リトープス 紫勲
撮影/10月
古くから親しまれているリトープスの定番種『紫勲(しくん)』
基本データ
分類
ハマミズナ科 リトープス属
学名
Lithops lesliei (リトープス・レスリー)
和名
紫勲(しくん)
自生地
南アフリカ北ケープ州、北プロビンス州、ガウティング州、ボツワナ南東端
ふやし方
タネまき(実生)、株分け、さし木
色
緑・黄系
赤・ピンク系
茶・黒系
生育タイプ
冬型
特徴
解説
「紫勲(しくん)」は、逆円錐型で頂面が平坦、あるいは少し膨らむ中~大型のリトープスです。
1908年に南アフリカの都市フェリーニヒングの市長をつとめたレスリー(Tomas Nicholas Leslie)氏と彼の息子オーウェン(Owen)氏が発見・採取し、その名にちなんでL. lesliei と命名されました。
分頭し、中型で15頭、大型で8頭くらいの群生株になります。色の変異は灰色がかった緑色、茶色がかった緑色、褐緑色などありますが、窓に入る模様(「島」)の特徴はほぼ同じです。
多種との判別もしやすく自生範囲はリトープスの中でも最大で、確認されているだけでも31の群落がありますが、地域変異性は少なく、個体差が6つに分けられています(基本種のL.lesliei var.lesliei のほかにvar. (Grey form), var. (Kimberly form), var. luteoviridis , var. (Pietersburg form), var. (Warrenton form)の6つに分類されている)。
秋には黄色の花を咲かせます。
リトープスは、ハマミズナ科(メセン類)の植物で、南アフリカからナミビアに分布しています。自生地の風土に対応するためか、個体の色や模様の変化が多く、種類豊富な多肉植物。メセン類の中では丈夫で初心者向きです。
砂礫が広がる岩砂漠のようなところに多く見られます。「石に化ける」といわれるほどで、原生地を歩いていると思わず踏んでしまいそうになるくらい、石と見間違えるような姿、模様をしています。
原生地では、乾季は葉の頂部(模様がある部分)を残して株全体が地面に隠れていて、雨季に生育を開始します。地上部に露出している葉の頂部の模様や、透明な斑点、線模様が「窓」と呼ばれています。
育て方・管理のポイント
秋(9月)から本格的に生育を始め、9月から11月に花を咲かせると、その後、翌年3月から古い葉を破って新葉を展開させる脱皮が始まります。脱皮は梅雨時期までに終わり、夏に休眠する、というライフステージを繰り返していきます。2年おきに分頭して群生します。
年間を通して日当たりがよく、雨よけがある戸外で管理します。ただし、真夏は高温多湿に弱いので通風を図り、遮光するなど日差しを和らげて涼しく管理しましょう。また冬季はきれいな状態を保ちたいので、最低温度が3℃以下にならないように工夫します。
生育期の9月から11月、水は培養土が乾いたらたっぷりと与えます(開花時、リトープスは水分が不足すると十分に開花しないことがあるので要注意)。冬季も温かい日を選び水やりをします。また休眠期の夏季は日当たりと風通しをよくし、1か月に2~3回、霧水をかける程度にします。蒸れないように管理すれば、丈夫で育てやすい種類です。
【枯死しない最低温度/0~3℃】(目安)
撮影/10月
撮影/10月
教えてくれた人
靍岡秀明(つるおか・ひであき)
園芸家。昭和5年創業のサボテン・多肉植物を扱う老舗「鶴仙園(かくせんえん)」の3代目。多肉植物の自生地を訪ねる一方、高温多湿の日本で多肉植物をどう楽しむか、日々、ノウハウを探究している。
(写真撮影)田中雅也
リトープスとは?
リトープスは、「メセン(女仙)類」や「メセンの仲間」と呼ばれる多肉植物の代表的な属の一つです。上から見ると扁平な球形の葉が2枚合わさった形をしていますが、横から見ると融合しており、ユニークな形をしています。
自生地の多くは砂利の多い砂漠や岩場で、周辺の石や砂利に似た色合いや模様をもって「擬態」をする植物としても知られています。株(葉)の色は変化に富んでおり、緑、茶、クリーム色、灰色、白色、濃紅色などのものが存在します。園芸的には株の地色とあわせて、葉の上部の平坦な部分に出る模様とその色合いの妙を…
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