1.💴100円硬貨と見比べて欲しい。
‘17.6/24撮影
横幅15cmを超える。葉幅は広い。
葉面は少しザラついて光沢がある。
戦前の葉先の尖ったスタンダードなタイプ。
臥牛は肉厚の葉を終生左右対生に出し続ける単子葉。
葉長は大型品種だと30㌢にもなる。
初夏に出現する花茎は30㌢以上に伸びてスズランのように壺型ピンクの物を10〜30個付ける。
花形が胃袋に似てるので古来「ガスト(ラテン語の胃)」からガステリア属名となる。
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2.🌍自生地は南ア連邦のホンに限られた地域
地図で見ると小っちゃ!
こんな狭い地域なんだぁ。
これで採取規制しなきゃ、そりゃ絶滅危惧種になっちゃうワ。
現在ではレッドリスト絶滅危惧IA類。
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3.🌱自生地は砂漠じゃなく草原
葉が多肉質だから、さぞや乾燥した荒野に自生してると思いがちだが、臥牛は草原の草叢や灌木の根元、岩の割れ目などに生えてる。
だから直射日光下じゃ紫色に日焼けし生育停止。
実際、半日陰を提供してくれてる草や木の葉が乾季で落葉して直射日光に晒されると日焼けして休眠状態になるようだ。
南半球の11〜2月は夏に当たり、その頃に雨季が訪れ臥牛も成長する。
逆に冬の5〜9月は乾季で変色休眠して過ごす。
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4.🐮💤 休眠する臥牛たち
枯れてるようにしか見えない臥牛たち。
赤紫色になって休眠してる。乾季なんだろう。
5〜9月の乾季は窪んだ砂地や灌木・ブッシュ根元に半ば埋まった状態で休眠。
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5.⛏原産地じゃ半分土に埋もれて生活
北半球の我が国とは逆の10〜2月の夏の雨季に生育期を迎える。
葉の緑色が戻り雨水を含んだ土壌から吸水し葉が膨張する。
雨季だから当然空は雲に覆われ直射日光が降り注ぐ時間帯は短い。
ゆえに自生地じゃ生育期に強光線はあまり浴びてないわけだ。
それが臥牛の直射日光に弱い理由だ。
我が国での栽培じゃ休眠する必要はない。
現に数十年ウチで臥牛を変色・休眠させた事はない。
それだけ成長が遅れるから。
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6.次の写真の原産地野生株と見比べて下さい。
‘17.6/8撮影
18年前の購入時に「戦前旧来型」と名札に書いてたわけじゃない。
草姿・葉形からこちとらが判断したんだ。
その根拠はこの写真と次の写真を見比べてもらやぁ解る。
↓
7.🍃葉の形状が同じ。
この写真は自生地に生えてる野生株。
ウチの「戦前旧来型臥牛」と葉形が同じ。
つまりウチの株は、南アに自生してる原種に限りなく近いという事。
臥牛種が日本に渡来して恐らくは100年以上経ってるはず。
戦前から戦時を挟んで戦後の多肉ブームにあらゆる交配・改良を繰り返して来たはずなのに草姿がほとんど変わらない。
今だにこんな原種に近い株が残ってる。
驚異的と云う他はない。
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8.🌹ツボミが出て来たが取り除く✂️
17.7/3撮影
ネット上の臥牛の解説に「初夏に開花」とある。
解説通りの花芽出現。
しかしウチじゃハオルチア ガステリアのツボミは出来るだけ小っちゃいうちに摘み取る。
この方針は40年間変わらない。
試しにあの長大な花茎を両手で千切ってみて欲しい。
とても引き千切れるものじゃない。
あれだけ強靭な茎を伸ばし数多くの花を咲かせる。
花も見たいが、成長の遅い葉の為に体力を温存しときたい。
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9.去年の植え替え時の写真2017.9/24
秋の彼岸過ぎに植え替え。
毎年の事だが、仔が多数吹いてた。
仔吹きする事を生物学用語で「出芽」と云う。
親株と同一の遺伝子で無性生殖の一種。
臥牛は自家授粉はしない(自家不和合性)
別の新しい遺伝情報を導入してあらゆる環境に適応しようとする被子植物の生存拡散戦略で、同じ親株から吹いたカキ子同士の間でも授粉授精はしない。
ガステリア・ハオルチアの場合、吹いた仔はすでに発根してる事が多い。
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10.植え替え直後の写真、表向き禁煙🚭
‘17.9/27
この株は葉渡しはタバコのケースよりひと回りふた回り大きい。
大株だと思ってたが、現地株じゃ横幅30㌢にも成長する物があるらしい。
