に氷点下になると生育を止める。

もち凍らせたりしちゃダメに決まってる。
霜も雪も被らせちゃぁアウトと思いなせぇ。

南アの原産地じゃ最低でも氷点下になる事はない。
比較的温暖な気候なのだよ。



ところが、日本の夏は蒸し暑く熱帯夜になったりして明け方の最低気温が高くなり昼夜の温度差が現地ほどじゃなくなる。

だから(種にもよるが)半休眠状態になり一時的に生育を止める。


しかしここで勘違いしてもらいたくねぇのは、現地じゃハオルチアは夏で気温が高くなるから休眠するのじゃなく乾季になって水切れするから否応なく休眠するってこと。

つまり日本の環境じゃ雨季乾季じゃなく温度に反応して(半)休眠に入るわけだ。

この原産地と日本の環境のギャップが解ってねぇとハオルチア栽培を極めることは出来ねぇ。


ただしここで云う温度差は気温じゃなく「葉面の温度」であり「根元の表土の温度」のこと。
問題は「空中の気温」じゃなく「植物体の表面温度」なのだ。



ウルトラCで、蒸し暑い真夏の熱帯夜に冷蔵庫へ入れる手もあるが実際にゃ実行し難い。
鉢数もさることながら衛生面でも家族の猛反対に遭う。

専用の冷蔵庫やワインセラーを用意すりゃいいようなものだが、その種によって最適の低温度が違うから温度設定に悩む羽目になる。

また庫内の通風も問題になる。

内部にファンがある機種もあるがそれだと乾燥し過ぎる。
濡れた新聞紙にくるむ方法もあるがそこまで出来るクレージーなマニアはごく少ないだろう。

一回・二回は出来ても夏中毎日出し入れするなど余程のヒマ人かマニアだろう。ジョンレノン ヒマジン・・・


やっぱ一晩中クーラーの効いた部屋へ収容するのがより実際的だが、鉢数が多かったり毎晩となると大変だ。
また、空中湿度の高いのを好むハオルチアにクーラーの送風はどうかな。



でも、このようにハオルチアの特性を頭に入れときゃ応用が利く。

あとは本人の工夫次第。

原産地の南アから遠く離れた日本での栽培だ、完全な環境作りなどあり得ねぇ。
それぞれの家庭によって創意工夫が必要。


「そこまでしてハオルチアなんか持ちたくねぇワ」


そうおっしゃるなら仕方ねぇし。

ならば、およしなせぇよ。




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「ハオルチア栽培の基礎1⃣」関連カテゴリ

みんなのコメント(14)

師匠、こんにちは

私の持ってる多肉達。春秋冬は充分な日光に当てますが、
ハオルチアはさらなる日除けが必要なんですねぇ…

いつもいつもえーっ、そうだったのかーと、思い知らされます。
あ、素焼き鉢は水に漬けるようになりましたよ。ちゃんと。

返信する

返信遅くなりました。
有楽町で寄り合い。一杯しきゃやってませんが。

ハオルチアは『陰性植物』ガステリアも同様。
同じユリ科でもアロエは『陽光植物』とされてます。

もちろん、総論はそうですが、個々に差があり一概にゃ論じられませんけど。

こんばんは。

ホムセンで買ってきたものは、1週間は、
屋内の窓際に置いておりますが、
それはそれで正解ですよね。。
ホムセンなどは、多肉だいたい、半屋内に
置いてありますから。。。

ハオルチアに限っていえば、
やっぱり室内窓際メインでたまに日光浴がいいかな、
と感じております、うちの環境だと。
あと、水は辛めで。。
徒長するとほんと手に負えないんで、注意したいです。
あ、伸び始めた、と思った時には、すぐには止まってくれませんもん。
がんばります。。
エケベリアとかだと、年中野外(水は当たらない)で、
紅葉もしてくれますけど。。

