1.鉢にあけびの実を成らせよう!
これ以来、もう40数年が過ぎ。新大阪の西外れに高層マンションが立ち並ぶ頃。私の家の周りには、毎年の秋に、西日除けにアケビの実がぶらさがる。
『三葉あけび』は、花びらは濃い紫色で実は緑色から白い線が入り熟して割れます。
『五葉あけび』は、花びらは白い色で実は小型バナナの様に実を付けます。
『野生あけび』は、天王山近くのポンポン山から梅雨時に挿した苗で、植木鉢に結実していた。
2.新大阪の街中、【人工授粉】必須です。
2,3本で、都会での自然交配はもう無理です。少しお手伝いをしてやると、実が止まります。蝶も昆虫もあてに出来ません。
三つ葉アケビの柱頭部が濡れる日。今年は人口授粉する4月3日でした。サクラ咲く頃、まだ五葉アケビの雄しべが咲き始めた頃です。
人工授粉は、鉢栽培では必要です。街中の経験で、このあけび達が大きく数が殖え、10年以上も経つとコバチなどが稀に虫媒してくれるのだ。
3.人工授粉はハチなどの代わりだ!
これをはじめてもう、十数年経ちます。
私のアケビは都会で母は三つ葉アケビ、父はと五葉アケビの交配種です。
以後、食用あけびや山あけびとの交雑で、大きな実が出来たり、小さな実ができます。「面白いですよ。」
【学んだ言葉】
【雌雄異熟】雌雄同種のあけびは異種交配でないと実ができない。雄花が先に花粉を作り、後から雌花の柱頭が濡れてきます。すなわち、【雄性先熟】の【自家不合和】の樹なのです。
4.植物の交雑は知恵だ!未来に生き残るため。
この人工授粉から学んだことは、雑種を作ることでより強いあけびや突然大きな実を得ることもありました。
新品種ができたと実感したのは、『4枚葉あけび』を見つけた時です。植物は、交配交雑によって生き抜く知恵を持つのかと考えさせられました。
写真は4枚葉を持つあけびで、市販の『一才あけび』にもこれが見られました。
※写真は白の『一才五葉あけび』です。この枝に、四葉あけびが数枚付いています。
5.割れる前(熟す)のあけびに線が走る!
あけびが熟して割れる前には、写真の様に線が見えます。
これを割って頂くと美味しいのです。
虫や蟻さんも中にいないのでゆっくり生食できます。
勿論、アケビ酒も作ります。
6.ジャンボアケビができた!
2016年11月03日 「デカいのォ!なんぼじゃ 」日記より
食用あけびを母に、と手持ちのあけびを父に交配した。
この元気な苗を地植したから、原因は不明だがジャンボあけびが出来たのである。
種は少なく、甘さ抜群だ!
太さ6cm2ミリメートル、長さ13cm64ミリメートル
育成中最大の収穫品種だ。
来年はこの樹の挿し木を行う。
7.この実で「あけび酒」づくり
2019年2月13日日記 「あけび酒」完成!
【材料】
熟す寸前のあけび果実 ホワイトリカー 氷砂糖
果実酒は、漬けこんでだいたい3ケ月後、実を引き上げる。
「イケるね!」 この深みのある味、これが「あけび酒」だ。
色はやや黒いが、ジャンボあけびの実、皮、葉がいい味を醸し出してくれている。
「今年の夏の友ですな。」
8.「種蒔き(採り蒔き)ですよ。」
無理に種蒔きをしなくても、落ちた実を放っておいても芽が出て苗が出来る。
【種蒔】
①食した後に、種を口から出す。
②種を流しのごみ取りネットに入れ、水洗いをする。
③種の周りのヌルヌルを除き、メネデール液に一晩浸ける。
④鉢底網+鹿沼土+種蒔用土の上に種が重ならないようにして、最後は種を桐生砂で押さえる。
⑤採り蒔きで、母木の下で春まで待つ。
※新種づくり用で、殖やすなら挿木がいい。
9.【挿木】より【古根の株分け】を!