現に池袋西武屋上にゃ20㌢のが売られてた。(軍配型で高価)
売れ残ってるところを見ると、値段もさることながら、世の流行は小型へと向かってるようだ。
もっとも”流行”と云うほどのブームにゃなってねぇが。
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11.🍀✨12月中旬、色艶良し
‘17.12/17撮影
気温の低下と共に春秋型の臥牛も生育が鈍くなる。
だが、この株は外見上色艶も良く元気そうだ。
一般に日本で栽培するとガステリアはハオルチアと違いポーカーフェイス。
休眠後期に葉が薄っぺらくなるのもあるが全く変わらないのも多い。
臥牛は寒さに弱いと云う事は無いが内部の代謝が低下してるのは確実で、用土の乾きが遅くなるなどで察知するしかない。
ただし変色は日焼けによる。
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12.🐮💤 ペラペラになって休眠中の臥牛
乾季の原産地で休眠中の臥牛
🍁 枯葉のようになってる。これでも生きてる。
雨季になって雨が降れば長大な直根は存分に吸水し、葉は緑色に変化し急速に厚みを取り戻す。
信じられないような生命力。
南アの自生地の気候は日本のような夏季の猛暑日や蒸し暑い熱帯夜も無く、氷点下になるような寒い冬も無い。
原産地で臥牛が休眠するのはあくまで乾季だからだ。
温度の上下が休眠の契機になるわけじゃない。
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13.🌸✨春になり新葉が出て来た
‘18.3/30撮影
前々回の去年12月の写真と見比べると新葉が出て来た。
どうやら株が動き出したようだ。
臥牛を「夏型」と紹介してる専門書があるが、あくまでも臥牛は「春秋型」
温室・フレームの有無で成長時期に違いが生じるが、普通春〜初夏、盛夏に一時休眠するが晩夏〜初冬までは生育を続ける。
ウチのように庭に設置した小型フレームでも12月半ばまで株は動いてる。
もちろんかなり鈍くはなるが。
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14.🏠 ガステリアに必要な簡易フレーム
‘18.4/8撮影
🌸✨桜の咲く季節、ガステリアもスロットルが全開、本格的な生育を始める。
もちろん温室・フレームの有る無しによって動き出す時期が変わる。
問題は最高気温。
日照はもちろんだが多肉の成長にはある程度の高温が必要。
ベランダじゃこの時期その高温が得られない。
手作りでもいいからビニールで覆われた空間の箱を作るといい。
古い水槽を利用しても良い。
ただし密閉による高温に注意。
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15.👶🏻👶🏻👶🏻✨仔吹きしてる
‘18.4/29撮影
根元にたくさん仔が吹いてる。
反対側にも同じように仔吹き。
外しても外しても毎年仔吹きする。
臥牛は群生型。小さいうちから仔吹きする。
葉を肥厚させるにゃ仔を付けてちゃダメ、という事がある。
栄養を子に取られてると薄っぺらい葉になる。
しかしあまりに小っちゃいうちに仔を掻くと干からびて育たない。
独り立ち出来る大きさになるまで待たなきゃ。
それまで仔は付けたまま。
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16.🍀✨成長の最盛期
‘18.5/14撮影
横から見ると堂々たる草姿。
やはり原産地株に最も近い旧来型。
臥牛という名にふさわしい巨体。やっぱこうでなきゃ。
恐らくは、一年中で今が一番成長してる時期。
これから開花期に入るからツボミが出て来るだろう。
しかし、出れば摘み取る。前に断ったとおり。
あの長大な花茎を作る栄養を葉へ回したい。
成長が遅い分、消費エネルギーは限られてるはず。
そもそも観葉植物だから。
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17.🐷✨ムッチリしたボディ
‘18.10/10撮影
☘️✨仔が付いてても十分肉厚の葉。
こんくらいが自然でいい。
いくら肉厚になっても、葉数が少なく奇形に見えるほどボッテリしちゃうと返って気持ち悪りいや。
仔が出次第取っちゃえばもっと肉厚になるが、そんな無慈悲な事はしたくない。
あんまし小っちゃい時に掻いて挿しても育たない。
発根するかどうかも危ねぇもんだ。
毎年たくさん仔吹きするわけだから出来れば大きくしたい。
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18.👶🏻⏩👧🏻 吹き仔がだいぶ育った
‘18.10/10
大きくなったなぁ、葉長1.5㌢はある。
仔を外すのはいいんだが毎年の事で処置に困る。