返信する

いらっしゃい、akio_no_s30zさん。

サボテンも含め多肉植物全般に云える事ですが、遮光が必要な種にゃ「適量の照度を長時間照射」するのが基本です。

過度の光量を短時間というのは、光合成の効率も悪く、季節によっては日焼けの危険が増大します。


また、ハオルチア属とひと口に云っても徒長を回避する『耐陰性』は種によってかなりバラつきがあります。


日本のハオルチア研究の草分けの団体の会報に種別の『耐陰性』について言及されてます。

http://haworthia.ldblog.jp/archives/54146520.html

適度に長時間。。
了解しました、心がけます。。

放置が良い、って言われがちな多肉ですが、
ちゃんと維持しようと思うとやっぱり
愛情=手間、が必要ですね。

子供の教育と同じ事です。

日本の気候・環境は、多肉も子供にとっても放置して良い方向へ行くようなものじゃありませぬ。

いつも見てやり、世話してやり、矯正してやり、我々も自ら反省し改善してゆかねばなりませぬ。
「納得のいく」株を仕立てるためには。

こんにちは

照度計、買っていいか聞いたら🏠にありました
で、さっそく測定

あら、ハオルチア、ガステリア共々同じ光量でいいのでしょうか?同じ場所でも棚の中段と下段でも
はるかに違うものですね

質問ばかりですみませんが、❓ルクスが好ましいのでしょうか

返信する

いらっしゃいまし、くーちゃんさん。

ハオルチア・ガステリア共に種によって照度の適正値が違うんです。

ハオルチア属でも「スプリングボクブラケンシス」のように6千ルクス以上の光量だとまともに育たないといわれる種もあれば、万象・玉扇のように1万ルクス以下では徒長するという種類もあります。

ガステリア属も同様です。


でもまぁ小生の経験からザックリ言うと、ハオ・ガス共に概ね8千~1万5千ルクスの幅でなんとか収まりますか。

しかし、こうは言っても、中にゃ日焼けしたり徒長したりする「例外種」が出て来ます。

ガステリアの場合は、側面の葉の重なり部分が赤くなってる場合は「光量過多」です。

ハオルチアも、よく細かく観察すると葉の表面・裏面・茎部分が赤く変色してる場合が多いです。

軽い日焼けなら光量を調節すりゃ元に戻ります。

逆に徒長させるとその葉は元通りにゃなりませぬ。

この様に、試行錯誤も必要です。
季節によって、またその日の天候により、照度は刻々変化します。
ひでぇ日焼け事故の無いようご用心。



参考までにこの記事をお読みください。

http://haworthia.ldblog.jp/archives/54146520.html

ただし、小生はここに上げてる数値じゃ徒長気味になるような気がします。
あくまでも参考に留めて下さい。

なお、百均の黒い遮光シートは直接に葉に触れると夏場はヤケドします。

おはようございます

詳しく教えてくださりありがとうございます
よくよく考えれば、一定の照度が365日続くわけでもない、日々の観察がいかに大事か、そして日陰に置けばいいというものでもない、

奥が深いものですね
お尋ねして本当に良かったと感謝しています。
ありがとうございました_(._.)_

こんばんは。
数々のご教示、ありがとうございます。
蘭にかまけていましたがハオルチアも勉強しようと思い、臥牛先生の日記を読み返し、覚えておいた方が良いと思うところをノートに書き出しました。
PCにコピペしても良いのですが、やはり書くと覚えるので手書きしました。
植え替え用土をシリンジしておく事、根は乾かさない事、灌水は弱酸性水を使う事等々、目から鱗が落ちました。(目を見開いて見ていたので、コンタクトが乾いて落ちました)
早速、今日の植替えに活用させていただきました。
うちの浄水器は、アルカリ水と酸性水に分けて出るので、植え替え後に洗浄瓶に弱酸性水を入れて、一鉢ずつ回しながら静かに灌水。洗浄瓶が使いやすく、良いものをご紹介くださいました。
ハオが酸いものをお好みとは露知らずでしたが、これからは、酸いも甘いも嚙み分けて共白髪まで、ハオと連れ合えそうです。
生まれも育ちも日本橋で、護国寺の幼稚園に通っていたので、途中下車する湯島と言えば、うさぎやのどら焼き、花月のかりんとう、天庄の天ぷらに湯島天神でしたが、これからは湯島と言えば臥牛先生ですので、今後とも経験則のご教示を宜しくお願い申し上げます。

