1.切株採取前
2020年3月3日(-2日)
ヒノキの樹皮に着生させた4株のナゴラン。不利な位置にある株(一番左の株)が作落ちする一方なので、植え替え(貼り替え)ることにしました。今年の新根が伸び始めた春先が最適期と思われたため、今年の開花は諦めて花芽を除去して強行。写真は植替作業の2日前。
2.切株の採取
2020年3月5日(0日)
樹皮から剥がして根を整理したところ。矢印で示したのが「切株」。
3.本体の植付完了
2020年3月5日(0日)
本体の方を樹皮に貼り直した後。上から柔らかめの針金で吊って大まかな位置を決め、ビニール紐(白色)を水平に渡すように括り、株を左右にスライドさせて位置を微調整。
根の成長に応じて紐は数回かけ直します。新しい根が活着して株が安定したら(たぶん今年秋頃)針金と紐は取り外します。
(後日追記:白い紐は園芸用のビニタイにした方がやり易かった。)
4.切株の植付
2020年3月5日(0日)
植替作業で出た「切株」を植木鉢に入れました。根を左右に掻き分けて、それぞれの先を内側に向かってカールさせて輪っか状に整えてから植木鉢に突っ込むと、まあまあ安定します。
頂芽の成長点が失われた状態では根腐れし易いため、植込材は用いず、すっぽんぽん栽培にします。
5.湿度 100% をキープ
透明な容器を被せ、鉢の中に常時結露が生じる状態≒湿度100% を保ちます。結露が少なくなってきたらシャワーで水をかけて濡らします。
6. 25日後、変化なし
2020年3月30日(25日)
変化なし。
7. 69日後、発芽 第1号
2020年5月13日(69日)
4つの切株のうち、最初の1つから発芽確認。緑色が薄いのは暗い場所に置いていたためです。発芽を機に明るい場所に移しました。
8. 74日後、発芽 第2号
2020年5月18日(74日)
2つ目の発芽確認。
9. 83日後、発芽 第3号
2020年5月27日(83日)
3つ目の発芽確認。
10. 89日後、発芽 第4号
2020年6月2日(89日)
4つ目の発芽確認。これで全ての切株から発芽。
以前の経験では、しなび気味の根しか付いていない古い組織だけでできた切株では、毎日水やりしても、ひと月もすると干からびて枯れてしまっていました。
今回は蓋を被せるだけで発芽率 100% を実現。切株の若さ以上に、保湿が成功の鍵だったようです。
11. 92日後、発芽 第5号
2020年6月5日(92日)
第4号と同じ切株の裏側に5つ目の発芽確認。
12. 4号5号 枯れる
2020年7月24日
4号・5号(矢印)は、ほとんど成長しないまま7月上旬頃から変色し始め、結局、枯れてしまいました。
1~3号は、一見元気ですが、ほとんど成長が止まりました。
13. 1~3号も 弱ってきた
2020年10月19日
1~3号も、徐々にしなびてきました。(赤丸は4号・5号の切株。)
水を与え保湿も続けているのに、葉はしなびる一方。親株の根は見かけ上はまだ生きていますが、もう機能していないようです。腐臭を漂わせ始めたので、取り除くことにしました。
今回は元々状態の悪い切株からのスタートだったのでそうしましたが、通常は親株由来の根は枯れるまで取らない方が無難です。
14.まだ早いけど、親株の根を除去
2020年10月19日
親株の根を除去。1号・2号は親株の茎を付けたまま。3号は作業中に子株の付け根が折れてしまったため、完全に子株だけになりました。
かなり厳しい状態ではありますが、子株自前の根(矢印)が出始めたのが不幸中の幸い。1号は瀕死の状態。2号は葉の状態はマシですが根は出始めたばかり。3号は葉の傷みはあるものの根が 1 cm 程に伸びています。
15.子株を植付
2020年10月19日
軽石とミズゴケで植付。植木鉢に粒状の軽石(「鉢底石」)を詰め、その上にミズゴケを 1~2 cm の厚みで敷き、苗を植えました。
本当はもっと根が生えてからにしたかったのですが、この状態でのすっぽんぽん栽培の継続は厳しいと見たので、植込材を用いた栽培に移行します。当面は透明なフタをかぶせて保湿します。
16.掘り出してみた
2020年10月29日
植付から十日経ったので(そっとしといた方がいいのは分かってますが、観察のため)掘り出してみました。
根は思いのほか順調に育っていました。(上向き矢印)
3号では、新たな根(横向き矢印)も2つ出始めていました。付け根部分が裂けて腐っていた葉(×印)はこの後の作業で折れてしまいました。
17.液肥に漬けた
2020年10月29日
掘り出したついでに液肥に漬けました。これが初めての施肥。「微粉ハイポネックス」の 500倍希釈に3時間。(ここでは短時間浸すだけなので濃いめにしました。)
18.植え直し
2020年10月29日
植え直し。
今回は、できるだけ長くすっぽんぽん栽培を続けようとした結果、せっかく芽吹いた子株を弱らせてしまいました。子株が芽吹いたらすぐにミズゴケに植えた方がよかったようです。
19.着実に回復中!
2020年11月2日
7月以降は弱る一方だったので、正直もうダメだと思ってました。が、10月19日にダメ元でミズゴケに植付けてみたら、その後は着実に回復に向かっています。あれだけクタクタにしなびていた1号も、まだ小じわが残るものの、2枚の葉がシャキッと立ち上がるまでに回復。
フタを被せて保湿するのは現在も続けていますが、状態を観察しながら、外気に慣らすこともそろそろ始めたいところです。
20.もう普通の扱いで大丈夫!
11月5日からは保湿を程々にして徐々に乾燥に慣らしました。11月23日、それ以後初の水やり。(写真は乾いた植込材を主役にしています。)液肥も開始。もうフタを外して普通の扱いでよさそう。
(今回は発芽後もすっぽんぽん栽培を強行したせいで、7~10月に無駄に弱らせてしまいました。発芽直後から植込材に植えておけば、ここまで面倒にならずに済んだと思います。)
21.植替え
22.植替え時の根の状態
軽石の上に水苔を乗せて植えたので、根が石にぶつかった所などで成長停止(赤矢印)が多発していた模様。でも、一旦停止後、障害物を突破して成長を再開すること(青矢印)は可能なようです。(3号の青矢印は1号にぶつかった跡。)
大きな株なら似たような植え方で平気ですが、幼苗では根が何かにぶつかるだけで大きなストレスになるようです。でも他の方法を用意してなかったので再び軽石&水苔で植え付け。
23.一年近く続いた沈黙
2022年3月10日
その後、2号に小さな葉が1枚出たのみで、他に新葉は出ていません。3株とも、古葉が枯れて2枚の葉を残した状態で、1年近くも成長が停止。
切株からの発芽後、ちょこっと育ってしばらく足踏みすること自体は、普通のことです。でもでもでも、1年はさすがに長過ぎ。あの瀕死状態からの再生なので、思いっきり守りの方にスイッチが入ってしまったようです。
24.長い沈黙を破り
2022年3月31日
3株とも、久々に新しい葉が生え始めました。これから一気に攻めに転じるに違いない!(と思いたい。)
この1年、新葉の発生こそストップしていたものの、既存の葉が厚ぼったくなっているので、着実に力を蓄えていたはずです。
ナゴランを「切株」から芽吹かせて増やします。
この方法はファレノプシス(胡蝶蘭)属全般に応用できるものと思われます。
当そだレポはまだ試行錯誤中だった2020年のものです。完成版の方法は2021年版の方をご覧ください。