多い年は7〜8本も吹いて来る。
カキ仔をいちいち全部挿してたら置き場に困る。
今以上フレームにゃ空きは無い。
でも今年の分はもらってくれる会員さんが出てくれた。
来年の写真の分も引き受けてくれるそうだ。
こちとら大助かり。
毎年カキ仔が哀れなのと葉を肥厚させる事のジレンマに苛まれる。
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19.👶🏻 臥牛のカキ仔のミズゴケ栽培
遡って’18.4/8撮影
カキ仔を外したのは’17.9/24。掻いて7ヶ月経ってる。
ピランシーのカキ仔と同居してる。
昔ながらのやり方でミズゴケ栽培してみた。
光量が多過ぎたのか少し日焼けしてる。
ガステリアは直射日光でなくっても日焼けする証拠。
やはり照度計で小まめにチェックしなきゃね。
このカキ仔たちは11月18日にお気に入り会員さんに貰われて行った。
可愛がってくれるに違いない。
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20.完全休眠はせずとも生育はかなり鈍ってる。
早朝フレーム内’18,12/15
明け方は日によって1℃台〜10℃近くまで温度の振れ幅が大きい。
臥牛は特に寒さに弱いというほどじゃないが最低温度5℃を切るとさすがに生育をストップすると思われる。
もちろん品種により個体によって耐寒性に差があるだろうし、日中はフレーム内は30℃くらいまで温度が上昇するので代謝は上がってるはず。
しかし少なくとも新葉の出は止まってるので半休眠と推測する。
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21.⛱ かなり日焼けしたなぁ、休眠してるな。
夕方のフレーム内で撮影 ’19.1/26
前回写真から40日、冬至を跨いで透明ビニール越しの日光を一日3時間くらい照射。
比べて見るとだいぶ日焼けしたのが判る。
ガステリア専用フレームはこの時期は明け方4〜6℃まで下がってる。
臥牛は低温期にゃハオルチアに比べ日焼けしやすい傾向がある。
臥牛が特に寒さに弱いわけじゃねぇが、やはりここまで冷えると休眠する。
アントシアニンが発現するようだ。
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22.🍀🚫新葉の出は止まってるようだ。
‘19.2/16撮影
新葉に注目すると、20枚・21枚・今回22枚目写真と葉の伸びはほとんど無い。
軽い日焼けと共に完全に休眠してるのかもしれない。
あるいは吹いた子たちに栄養を取られているのか。
同房の若苗の臥牛はわずかに新葉が伸びつつある。
橋本郁三著『多肉植物』(誠文堂新光社)にゃ「凍害に注意しながら生育させる」とある。
低温期の休眠する温度は、タイプによるのか個体差によるものか。
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23.😳根の本数にビックリ、すごい量だ。
‘19.3/22撮影
春の植え替え。
ガステリア臥牛としてはちょうど適期だと思う。
庭のフレームは早朝はまだ冷え込んだり、快晴の日は日中かなり気温が上がったりと安定はしないが、まぁ早過ぎもせず遅くもなく今が無難な時期だろう。
株の勢いがそのまま根の出方の旺盛さを反映されてる。
ゴボウ根の本数にゃいささか驚いた。ヒゲ根も茂ってる。
至って健康的な根張りだと思う。
HNにしてるくらいだから。
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24.👨👩👧👦たくさんのカキ子。
3/22
前回の植え替えより1年半、カキ子が12個も採れた。
カキ子をそのままにしとくと親株の葉の肥厚を妨げるというのがセオリー。
早めに外すべきだったが、老成株でもあるしあまり頻繁な植え替えは寝にダメージを与えかねない。
で、今春のカキ子外しとなった。
このカキ子は全部コミュニティ会員さんへ送った。以前からお約束してたから。
前回のカキ子もそうだが、湿らせたミズゴケで簡単に発根する。
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25.カキ子をもぎ取った痕は念のため消毒
3/22
ウチは殺菌剤など使わず食品の乾燥剤の消石灰を塗る。
腐敗菌は乾燥に弱い。
消石灰は細菌に付着すると激しく水分を奪う。
つまり脱水効果で細菌を死滅させて消毒する。
それに消石灰は微細な粉状なので空気に触れると乾燥するのが早い。
迅速にカルスを形成させる効果もある。
小生はこれまで消石灰を用いて殺菌に失敗した事はない。
40年間そうだ。
親株の側面の傷は数ヶ月で目立たなくなる。
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26.🍀✨型崩れは一切なし。良型だと思う。