返信する


いらっしゃい、レプトさん。

「経験則」とおっしゃいますが、まさにそのとおりで、小生の書く事はすべて先達と自らの僅かな経験でござんす。

ウチの所蔵の多肉専門書は戦後すぐに発行された物が多く、その内容は取りも直さず「先人の試行錯誤による経験則」

もちろんそのすべては明治大正から戦時下の窮乏時代に日々行われた多肉栽培の数知れない試練の賜物でありまして、戦後の大学の左翼思想に凝り固まった教師のような観念的机上の空論は一切無いのは論を待たないわけであります。


早速思い付いた注意点を書きますと、灌水の水やりは真夏以外はぬるま湯で。

鉢は、春の植え替え時にゃ3.5号までは「朱温鉢」4号以上は「駄温鉢(アサガオ鉢)」

3号までは鉢底のガラ石は不要です。
いや、不要どころか反って有害で、コンクリ上に鉢を置くと鉢穴付近から乾いて行きやすくせっかく伸びた新根を乾燥させます。


秋の植え替え時は黒のプラ鉢でも構いませんが(根は温めた方が良い)、出来れば黒の「楽焼きラン鉢」か「楽焼き観音竹鉢」が宜しいかと。


深夜1時に起き出しての返信。まだ頭がはっきりと起き切っておらず次が思いつきませんのでまた追い追いと著述させていただく所存でござんす。

以後よろしくお付き合いのほどを。

深夜1時のご返信 ありがとうございました。

ハオルチアは多肉女子(当方も多肉です)が好きな、窓がキラキラ系を栽培。球体を愛でているので、花が付いたら引っこ抜いています。
鉢はプラのスリット鉢で、置き場所は南に面したベランダの棚に仕切りの有るトレー(ホームセンターなどで花を入れて売っているもの)に入れています。
棚の前面には遮光ネットを掛けて、陽射しを調整しています。

灌水の水温は、ぬるま湯。また、新しい知識を頂きました。酸性水のぬるま湯を洗浄瓶で、静かに与えるようにします。
後は鉢ですが、「朱温鉢」が売っていないので、その他のご提案の鉢を捜し絵見ます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

朱温鉢にもタイプがありまして、堅焼きのと素焼き鉢に近い目の粗い物があります。

多肉植物全般に適してるのはもちろん堅焼きで、粗めのだと乾燥が早く水切れ失敗の原因になります。

それも3号以下の小っちゃな鉢も乾きが急過ぎて「適湿管理」が非常に難しい。

苗自体が小っちゃくても3号鉢以上の大きさの物を使用して下さい。

あとは適湿を保つのは用土の配合で調節なすって下さい。

レプトさんはラン栽培の下地の技術がお有りですから、その辺の塩梅は心得てらっしゃると思います。


なお、もし堅焼きの朱温鉢をお求めなら知り合いの製造会社へ注文しておきますよ。

社長が知り合いで電話注文で代引きで送ってくれますから。

ここの鉢は他のと違って造りが丁寧で、つい先月もお気に入りの趣味園会員さんへ送ってもらったところです。

3号・4号鉢なら常住在庫があると思います。
なけりゃ支店から取り寄せるはず。

いつでもおっしゃって下さい。
お手伝いします。


よくご存知のように「京楽焼き鉢」はラン鉢も観音竹鉢も高価ですよね。

去年の6月にゃこういう事もありました。

https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=694944

それにこれからの夏場は楽焼鉢は熱して熱くなり過ぎます。

秋の植え替えなら適してますが。

こんばんは。
蘭の植替えの際、根を傷めないように素焼鉢は叩き割るので、2号から4.5号までは常備しています。
蘭の場合、なるべく鉢は小さいものを使いますが、ハオルチアの場合は、球体が小さくても3号鉢が良いんですね。
鶴仙園さんでも、2号の黒のプラ鉢で植えられていたので、そんなものかと思っていました。
良い環境で育ててあげたいので、お言葉に甘えて、お手数でなければ朱温鉢の3号鉢を10鉢お願い致します。

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