新潟県立植物園さんの園芸日記
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越後七不思議のふしぎ2

2012/10/20
越後七不思議のふしぎ2 拡大 写真1 越後七不思議のふしぎ2 拡大 写真2 越後七不思議のふしぎ2 拡大 写真3

この間、みんなの趣味の園芸の宣伝バナーに「毎日、園芸を続けたいけど・・・」とありましたが、あれば「毎日、園芸日記を続けたいけど・・・」に見えてしようのない倉重です。 
 昔の本を読むのは難しいですね。字は読めないし、読めても意味が分からない、時間ばかりかかります。もっと勉強をしておけば良かったと思っています。

 さて、無事に「植物奇譚 ―越後七不思議の謎を追う―」が10月10日からはじまりました。そんなに広いスペースではないのですが、11月18日まで開催しておりますので、是非ご覧いただければと思います。でも、遠方でお越しになれない方もいらっしゃいますので、何回に分けて七不思議の不思議をご紹介しましょう。七不思議全般については6月2日の日記をご覧ください。

クローバー今日の話題75 七不思議の元祖は三つ? 逆竹
 今回の調査で分かったこと。それは越後七不思議も時代と共に変わっているということです。江戸時代の文献には「越後七不思議」という言葉は使われていませんし、また親鸞聖人の奇瑞も七つは上げられていません。
 さて、私が調べた中で最も古い親鸞聖人の植物に関する奇瑞は「和漢三才図絵」(寺島良安 1712)でした。
 「和漢三才図絵」について簡単にご紹介しましょう。
 江戸時代中期に出版された和漢古今の事象が考証されている挿絵入り百科事典。30余年の歳月をかけて大坂の医師、寺島良安によって編纂された。

 そこには、以下の3つがあげられています。
・紫竹林 親鸞聖人が鳥屋野を訪れた際に杖にしていた竹を地面にさすと、根づいて竹林となった
・八房梅 親鸞聖人が小島村(阿賀野市小島)を訪れた際に、塩漬けの梅の種を播くと、一つ花に実が八つつくウメが生えた
・三度栗 親鸞聖人が焼栗を植えたところ木が育ち、一年に三度栗がなる

 この3つが元祖なんでしょうかね。紫竹林は現在の逆竹のことで、杖の竹が生き返って、林になったことだけが書かれています。今は1)枯れた竹が生き返った、2)逆さに地面にさしても根が出た、3)そのため枝が枝垂れるというのが特徴ですが、ここでは1)しか書かれていません。逆竹という言葉でもないですね。

 次に「越後名寄」(丸山元純 1756)を見てみましょう。
 本書は、越後を中心として各地を遍歴して集めた見聞のほか、故実の考証、さらに歴史、自然現象、民俗、社会、地理、本草などが事項ごとにまとめられた当時の新潟版百科事典。

「逆竹 鳥屋野 親鸞師行脚ノ日、杖竹ヲ以テ地ニ差玉ヒシニ、芽ヲ生シ、繁茂シ、広キ林トナル。最初之逆竹ハ今ナシ。其址ニ碑ヲ立、一字有。又、勢ヒ能生シタル竹ニテモ、手シテ容易ニ引抜カルル事、元来サシタル故也トカヤ。淡竹也。並ニ聖人、馬ヲ繋ク榎在。」
 ここでは、逆竹は林の竹が手でも簡単に抜けるのは、地面にさしたものだからかもしれないことが眼目ですね。最初の逆竹はもうないとも書かれています。

 次に1803年の「二十四輩順拝図会 巻之四」(了貞著・竹原春泉斎画)の「土俗越後の七不思議」を調べてみると、逆さにさした竹が生えている絵がありますので(写真左)、現在の話と同じになった様です。また『北越奇談』(橘崑崙述、柳亭種彦校合、葛飾北斎画 1812)の逆竹には、上鳥屋野村にある親鸞聖人の植えた逆生の竹は、今は絶えてしまったので、七奇には入らないと書かれています。
 