2020年3月2日 【根挿し】=【古根挿し】=【株分け】
小盆栽用に種蒔きや挿木をしなくなり、苗づくりは【古根の株分け】をおススメです。
小盆栽の最適の【挿木】は【古根の株分け】です。
地植えの太く古い根より「ひこばえ」が出ています。
これを少し根を付けるか、根切りで根株をオガスようにして、この根株を挿木にします。
1年も経てば、幹を決め養育すると小盆栽が出来上がります。
10.2016年10月9日 挿し木苗の鉢上げ
【普通の挿木と鉢上げ】
①2,3年生の挿し穂を作る。
②梅雨時に挿し木をして、翌年の梅雨時に鉢上げをする。
③挿木用土は新品の赤玉土か鹿沼土にする。
④プラ鉢に鉢上げして、栄養成長させる。
11.『一才アケビ』って何だ!
【播種、挿木、株分け】、そしてこの【取木】でも殖やすことができる『あけび』です。
『一才アケビ』とは
葉がやや小さく5葉アケビの変種かして、実も小さい。
4葉が少し有り、主に盆栽向きの交雑種である。
※【一才○○】とは盆栽用語で植物学上の言葉でないね。
現実は、ワセ(早生)で開花結実が早く、普通種より小さいことだと解釈しています。
12.「さぁ! あけび盆栽に挑戦しよう!」
「あけび」は生食に、お料理素材に、蔓は工芸品に、また薬用に、多々いろんな文化伝統を受け継いできた。
品種は、その地域環境や自然により交雑種が生き残り、これらの特徴を生かしている。ヒトは、用途、葉や実、花穂の形状や大小などで名前を付けている。私ども、
鑑賞用あけびを人工交配により小盆栽品種を作出したい。
「この実盆栽写真は実が大き過ぎてセンスが無い。」
「この実をとめるも、難しかったよ。」
13.①小盆栽養成中 熟し実が割れる。
皆さんも挑戦してみて下さいね。
『五葉あけび』人工授粉 株分け樹 養成中
14.②小盆栽養成中 「空き鉢で養成」
葉で区別は出来ず、いろいろな品種の 交雑種です。
人工授粉でもう、品種など分かりませんね。
品種は「3葉系」と「5葉系」の2つで分類します。
5葉あけび 3葉あけび 一才あけび が中心です。
更に、食用種や 山採り種に受粉して播種苗ができます。
これが【盆栽苗】になります。
但し、
私ども、花粉は基本的に多い『5葉あけび』系を使用。
何故なら、人工授粉で花粉が眼で良く見えるからです。
15.③ポットで結実させてみた。
あけびは、栄養成長する蔓樹には開花しないです。
どの植物もそうですが、生殖成長する時、開花結実します。
「枝を折る梅」「無肥料育成でツボミを付け出荷する蘭」「根を切る庭木」などこれらは、成長を妨げるやり方です。
ポット鉢(化粧鉢)に容れる前は、1年間、しっかり大き目の素焼き鉢栄養成長させ樹勢をつけます。
秋に化粧鉢に入れて実盆栽を作ります。
【でもね、理屈道理にいかない実盆栽よ。】
16.④【取木】による小盆栽づくり
良く開花結実するには、たくさん実が成る樹を選択します。
★【接木】のあけび育成はまだ、未試用ですね。これも実施してみたいです。
写真は例の環状剝皮して、水苔で巻き、ビニールポットで固定した【取木】した樹です。
不定根が1ケ所出ていて、主根状態を示した『一才あけび』です。
まぁ、挿木より早く開花結実すると思います。
17.夏に多い葉を食べる「イラガ」
この幼虫「イラガ」に触れると刺され、結構針に刺されたように痛い。
結構、風通しの良い葉に集団でも、数匹でも葉を食べている。
見つけ次第に、葉毎に落とし捕殺する。
刺されると電気ショックを受けるが、患部を水道水で洗い流しています。
18.梅雨時、幼果はだんだんと大きな実になる
ビックリするほど梅雨時に、実は大きく成ります。
これも、観察していてわかりました。
もう、秋に向けて準備ができ種を充実させているみたいです。
19.新種誕生だな!
2021年05月13日
人工授粉も終わり、少しだけ実をとまらせたあけび。
この梅雨前から夏にかけて大きくなるのがあけびの実だ。
「これは、葉からして三つ葉あけびだな。」
「チョット、待って、葉が・・・おかしい。」
三つ葉もあれば、四つ葉もある、更に5葉の葉まで???