3/22
毎回の植え替えで数個〜10個前後のカキ子を外すが、ミネニアルの入手時以来カキ子が元で端正な姿が崩れたことはねぇ。
カキ子をごく小さなうちに外せばもっと葉が厚くなってたのかも知れないが、それだとカキ子の方の歩留まりが下がる。
やはりある程度大きくして外さなきゃ発根作業中に枯死の危険もある。
それに、これでも肉厚の葉は十分に迫力がある。
カキ子のその後の発育も考慮すべきだろう。
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27.☀️✨🏖 真夏のガステリアたち。
‘19.8/11撮影
ガステリア専用フレーム。
これに入り切れない大型の「恐竜」三兄弟や「臥牛 (堀川KS) 」などは別の混成フレームに入れてある。
左隅の「戦前旧来型臥牛」はまだ春以来の艶々しい肌を保ってる。
7月中は梅雨寒(つゆざむ)で休眠状態にゃ入らなかったものと思われる。
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28.🌱💤 まだ半休眠状態が続いてるかも。
‘19.9/20撮影
新しい順に何枚かの葉の厚みがわずかに薄くなってる気がする。
夏場を通じて日照時間帯は遮光率80%のネットを掛けてた。
8月に入って猛暑日が何日か連続し、あるいは断続して気温35℃前後を越える日がちらほら。
問題は熱帯夜。
昼夜の温度差が小っちゃくなるとガステリアは体力を消耗。
最高温度は通風を良くし遮光率を上げる事により下げられるが、最低温度は下げられない。
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開花期
収穫期
わたしの育て方
臥牛(がぎゅう) : ユリ科 ガステリア属
英名:cow-tongue cactus
👅 牛タンみたいなサボテンって意味。
(サボテンじゃないんだけどネ)
原産地南アで”山堀り”され、幕末か明治にはるばる異国船に載せられ観賞用に我が国に渡来。
サボテンを除けば、多肉植物としては最初に渡来した種と思われる。
新し物・珍し物好きな連中は昔から居たようで、外来舶来の鉢物として珍重・栽培され、原種は仔吹きが盛んな事からドンドン増えて人から人へ配られ全国へ拡まった。
大正時代は「大正ロマネスク」と云われる自由な空気の中、舶来物の多肉植物は珍しい観葉植物として全国的に庶民にも行き渡り、性質・栽培法が古典園芸植物の万年青(おもと)・東洋蘭・棕櫚竹・観音竹などと相通ずる所があることから園芸の一分野として日本に定着したようだ。
戦前から臥牛や虎ノ巻(G.グラキリス)を親として斑入り・葉変わりが作られ庶民の間で人気があったが、空襲やら疎開やらで園芸どころじゃなくなり、蒐集家所有の貴重種も持って疎開するわけにもゆかず壊滅、戦後ようやく焼け野が原から復興するとまた植物の輸入が自由となりサボテン・多肉が入って来て再び園芸熱が高まった。
臥牛はその肌の枯淡な風合が日本人の「侘び・寂び(ワビ・サビ)」という名伏し難い風情を感じた戦後の植物愛好家に爆発的人気を巻き起こした。(爆発的とはチョと大袈裟だな)
このように戦前から観葉植物として盛んに交配され、ザラ肌、広葉、短葉、ダルマ(ズングリ丸い草姿)、条斑(筋状の斑入り)などの様々な品種が作り出された。
またガステリア属間での交雑が容易であるため、臥牛的形状を保ちながら突起・結節・斑紋や色彩が入る品種も多数。
これら改良種は海外で「G.armstrongii Japan hybrid」などの名称で現代でも持て囃されてる。
現在では、多肉ブームの余波か「多肉栽培の原点」とも云える臥牛にもスポットが当てられ、現代っ子(死語)にも「なんかぁ〜キモかわいい」などと”一風変わった多肉”として受け入れられた感がある。
また、ガステリア好きの多肉愛好家や種の多様化を保とうとする篤志家により地道な栽培継続が図られてる事は、戦前旧来型日本人の小生としては心強い限り。
不肖湯島のガキの時分の臥牛との出会いとミズゴケ栽培
↓
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=417345
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‘17.6/24撮影
【臥牛】ガステリア属「アームストロンギー」
明治頃に汽船に乗せられて日本へ渡来。
好事家に引き取られ万年青・東洋蘭・棕櫚竹・観音竹などと一緒に育てられたのだろう、株分けされ人手に渡りその末裔がこの旧来型。
ミレニアムの頃に都内の専門店で買ったから、かれこれ17〜18年ウチに居る。
南ア原産の山堀り原種の臥牛に近い草姿。
近年に「先祖戻し交配」された物かも知れないが。
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