かたつむり。さんの園芸日記

まだまだグレームード

2021/06/14
まだまだグレームード 拡大 写真1 まだまだグレームード 拡大 写真2 まだまだグレームード 拡大 写真3

 
 ※ほぼ自分用の記録。

 「すっぽんぽん栽培の着生蘭の窒素源として、ペプチドは有効なのか?」という実験の続報です。市販の「コラーゲンペプチド(コラペ)」を唯一の窒素源としたすっぽんぽん栽培(以後「コラペ栽培」)を2019年から開始し、2年が経ちました。
 …で、その効果については、まだ、「グレー」としか言いようがありません。

 これから、この実験の対象とする株は、
Vandachostylis Charm 'Blue Moon' に絞ることにします。

 前は ナゴラン や Phal. pulchra の小苗(いずれも2019年生まれ)も参加していましたが、それらファレノプシス類については、バンダ類のように完全なすっぽんぽんで長期にわたって栽培するのは、自分の環境では(コラペ実験の前から分かっていましたがやっぱり)無理っぽいのです。
 ナゴランは昨年秋に既にリタイア。【画像3】=2021年6月14日撮影 の Phal. pulchra については、やれるとこまでやってみるつもりですが、そろそろ限界っぽい感じです。
 コラペが効く効かない以前に、完全すっぽんぽん栽培自体が困難となると、どうしようもないですね。樹皮などに着生させればギリギリ大丈夫ですが、その場合、樹皮などが植込材の役目をするため、この実験の趣旨で言うところの「すっぽんぽん栽培」には該当しなくなってしまいます。


 実験の背景や趣旨については、以前の日記の「コラペ実験」のカテゴリーと、ここにアップロードしたファイルに詳しく書いてあります。
https://ux.getuploader.com/k181009/


 ここからが本題。

 【画像1】で数字が書いてある葉が、コラペ栽培開始後に生えた葉です。数字は葉が生え始めた年月を示しています。(2021年5月20日に撮影した写真に字を書き込んだもので、植物に直に字を書いたわけではありません。)

 【画像2】は葉の長さの成長と体重(植木鉢等込み)の記録・2020年版です。成長を見える化するためにグラフ化しているのですが、まあ画像1の「実物を見た実感」の方が結局分かり易いですね。
 上のグラフは、左目盛が「概ね5日間隔で測定した最高・最低気温」、右目盛りが「概ね5日間隔で測定した最も新しい葉の長さの伸長量(測定間隔が6日になった期間は6分の5を掛けた値)」となっています。
 下のグラフは、冬の間はほとんど体重が変わらなかったので4月~11月のみとしています。今日植替えをしたのでその時に計量してみると、設置物(植木鉢+支柱用鉄線で作った固定具+ビニタイ)の総重量は 70.9 g でした。つまり、このグラフの重量から 70.9 g を差し引いた値が正味の植物の体重です。基本的に水やりの前と後に計量しているためギザギザの線になっています。一応増加傾向ですが、既に育ちきった株のため、新しい組織が加わった分だけ古い組織が枯れていく状態にあり、体重増加のかなりの部分は枯れた根の蓄積によるものです。

 前回報告の通り、2019年は、元々傷んでいた古い葉がごっそりと枯れ落ちたことでそれが栄養源になったようで、1年間で新しい葉が6本も生えるという盛況ぶりでした。(植物は古い葉などを枯らして脱落させる時、その構成成分を分解して窒素などの資源を回収することがある程度可能だと考えられています。)
 その2019年に比べると2020年は成長が鈍りましたが、1年間で新しく生えた葉は4本と、十分に順調と言える成長ぶりでした。
 (株本体の成長を見る実験のため、花芽が出たら摘み取っています。そうした場合、11~4月に1本程度、5~10月に3本程度、葉が更新します。)

