1.まず前提として
この表でいう、Level.2まではこれで良い。Level.3は自己責任で。同じ方法で植えると、Level.4以降は高確率で球根が腐って終わるので注意。まぁ、Level.4以降のユリを育てる方がこれを読んでいく必要は無いだろう。
ちなみに便宜的にレベル付けしているが、同じレベル2でもカサブランカは難しい方だし、コンカドール(イエローカサブランカ)は最も易しい方だろう。
2.11月22日現在
最高気温はまだ19度もあり、ユリの球根は、「太陽光パネル」である葉が青々としている限り、肥培を続けていると思われる。
左はテラソル。右はヤマユリ。右は植え替え、左は勿体ないので今回は見送るものの、12月上旬までには地上部を切除して植え替える。
余談だが、「改良やまゆり」「改良べにすじやまゆり」というのはヤマユリじゃないからな。ただのオリエンタルハイブリッドだ。上を向いて咲くヤマユリなど無いと知れ。
3.順調に生育していれば根鉢が出来ているはず
このように根でパンパンになる上、連作を嫌うというWパンチで毎年植え替えることが望ましい。
なお、鉢底によくあるネット入りの鉢底石を使うのは厳禁だ。太い下根が食い込んで植え替え時にブチブチちぎれ、病気の原因になる。ネットに入っていない石か、鹿沼土中粒あたりなら良い。ゴロ土として入れた赤玉土は、ひと夏で崩れて粘土状になり、鉢底穴を塞いで多大なユリ球根腐敗による被害があったので要注意だ。
4.球根の上の根(上根)を押し上げる
指でほぐすか、少々なら地面にたたきつけるようにしても良いので(※リリアムパーリアイのようなもろい球根でコレをやると一発で球根が終わる)、親球の位置を探り出す。みつけたら、上根はどうせ切り取るので傷めて構わないから、切除するのに必要な付け根を探し出し、清潔なハサミやナイフで切断する。
根鉢が崩せないようなら、水道のホースでジャバジャバ洗い流したり、バケツに水を入れて浸して柔らかくしても良い。
5.球根だけ切り離す
主軸を切り離し、球根だけにする。この際、できるだけ下根を傷つけない方が後の生育が良いようだ。主軸が細ければ、ねじ切ってしまっても良い。ハサミやナイフは、使うごとに最低でも良く水洗い、出来ればビストロン10のような専用ウイルス消毒液か、アルコールで拭いておきたい。
このまま植え付けても良いが、ひと手間かけてホーマイ水和剤かオーソサイドで殺菌しておくと、植え替え時に根を傷つけたことによる腐敗は防げる。
6.ホーマイ水和剤
ジマンダイセンの仲間の有機硫黄系とトップジンMの複合剤。Amazonでも700円くらいではないだろうか。べつにオーソサイドでも良いけれど。
正式には水溶液(800倍希釈)として使うが、両者とも粉衣といって、粉のまままぶして…ビニール袋に粉を入れて、鶏唐揚げのようにして植えることも出来る。チューリップなんかにも使えるぞ。
ただ、硫黄系だけあって私の手が荒れるのが難点だな…。30分浸けて陰干しにする。
7.しばしば聞かれるが
左の根元地下に出来た木子。右の地表の枝に出来た木子。よく葉がぴょこっと出ていたりするが、親のクローンだ。そのまま植えてやれば、推定2~3年で花が咲く大きさになる。クローンゆえ、ウイルス病とかも引き継ぐのでちょっと注意。
ただ、品種にもよるのだが、右の根元地表部の枝にたくさんの木子がついている場合は、たいてい過湿気味であった証だ。親球が無事であれば良いが…。
8.殺菌中
30分ほど浸す。この際、小さな球根はネットに入れるとばらけなくて良いが、取り出す際に丁寧にネットを裏返すように出さないと、球根の鱗片がひっかかってもげたり、下根が折れたり、あまり良いことにならない。
さすがに殺菌剤の溶液は使い回しをしているが、紅筋山百合やタモトユリなどの高級品は、ウイルス感染のリスクを減らすため、使い回しはしていない。薬剤自体は安いからね。
陰干しして水気が切れたら植え替えだ。
9.殺菌している間に
鉢を洗車ブラシか靴用のブラシで洗っておく。プラ鉢はほぼ見た目だけの問題だが、素焼き鉢などは泥や苔がついていると通気性が低下する。
10.ハイポネックスバラ培養土
