1.穂木と台木
2022/03/12
安価な苗同士です(2つで500~600円ぐらい)。穂木の挿し木幾年月は当然貧弱です。台木の方は約1年養成して接木に使えそうな太さになりました。
根の状態がよくわかりませんが、とりあえず接木をやってみることにしました。
2.根鉢の状態
2022/03/12
穂木と台木を鉢から抜いてみました。挿し木の穂木はツバキなので根が貧弱ですが、サザンカはこの1年で根がしっかりしてきました。これなら台木としても十分使えそうです。
3.サザンカとツバキの根の比較
2022/03/12
ツバキは接木の方がいい!挿し木は大成しない!と言われ、私もその信者となっているのは、この写真がすべてを物語っています。
根の質が明らかに違います。サザンカの方が強健なのは明らかです。一方、ツバキの根は細く密に伸びるため根詰まりが起こりやすく、根自体も水や栄養を吸収する部分が根の先端にしかないことから、サザンカと比べるとどうしても劣ります。
4.合わせ面の調整
2022/03/12
穂木は細いので、くさび形に切って台木とずれないように合わせ面を作ります。少しでも成功率を上げるために合わせ面は長くしています。
穂木の合わせ面を調整する際、削るところに節があるとナイフが引っかかって削りにくく、手を切る恐れもあるので注意です。接木ナイフを使う際の軍手着用は必須です。
写真ではわかりにくいですが、この台木も基部に枝があったので、台木が弱らないように枝を少し残しています。
5.合わせ面固定
2022/03/12
穂木と台木の合わせ面を結束バンドでしっかりと固定します。針金はすぐに食い込むのでお勧めしません。
この程度の太さの苗同士だと、お互いにしなってよく合うので固定は容易です。
逆に太い苗だと曲がりにくいので、面を調整する前にどうすればうまく面が合うかをよく考えておく必要があります。
6.テープ巻き
2022/03/12
細い苗同士だと巻くのは超簡単です。慣れは必要かもしれませんが、失敗するところではありません。
7.完成
2022/03/12
接ぐとそれっぽい苗木に見えます。
台木が思ったよりもしっかりしていたので、きっと活着するだろうと期待しています。
細い台木ほど長めに幹を残しておくことで台木枯れのリスクは低下します。幹部分の体積が台木の体力そのもののようです。
8.接木後1カ月経過
2022/04/17
接木1カ月後の様子です。
暖かくなってきたので新芽が動き出しました。1カ月経過したとはいえ春先の接木なのでまだ活着の兆しはありません。
GW以降に本格的に暖かくなってきたら変化があるかもしれません。
9.接木後2カ月経過
2022/05/14
接木2カ月後の様子です。
新梢は大きく伸びました。外観からは接木の成否はわかりません。
次の写真で活着部の確認を行います。
10.活着確認
2022/05/14
接木テープを取った状態です。活着面にしっかりとカルスが生成しています。これだけカルスができていたら活着は間違いありません。あとは結束バンドの食い込みに気をつけながら接合が強くなれば安心です。
とりあえず成功したと言えそうです。
11.接木後3カ月
2022/06/12
春に新梢が伸びて以来、外観上の変化はありませんが、接木テープの巻きなおしをしました。
するとわずか3カ月ですばらしく活着して穂木が太くなっていました!結束バンドがひどく食い込んでいたので即撤去。もう結束バンドは不要なので接木テープだけで巻きなおしです。
細めの台木だったので、3カ月でここまできれいに活着するとは予想外。これから穂木も大きく成長してくれると思います。
12.接木4カ月後
2022/07/09
穂木の急激な伸びこそありませんが、活着はより進んでおり結束バンドで締め上げられた部分も太ってきて成長は順調です。
暑さに強い品種であればこれからもうひと伸びするかもしれません。期待を込めて様子見ですね。
13.接木5カ月後
2022/08/08
接木5カ月がたちました。活着状況はもう盤石ですが新たな新梢の伸びはありません。台木がもともと細いものだったので、急激な成長を促すほどのものではなかったのだと思います。
特に心配はありませんが、今年の成長はここまでのような気がします。
14.接木6カ月後
2022/09/03
接木半年ですが、地上部に変化はありません。もう9月に入ったので新たな新梢発生はないと思います。
新たな成長は来年の春までお預けになると思います。
15.接木6カ月後(接木部分)
2022/09/03
地上部の変化はありませんでしたが、活着は着実に進んでいます。合わせ面はほぼ完全に結合しており、台木の断面もカルスで覆いつくされそうな勢いです。
もう接木テープは必要ないかもしれませんが、巻き直して冬までは保護します。
16.接木1年1カ月後
2023/04/22
接木後1年が過ぎました。苗が小さかったため初開花はお預けですが、新芽は順調に伸びており、接いだ部分も完全にカルスに覆われて、接木としては完成した形になります。
成長とともに台木との境目もなくなってくることでしょう。
さて、今年は初開花となるか、まずは蕾がどれほどつくのか楽しみです。
衝動買いの250円の「幾年月」ですが、挿し木苗のため力がなく、うまく咲き切りませんでした(表紙写真)。
挿し木苗の宿命ともいえますが、これを改善すべく、同じく安価なサザンカ苗(立寒)を使って接木しました。
うまくいけば安価同士で高級苗ができるかも。