1.運命のいたずら
そう、いたずらだったようなのです。贈り物として発送された後、受け取り手が実は存在せず、配送業者も困り、返送されてきたのです。
残暑の高温が続く中、水もなく箱の中で何日も待ち続ける。エバーフレッシュは多肉のように乾燥に強いわけでもなく、葉が傷み、落ちていることは想像に難くないでしょう。
再び水をあげたところで、元通りになるわけでもなし。価値を失った植物は、置き場の確保さえ困るようになります。
2.じゃあ、俺ん家くるか?
2018/09/22
引き取ることになりました。でも彼、デカかったんです。10号鉢。業務用、ほんとにオフィス用、植物部分だけで150cm近く!
対してこっちは一人暮らしの6畳ワンルーム。なんとか置けなくはありませんが…さすがにでかすぎます。
運ぶにも大きく、かつ部屋の構造上、差し込む光は高くまで届かないことがわかっていたので、約半分まで切り詰めたこの状態で来ました。
3.10号→7号 試練のダウンサイジング
2018/09/24
用意できるスペースはせいぜい7号。ということは、全体をもっともっと切り詰めるということです。このためにノコギリも買いました。ノコで観葉切るなんて初めてだよ…。
根は、7号ではいけません。ジャストサイズでは発根後の伸びしろがありませんので、5号程度になるまでひたすら切断。見た目はもう、幹の下にくっついてるタワシ。そんな量、長さの根しか残りませんでした。
4.ダウンサイズ後 そしていつもの熱血
同日
テーブルヤシの左が彼。往時に比べ高さ1/3、葉は1/10以下…やり過ぎた!? このまま枯れるかも…
だが行き場はもうない!
お前に与えられる環境は、これだけなのだ!
これで終わりと諦めるなら、それもよいだろう。
厳しさに負けてしまうのなら、それまでだったということ。
運命を踏み越え生きたいのなら、根性である。
根づいてなお、環境に打ち勝つド根性である。
さすれば、後の面倒も見よう。
5.千尋の谷から
2018/10/02
ひょっこり。
んっ! もうか!?
ワラビにも似た新しい芽がそこかしこから伸びてきました。ふつう、植え替えなり挿し木なりした後に新芽が伸びるのは、根づいたサインです。
(ちなみに水やりは、切り口まみれの根を保護するため殺菌剤のベンレート水和剤を溶かしたものを、植え替えの直後に一度やっただけ。置き場はこのスチールラックのまま、明るい日陰の室内です。)
6.ぱったん ぱったん
同日
エバーフレッシュは日中葉が開き、夜になると葉がパタンと閉じます。ちゃんとその周期運動を行っており、息づいている感があります。
(なお、植え替えでは葉を全て落とさずにこれくらい残しておきました。葉から水分が蒸散することで根からの水の吸い上げが起こります。なのでちょっとやる気出して新しい根が少しでも出れば、それで体内の循環が小規模なれど回復することになります。)
7.なんか伸びたわー
2018/10/05
3日後。新芽がさらに伸びて細かい葉が視認できるようになりました。
8.も…もっと伸びたわー
2018/10/08
そのまた3日後。もっと伸びて葉が開き、エバーフレッシュ然とした様子になりました。
新しい葉は若葉色・黄緑色ではなくて、やや茶色味を帯びるようです。周期運動はそれほど強く行いません。
9.桑の実のような
同日
あっ! これ花芽じゃん!
なんてこった、こんな状態でも出てくるもんなんですね。
実は、私の家に来る直前にも花が咲いていたのです。ヘロヘロな状態になっていたにもかかわらず、行き場を失くして「ヤバイ死ぬ子孫残さなくちゃ」スイッチが入っていたのかもしれません。
まあ、瀬戸際と言えば今も瀬戸際ですがね。
10.もさもさ
2018/10/16
まだ葉の色まではのっていないものの、いっちょ前に広がり株自体のボリュームがでました。枝がまだ短い分、往時よりも葉の密度が高い感じです。
風通しの面から、もともと残していた古い葉は、しばらくしたら切ってもよさそうです。
なんだよー 枯れる覚悟で切り詰めて、熱血少年誌みたいな挑発したら、1ヶ月経たずに三途の川からただいまかよー
おかえり。
11.緑の傘の下から
2018/11/12
新しい枝葉の展開はひと段落したようで、ボリュームはそれほど変わりません。花芽・葉芽ともにそのままの大きさを維持しています。気温の影響でしょうかね。でも葉の緑色は少しずつ濃くなっています。
それほど乾かないので水も3週に一度くらいです。
下から眺めると、ヤシ類と葉の形は違えど、優しいグリーンに覆われている感じに。敢えて逆光気味に撮りました。
12.冬でもフレッシュですわ
2019/01/19
寒くともじわりじわりと成長は続いているようです。部屋の中だからね!
秋に生えそろった葉は安心の緑色に変わり、上方向にもう一階層追加されました。
葉がつく枝の長さはある程度決まっているようで、見る角度によると葉の広がりが階層構造を成しています。何階建てになるつもりなんでしょう。
13.運命を克服して、花を
2019/05/14
昨年秋に見つけた花芽はそのまま越冬。4月の気温上昇とともに少しずつ動き始め、5月上~中旬に花開きました。丸いボンボンのような、健気な黄色の花です。
昨年の晩夏、家に来る前にも花をつけていたので、本来の花期は夏なんでしょうね。
(いつも通りの週1程度の水やり以外は特段の管理はしておりません)
14.また…だと?
2020/08/30
根元近くに痕跡的な芽があったので、そのすぐ上で切りました。日光の入射角の関係で、あまり背を高くできないのです。盆栽のように枝を下方に誘引してもみましたが、先まで水分が届かないのか、その枝の成長は芳しくありませんでした。
「そんな攻撃で俺を倒せるとでも思っているのか?」
倒れるほどの幹も残っていないやつが、よく言うぜ!
「くっ…!」
15.俺は…フェニックスだ!
2020/09/19
いいえ、エバーフレッシュです。前例があるのであまり心配していませんでした。ちょっとやり過ぎかと思いましたけど。
切った当日は殺菌剤入りの水をやり、しばらくして切り口に多少生えたカビを拭いとったくらいで、いつもの管理と変えておりません。
16.はい この通り!
2020/10/03
ふさふさし始めました。切ってやった方がいい感じの葉が出るのは気のせいだろうか。
世の中は残酷なものです。
商品価値がないとみなされたら、廃棄という殺処分が否応なく迫ります。お店の人も心苦しいだろうけど、売り物にはできないのだから…。
そんなエバーフレッシュのお話。