20.新種命名は『meikaあけび』
「新種誕生、こんな楽しみは無いね」
40数年間、アケビを育て実をつけてきた。
鉢栽培や露地栽培を重ねてきた。
播種、挿木、取木、接木などから人工授粉の実施。
そして、一才あけびの成育など、いろいろな世話。
【1本の樹に3、4、5枚葉が均等の数あるあけびが誕生したのだ。
実もよく付き、面白そうな樹ですが、葉が大きいので盆栽向きにはならない。挿木で、2,3本殖やしてみます。
21.実は普通の大きさです。5月13日
2021年05月13日 素人の喜びです。
虫媒花や風媒花でなく、街では受粉仲介者がいなくて、苦労しました。
初めて知り実践した人工交配は、育てる喜びと新種誕生の夢がもてました。
素人の私ども、この新種『meikaあけび』が実が成り、葉が均等に出る樹で安定したものになる事を願います。
22.人工授粉の【まとめ成り】
2021年 初春に人工授粉する。ねらいは、
「玄関の手すりに、人工授粉して【まとめ成り】にしてみました。」
「これなら、新大阪の街中で、訪問者は必ず目につくでしょう。」 でも、風情センスが悪いかな? 9月9日
23.春の訪れ
知らない間に、
『あけび』のつぼみが膨らんでいます。
もうすぐ、玄関に春に漂う香りがいいのです。
「ご存知ですか、あけびの香り・・・」
私どもは知っていますよ。
「食いしん坊のあなたへは 花のてんぷらも如何・・・」
24.小鉢にアケビの実をとまらせるのも難儀?
新大阪の街中で、やっと、小鉢にアケビをとまらせることが出来る様になりました。
あの、大阪学芸大の天王寺学舎からの帰り道、秋の植木市で大きな鉢に入ったあけびとの出会いが始まりでした。
「鉢に実を成らしたらプロだ!」
あの時のおばさんの声が、いまだに何故か聞こえてくる。
「なぁ―に、百姓の倅のオレに、出来ないことは無い!」
25.幼果から口割れ成熟まで約5ケ月要す。
24枚目の上右の写真は、
2022年05月13日幼果のあけび です。
この写真の右は、第55回豊中小品盆栽展10月31日展示作品『あけび』の写真です。
気が付いたことは、やはり、梅雨時に大きく果実が成長するので受粉時に有機リン肥料を与えると、「美味しいあけび」が収穫できると思いますね。
※小盆栽では小鉢のため、充分に果実に養分を補われないので摘果をします。
26.わが家の木通遍歴、約30年だね。
あの高い所に手が届かなかったアケビの果
手に触れ、千切って、簡単に種を飛ばせるのだ。
ほんのりと甘い味は、懐かしき香もするのだ。
街の真ん中で、
我家の、私どもの長い人生の友達なのだ。
27.木通のツルは【右巻き】です。
【ツルは右巻きか左巻きか?】
植物生理学会によると
その巻き付く方向は植物種により右巻きか左巻きのどちらかに遺伝的にきまっている。
親指を上に向け(伸びる方向)て、棒(支え)に4指巻いて右手なら右巻き、左手なら左巻きである。
結構、理解しにくい問題であった。
28.懐かしき味は甘くモグモグ、プッと出す。
2023/11/01
色々な交雑種です。
美味しいのは、やはり『紫水晶』の交雑種でした。
この雑種でジャンボもできます。
あけびも自然交配して、その地で生き残る知恵を持つ植物。
ヒトに食され共生し、移動する植物なのです。
「やはり、4枚葉を見つけたのは、小盆栽づくの中で最大の発見でした。」20231115清重明佳
鉢(3号鉢)にアケビをならしたらプロだ!
作成日:2018/03/19
「鉢(3号鉢)にアケビの実をならせたらプロだ。」と言われたのは、
1978年10月 勤務していた3年過ぎに、当時天王寺公園で秋の植木市。百姓経験のある私は、そのおばさんの一言に引っかかって当時、3000円もするアケビを購入した。田舎の懐かしい匂いがした。でも、翌年も翌年も、新大阪の街で実はならなかった。