1.平成31年、天皇退位の年の植え替え
‘19.3/18植え替え開始
子付きの烏羽玉。
親の大きさからいわゆる”子吹き烏羽玉”とは別物。
昔からの烏羽玉と思いたいが花がアイボリー。
この株はすでに子が吹いてるがまだ成長途上で、成球10㌢になるという「白花翠冠玉」と同定するにゃ尚早。
ヒゲ根の茂り方は十分。元気さをうかがわせる。
天敵のアカダニの発生の痕跡もなく、まずは順調な滑り出し。
遮光・高温多湿・成長季の十分な灌水が大切。
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2.🥕地下の太い根が充実してる
‘19.3/18塊根部
太い塊根があるロホホラ属。
比較的高地の自生地だが、低緯度や乾燥地である関係で、乾季にゃかなりの高温となり、地上部は萎縮して地面にめり込んでいるようで、大きい塊根はその猛暑と根の乾燥を克服するためと思われる。
植え替え時は、サボテン植え替えのセオリー通りヒゲ根はすべて除去。
この際、塊根部に傷を付けないようカットは慎重に行う。
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3.✂️切り口は念のため消石灰を塗っとく。
‘19.3/18筆で塗布
ロホホラ属は、その有毒な体液のせいか根腐れは少ないが、月日を経て肥大した塊根は傷口から腐敗菌が入り込むといわゆる”赤腐れ病"になる事がある。
ヒゲ根を切り落とした状態ですぐ植え込んで大抵は大丈夫と思うが、一応念のため殺菌剤を塗っておくに如くはない。
生育状態の良くない個体は尚更のこと。
大した手間ではないので手間を惜しんではならない。
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4.この株も根張りが良い?
‘19.3/18翠冠玉
ひと回り小っちゃい翠冠玉。
根の張り具合は烏羽玉に劣らず旺盛。
萎んだ地上部は気温の上昇と共に急速に膨らんで来る。
そして早けりゃ5月の下旬からツボミを上げてくる。
しかし開花は去年より遅くなるような気配。
何がそうさせたのかこの1年間の気候・栽培・冬の管理を検討してみる必要がある。
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5.🌼✨烏羽玉が開花。ずいぶん遅い。
‘19.8/9撮影
ロホホラ属「烏羽玉(うばだま)」今ごろ開花。
今年は異常だ。
いつも例年は6月初旬くらい。
ところが今年は今日が初花。2ヶ月以上遅れた。
盆前の初開花は長い栽培経験でも記憶に無い。
たぶん「梅雨寒(つゆざむ)」が続いたせいだろう。
関東以北だけだったが。
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6.🌹❓内部で花芽の出来る時期に何が?
8/9撮影
しかし、この事ではっきりした。
ロホホラ属の開花にゃ高気温が何日か続く必要があるという事。
東京都心の連日の猛暑が開花の引き金を引いたのは間違いないが、それがどのようなメカニズムで作動するのか知らない。
桜の場合、花芽は前年の夏に形成。
その後、気温低下と共に休眠。
休眠した花芽は一定期間、低温にさらされることで眠りから覚めて春を迎え、気温上昇するに伴い花芽が成長開始。
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7.🌸✨桜の花芽の話。
8/9撮影
気温が高くなると花芽成長肥大に拍車がかかり、花芽成長のピークに開花する。
このように桜の花芽は秋から冬にかけての気温と春先の気温に大きく影響される。
晩秋にゃ桜の葉は冬の低温に備えるために「休眠ホルモン」を出し、花芽を硬くして翌年の春まで咲かないように抑制する。
桜は、早春の寒い日の「休眠打破」と呼ばれる花芽生育の起算日からの「積算日数」で開花予想が出来る。
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8.🍂💧これ以降秋に開花するんだろうか?
8/9
桜の開花の起算日の目安2月1日以降の「最高気温」の積算が600度を超えると開花するという「600℃の法則」、2月1日以降の「平均気温」の積算が400度を超えると開花するという「400℃の法則」が知られている。
羽毛が黒ずんでるのはカビのせいだ。
春にフレームを密閉し高温多湿を期して「蒸し作り」を実行した結果、こんなに汚くなっちまった。
なお、相棒の「翠冠玉」は開花の徴候は無い。
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開花期
収穫期
わたしの育て方
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ロフォフォラ属 和名:烏羽玉(うばだま)
御存知の方は御存知でしょうが、写真のサボテンは幻覚作用のあるメスカリンという成分を含むそうです。
むかしインディアンが鎮痛薬として服用、また儀式の際に幻覚を期待して使用してた歴史がある。
日本でも渡来した頃そのことが話題になったこともあります。
私の持ってる古いサボテン栽培指南書にも書いてあります。
半世紀も前の事になるけど、アメリカでは一部のヒッピーがLSDの代用として使用してたそうです。
でもメスカリン成分は原産地球(野生に自生するもの)でこそ高濃度で含有されちゃいるそうですが、人間に栽培された物は急速に成長するせいかその有効成分はごく少ないそうです。
原産地では、乾季には体が萎んで地面にめり込んだ状態で水分の放散を防いでいて、雨季が来ても頭が少し出るくらいの扁平な状態で棲息してますから、今日本に出回ってる烏羽玉とは別の植物と云っていいくらい性質が違うのかも知れません。
この烏羽玉はレア物サボテンの中じゃ比較的丈夫な方で、高温多湿を好み蒸し作りにすると丸々とみずみずしく育ってくれます。
しかし注意すべきは過度な乾燥で、小っちゃなフレームは通風を良くすると乾燥し過ぎてこのロフォフォラなどは必ずと言っていいほどアカダニがついて汚い肌にされてしまいます。
それと、高温が好きとはいえ直射日光が苦手で真夏などはかなり日焼けしやすい性質です。
だから私は遮光と高湿度を兼ねてハォルチア・ガステリア類と同じフレームに入れて、この烏羽玉だけ少し遮光度を少なくして育ててます。
去年の植え替え
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=452269
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ユーモラスな草姿に似合わぬ清楚な花。
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=475449
ちなみに普通の烏羽玉は小輪のピンク系が多いが、この球のように白花烏羽玉やデフューサ(和名:翠冠玉すいかんぎょく)があってこれらは同一種らしいです。
昭和40年代、おいらがサボタニ蒐集を始める少し前からサボテンマニアの間に普及しはじめ、幻覚作用を持つメスカリンを含む事から話題になって愛培家が増えていった。
成育期を控えた3月中旬、平成の最後の年の植え替え。
成長の遅いロホホラ属、魅力は草団子のようなボディの質感・透明感のある清楚な花。(普通烏羽玉はピンクの花。これは”白花烏羽玉”)
その特異な姿・性状でサボテンマニアを魅了し続けて来た。
これからも栽培し続けていきたい。
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