 「2年でこれだけ育てば上等じゃないか」と思いたいのはやまやまなのですが、コラペの効果に確信を持てるためには、もっと「有無を言わせぬ証拠」が欲しいところです。
 元々傷んでいた葉がコラペ栽培開始直後にごっそりと枯れ落ちたことによる葉の減少は、今年の春あたりでようやく元に戻りました。つまり現時点では、トータルで見ると、コラペ栽培開始からの2年間で衰退も成長もしておらず、振り出しに戻った状態です。今年、また古い葉がごっそり枯れそうな感じになってきました。このぶんだと、今年末頃には、むしろトータルで衰退したことになるでしょう。そこからさらにもう1年程度良好な生育(年4本の新葉)が維持できれば、来年末~再来年夏頃に再び振り出しに戻るでしょう。
 新しい組織が育った分だけ古い組織が枯れる成熟サイズの株では、何年続けてもこんなことの繰り返し。
 こんな状況では、「体内の窒素在庫を使い回して持ち堪えてるだけなんじゃないの?」という突っ込みに対して反論できません。

 となると、小苗から成熟株まで栽培できた実績が欲しいわけです。
 そこで、とてもラッキーなことが起こりました。【画像1】の黄色い囲み。昨年の夏頃から、脇芽が生えてきたのです。
 たぶん来年の夏以降になりますが、この脇芽が自前の根を出して親株から切り離せるようになったら、できるだけ早く切り離したいと思います。コラペ栽培開始から1年以上経ってから生えてきた脇芽を親株から切り離して、その子株でコラペ栽培を継続して、小苗から立派な成熟株まで栽培することができたら、それこそ「有無を言わせぬ証拠」となり得ます。たぶん、あと3年はかかると思います。
 最初から成熟サイズの株だと、新しい組織が成長した分、古い組織が枯れるだけなので、トータルで言うと最良でも現状維持ですから、上記の「使い回し説」を否定できません。だから、子株を大きく育てることが可能であることも証明しなくてはなりません。

 以上をまとめると、既に2年続けた実験ですが、「コラペが着生蘭(バンダ類)のすっぽんぽん栽培の窒素源として有効である」と言えるためには、順調に行っても、あと3年程度はかかりそうです。


 実験開始当初は、もっと早く結果が出るのではないかと楽観視していました。前に書いていたように、「ハズレなら空振り、アタリならホームラン」だと思っていたからです。コラペが窒素源として有効であるならば、同時に炭素源にもなるはずなので、普通の窒素肥料よりも格段に成長が良くなるだろうと考えたためです。ところが実際は、予想に反して普通のヒット(通常の肥料と変わらない成長速度)だったもので、「この成長は、本当に(在庫の使い回しじゃなくて)コラペの効果によるものなのか?」を判別しづらいのです。

 2年もの間、普通に新しい部分が成長していた(新しい部分が成長したのと同じだけ古い部分が枯れたのでトータルでは衰退も成長もしていない)事実については、窒素源なしでそうなるとはさすがに考えにくいので、コラペが全く効いていないということはたぶんないと思います。
 では、なんで、この期に及んで、「どこが」まだグレーなのかというと、それは、コラペに15%程度含まれると推定される窒素が、「額面通りに」効いているのか?という点です。
 市販のコラペはゼラチンを程々に消化してアミノ酸数個~百個程度のサイズにしたものだそうです。つまりサイズの異なるペプチド分子の混合物です。それだと、サイズの小さなペプチド分子だけがアミノ酸の取り込み経路で取り込まれている可能性があります。逆に、サイズの大きなペプチド分子の方がエンドサイトーシスによって捕捉され易いという可能性もあります。その結果、コラペの窒素の 一部しか効いていない可能性 があるのです。
 その点について、家庭園芸の延長のような実験で完全に白黒つけることは、ほとんど不可能です。それでも、「額面通り効いているとみなして実用上は問題なさそうだ」となんとか言えるレベルまでは、年月をかければ検証できるだろうと考えているわけです。(本当は同一品種を多数栽培して対照実験ができたらいいのですが、そんなことができる持ち株も場所もありません。)

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