 逆竹はこんな風にして、時代と共に微妙に内容が変わってきたことが分かりました。しかし、数百年に渡って、その場所に植物が生え、奇瑞を目の当たりにできるのはすごいことですね。
 写真中央は大正11年の内務省発行の「天然記念物調査報告書」に掲載された逆竹。こんなに枝垂れているのは今は見られませんが、現在は新潟市の公園として整備され、誰でも見学できるようになっています(写真右)。興味がある方は是非ご覧になってください。

「越後七不思議のふしぎ2」関連カテゴリ

みんなのコメント(6)

こんばんは。

6月の日記、見て来ましたわーい(嬉しい顔)
これは新潟の七不思議なんですね?
親鸞聖人って越後に深くかかわりのある方なんですか?
仏教の知識無くってすみません。。。冷や汗

真ん中の写真の絵は左が下ということですか?
確かに枝が全部下を向いているように見えます。
右の公園の実物も見てみたいです。

やはり成長と自然現象(雪の重み)などの関係でしょうか?
いやいや、結論をださない不思議でしたネウッシッシ

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chackee様
 お晩でございます(新潟式)。
 越後七不思議は新潟のもので、正式?には親鸞聖人の越後七不思議です。聖人は上越に流されて、そこで布教されたので、新潟には浄土真宗のお寺がとても多いんです。
 写真はなぜか横になってしまって、アップし直したのですが、直りませんでした。
 なぜ枝垂れるかは、雪の重みなどの説があります。タケは成長点が頂点に一つなので、木本のように枝が枝垂れると言うことはないのではないかと思います(枝垂れるとすれば、幹が曲がる)。これが七不思議の所以でしょうか。 私が見た限りでは、絵のように曲がっているものはありませんでした。

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こんばんは。

今日の午後、ミニクラス会の下見に行ったのですが、
カメラの予備電池を忘れてしまい、
折角の越後七不思議が途中でバッド(下向き矢印)
案内や、ブログに載せる写真の為にも、
近いうちにシッカリ準備して行きます。
また友人も誘って車(RV)ダッシュ(走り出すさま)

私は100%親鸞と結びつけていましたが、
そうでもないことを知りました。
弘法大師のようにいい気分(温泉)との繋がりは無いようで、
焼き鮒以外は植物がらみというところが、越後らしいでしょうか。

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hanura様
 ご来園ありがとうございます。ミニクラス会で植物園をご利用いただけるなんて!
 親鸞聖人の焼鮒も元の話は、フナに焼き跡がついてと言うことだけだったのですが、それがその近くのエノキが江戸時代に倒れて、その切り株に聖人とフナの模様があったという風に変わっていますので、これも植物がらみと言えると思います。
 その時期時期に変わった花を咲かせ、実をならせるというのは、不思議を伝えるのに最も効果的だったのではないかと思います。
 それではすばらしい写真に期待しております!

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こんにちは。

 古い昔の本は本当に読むのが難しいのでしょうね。古典が大の苦手教科だったので、流石先生、七不思議をわかりやすく解説して下さって面白く読ませて頂きました。

 一番気になるのは、栗好きな私としては『三度栗』です。一年に3度収穫できるって事は1年中栗ご飯が食べれていいですね。
 写真右の公園、新潟に行った時には是非、訪れてみたいです。春に行くと竹の子でているのかな(笑)ウッシッシ

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miyoshi様
 コメントをありがとうございます!私も古典は全然だめでした。
 三度栗は、お得な感じですね。実物はもうないので、本物を見たことはないのですし、いつ咲いて実がなるのか分からないのですが、以下のことから、3倍のクリが取れるのではないと思っています。
1)花芽は前年の夏にできる(クリで複数回花芽ができるとは考えにくい)
2)普通のクリは翌年の初夏にいっぺんに開花するが、花芽ができた年の秋に長期間に渡って一部が開花し、残りが翌年の初夏に咲く(気候の関係で秋に咲く分のクリは小さいと思う)
3)よって、なるクリの総数は一般のクリと同じで、秋になる実が小さければ、全体の収量は少ない
4)ネットに掲載されている一歳栗(三度栗)は観賞用として販売されていることからも、実は大きくならないと思われる
 以上、推測ですが、そうな風に考えています。
 新潟にいらっしゃったら、逆竹の林をご案内しますよ(冬以外ですが)。

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