ユリは弱酸性で通気性の良い土を好む。たいていの花・野菜用培養土は弱酸性に調整されてはいるが、変に高級品を使わなくても良いからバラ培養土を使うと良い。写真のなら800~900円/10Lだろう。私はノーマルのヤマユリあたりならコレを使っている。
カサブランカとかにはもっと安い普通の培養土だけど…。もちろんこのバラ培養土でもOK。
手前右下に覗いているが今期よりナメの巣除けに鉢底は木炭かすを敷いている。
11.鉢土の準備
ゴロ土や鉢底石、あるいは木炭の上に用土を浅く敷き、その上にマグァンプK中粒を3つまみほど。私の場合はさらに鉢の周囲に沿って東商花咲く有機肥料…リンカリ強化の配合肥料を数粒。同時に粒状堆肥を小さくひと握り入れている。マグァンプと通常の有機肥料は効き始める時期が違うので共存して調子が良い。
高級ユリ栽培には粒状堆肥や有機肥料は腐植=腐食に繋がるので避ける育て方もある。その場合は用土からして山野草だ。
12.肥料の上にさらに土を被せ
⑪の左の2鉢がその状態だが、肥料の上に土を被せる。白い物が見えるが、腐敗予防のおまじないのミリオンAだ。はっきり言っておまじないレベル以上ではなく、あるから使っているがわざわざ買う必要は無いと思う。やっていても腐るときは腐る。
先ほど入れた肥料は下根用のもので、少なめ。肥料分の大半は上根で吸収するので、球根の上にさらに土を被せていく。
13.植える深さは球根3個分
鉢の場合は2個分程度になることもある。それ以下だと生育に支障が出るので、もっと大きな鉢(深鉢)を用意したい。
球根のサイズに差がある場合には、植える高さの調整が必要だ。とはいえ、複数植えはあまり好ましくなく、1株につき用土4リットルくらいは欲しいところ。
母の日のプレゼントなどに小さな鉢に植わったユリがあったりするが、すぐ7~8号鉢くらいに、できるだけ一番下の葉の下まで埋まるように植え替えを。
14.球根が完全に隠れるまで覆土したら
さらに上根用に、先ほどより多い肥料を投入する。マグァンプKは根に当たっても平気だし腐敗しないから良いが、有機肥料や堆肥などを入れるのであれば、球根に被さらないよう、鉢の外周に沿って出来るだけ離して入れる。
例によって、私はここで固形亜リン酸肥料を中さじ1杯ほど投入しますが、これもおまじないなので一般に不要です。
15.8~9分目くらいまで用土を足して
植え替え完了!この後水をやるかどうかだが、用いた用土が湿っていれば必要無い。カラカラのサラサラである場合があるが、その場合は鉢底から流れ出るほどたっぷりと。ただし、それ以降、灌水は雨に任せて、基本やらない。鉢土表面が完全に乾いたなら、たっぷりとやる。春に芽が出るまでは基本放置で構わない。
まぁ、ブドウ糖肥培という禁断のテクニックを使うなら、冬も灌水しますが、リスキーなので解説はしない。
16.消えるユリあれば増えるユリあり
プレイタイムは地上部は立派なのがあったが、親球はおろか木子すらなかった。クシマヤは親球が無く、くず木子ばかりで捨てた。これで2鉢空いたのだが…。
ジ・エッジ、迷ったが鉢が増えるので左側はすべて捨てた。
17.消えるユリあれば増えるユリあり②
カノコユリ・内田。普通の赤カノコユリ。どう考えても4球1鉢は無茶なので、2球ずつに分けた。鉢が1つ増えてしまった…。
さらに、白カノコユリもまあまあの木子がたくさん出来ていて、4球に絞ったが、1鉢増えてしまった…。
18.分球しているが
割って植えるか、そのまま植えて2本生やすか、それが問題だ…。
19.おしまい。
3時間半もかかった。もう2度とやらない。誤字脱字以外ノークレームでお願いします。あれだ、プ○トリーフチャンネルはあんなにたくさん撮影して、エライ!
一般的なオリエントゆり(オリエンタルハイブリッド)の植え替えをするだけです。普通のヤマユリやカノコユリも同様の方法で植え替え出来ますが、高級品種・希少品種は避けてください。また、テッポウユリやタカサゴユリには時期的なものが完全対応しておりません。
今回はたいした球根が採れなくて失望した。また、鉢数が減らなかったことに絶望した。