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日付変更線を超えると昨日が戻ってくる。
私は一日若い私なのだろうか?
アリューシャン海溝を飛び越えてコムストック海山も跨いだけど、
昨日より全然強くないし賢く可愛くもなれてない。
何も巻き戻せないと知っているけれど、
なにかを巻き戻せるとしたら、私は何か巻き戻すだろうか。
例えば人生のゼンマイだとか。
あの日お財布の中を覗いて諦めたものを買いに走ったりとか?
コールドベイって列島掠めたけど、本当に冷たいのかな.
見て、朝は左の窓の奥からくるんだよ。
はじめに地平線が白くなる、そして黄色、そのあと真っ赤に。
父さんと浜辺で焚き火をした時、
最後まで残っていた流木の燠火の色だ。
ウィニヘグ湖の周りにある小さい水たまりはなんだろう。
日が昇ると大地が藤色に染まるの。
湖の水面に反射する太陽の光が足跡みたいに続いてる。
朝の光は歩いてくるんだね。
振り返らない。
昨日や一昨日が、私を追いかけてくるけど振り返らない。
巻き戻さない。
後悔や憐憫が、私につかみかかってくるけれど巻き戻さない。
全てを振り捨てて、
山脈を蹴り上げ川を飲み干し海溝を踏みつぶして
私は明日へ渡る。
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