花フェスタ記念公園さんの園芸日記

裸苗の植え付け

2016/11/28
裸苗の植え付け 拡大 写真1 裸苗の植え付け 拡大 写真2 裸苗の植え付け 拡大 写真3

11月も下旬に入っていよいよ朝晩の寒暖の差が激しくなってきました。風邪などひいておられないでしょうか?
この時期になると「ドコソコで学級閉鎖・・・」なんて話もチラホラ聞くようになりますね~。
私事で恐縮ですが、病院に幼児検診に行った際、貧乏性の我が家はタダでは帰って来れなかったようで、胃腸風邪をもらって帰り、見事!全員が感染・・・
Σ(||゚Д゚) ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~!!

家の中はマーライオンが何体も転がっているような惨状が2・3日続きました...orz
(辛かった~)



さてさて、秋の開花もひと段落して庭仕事も一息着くこの11月からは、ロザリアンにとってはインフルエンザ以上に危険な時期です。



そう「バラ欲しい病」(笑)



私は通年発症していますが、この時期は症状が特に悪化します(笑)
店頭や各ナーセリーのHPに、バラの苗が豊富に並ぶ季節だからです。

一口に‘苗’と言っても、出回る時期や大きさ、状態によって管理の仕方は変わってきます。
ちょうど、夏にフランスのナーセリーへ注文しておいた魅惑のバラ苗達がやってきたので、(写真・左)これから出回る苗の形態の中でも、今回は、お客様から特にご質問や相談の多い「裸苗」、とりわけ海外から送られてくる「輸入苗」の植え付けについて書きたいと思います。

裸苗とは、十分に育った苗木を畑から堀上げて、土等が全て取り除かれた文字通り‘素っ裸’の枝と根っこだけの苗です。
メリットとしては、かさ張る鉢や重い土が一緒ではないので、輸送コストが抑えられる分、価格がお値打ちな点や、癌腫等の根の状態を確認できたり、培養土を自分好みにできる点が挙げられます。
一方、デメリットとしては、海外から輸入される苗は輸出国の環境に適合した根(台木)が使われている事が多い為、高温多湿な日本の環境に馴染むまでは工夫が必要であったり、「防疫」と言って、有害な病害虫が蔓延しないように輸出国で徹底的に洗浄されて、輸入した空港で一つ一つ人の手で検査されてから私達の手元に届くので、傷つき、乾燥して多くのダメージを受けています。
苗の特性を知って適切に管理していただくことが、スムーズに活着させるコツです。

それではポイントを抑えながら順を追って、流れを説明しようと思います。
(※地植えの予定でも、慣れない内は半年程鉢植えで養生してから、庭に定植することをオススメします。せっかく大きな穴を掘っても枯れてしまってはもったいないので・・・)

大切なのは以下の3つ。
一、根を乾燥させない
ニ、肥料のことは考えない(入れない)
三、枝を長く残し過ぎない。根はなるべく切らない
です。
そして、以下の物を用意。

□深さのあるバケツ □根鉢に合った直径で深め鉢(少し窮屈なくらいが◎) □培養土(赤玉土・ピートモス・パーライト・燻炭を7:1:1:1 ※腐葉土や堆肥は雑菌が多いので使用しない。) □支柱 □紐 □不織布又はダンボール

まず、苗を入手したら・・・。

①傷んだ根をカットする。
⇒カビが生えていたり、根の中心部まで黒ずんでいる部分を必要最低限、切除する。
②吸水させる。(写真・中)
⇒体内の水分が不足しているので、根っこだけでなく枝先まで全体を水に半日程どぶ漬して日陰で管理し、しっかりと水分を吸収させる。
 この時に「メネデール」や「バイオゴールド バイタル」等の活力剤を規定量加えてリバイタライジン
   グさせてあげるのも効果的。
③保湿する。
⇒清潔な赤玉土や鹿沼土に水を加えて、トロトロの粘土ペーストを作り、そこに接ぎ口まで根を漬け込んで、泥でコーティングする。
④(泥のコーティングが乾かない内に)植え付ける。(写真・右)
⇒根の向きでは無く、地上部のバランスを優先して植え付ける。
市販の「バラ用の培養土」はあくまでも旺盛に育っているバラ向け。
長旅で疲れ、傷だらけの根は水や肥料を吸収する力が弱まっているので、培養土は肥料分を含まず、排水性・通気性が良く、雑菌が繁殖しにくい組成にする。
 (因みに、苗を枯らす一番の原因は水と肥料の与え過ぎです。)
⑤枝を剪定する。
⇒根の給水力が弱いので、限られた水分で枝をまかなえるよう、芽の位置に注意して、もったいながらずに思い切って深く切り戻す。
⑥潅水する。
⇒培養土に含まれるパーライトや燻炭が浮き上がりやすいので、ハス口をつけて優しくたっぷりと潅水する。
⑦支柱を立てる。
⇒風などで揺さぶられると活着しにくいので、支柱を斜めに差し込んで、残した枝に結わえる。
⑧防寒・保湿する。
⇒鉢ごと不織布で包んで紐でとめる。もしくは、ダンボールを鉢と枝が囲われるように筒状に巻きつけて固定する。
⑨その後。
⇒明るく雨の当たりにくい環境に置いて、鉢の表面が乾いて3・4日してから暖かな日中にたっぷりと潅水をして春まで管理。
新芽が5、6cm伸びたら、細根も伸び出している合図なので、化成肥料を適量毎月置き肥して通常の栽培に切り替える。
9月下旬頃に鉢植えの場合は市販の培養土で鉢増しし、地植えの場合は庭へ、共に根鉢を壊さずに植え付ける。
 
長くなりましたが、ざっとこんな感じです(笑)
しっかり予習したうえで、この冬に‘裸苗’にチャレンジしていただければと思います!

毎月第4日曜日に開催しております「バラの育て方相談会」は、12月25日、クリスマスの10時からです!
ぜひ、園内の散策とあわせてご来園ください!

その他、園内の花の見頃・各種イベント詳細は当園のHPをご覧ください。
皆様のご来園をお待ちしております。

「裸苗の植え付け」関連カテゴリ

みんなの趣味の園芸にログイン/登録する

※コメントの書き込みには会員登録が必要です。

会員登録がお済みの方は

会員登録をすると、園芸日記、そだレポ、アルバム、コミュニティ、マイページなどのサービスを無料でご利用いただくことができます。

ピックアップ
定期購読
投稿募集中 from テキスト編集部
見て見て!お気に入りの花

見て見て!お気に入りの花
自慢の植物・庭の写真を募集中!

みんなのマルシェ

みんなのマルシェ
自慢の畑・野菜の写真を募集中!