園芸を楽しむうえで知っておきたいこと

私たちが園芸を楽しむうえで、知っておきたい基本知識を紹介します。
ルールや注意点を守り、正しい知識を得て、植物との暮らしを楽しみましょう。

※本ページに記載の法令や参考リンクなどの情報は、2021年6月時点のものです。

1.栽培が禁止されている植物があります

以下の植物は、許可のない栽培等が禁止されています。誤って栽培することのないように、十分に注意してください。

モルヒネを含むケシ、アツミゲシ、ハカマオニゲシ

モルヒネを含むケシ、アツミゲシの2種類は「あへん法」により、許可のない栽培・所持等が禁止されています。ハカマオニゲシは「麻薬及び向精神薬取締法」により、許可のない栽培・所持等が禁止されています。
見かけた場合や、庭に生えた場合は、速やかに保健所や警察へ通報する必要があります。

【参考外部サイト】
大麻・けしの見分け方 - 厚生労働省
不正なケシの見分け方 - 東京都健康安全研究センター

検疫を受けずに国外から持ち込んだ植物

国境を越えて病害虫が侵入・まん延するのを防ぐため、世界各国で植物検疫が実施されています。日本でも植物検疫制度があり、特別な手続きや許可のない場合は基本的に禁止されています。入国時に検査が必要な植物は、許可なく国内に持ち込まないようにしましょう。

【参考外部サイト】
植物防疫所ホームページ - 農林水産省

特定外来生物に指定されている植物

「外来生物法」で特定外来生物に指定されている植物は、生態系等への被害防止のため、許可のない栽培をはじめ、次の行為が禁止されています。
・栽培、保管及び運搬/輸入/野外へ植える及びまく/許可を受けていない者に対しての譲渡、引き渡し
特にオオキンケイギクやオオハンゴンソウ、ヤエザキハンゴンソウ(花笠菊)などは、特定外来生物と知らずに育ててしまうケースがあります。繁殖力が強く、在来の植物を駆逐してしまう恐れがあるので注意してください。

【参考外部サイト】
外来生物法の概要 - 環境省
特定外来生物に指定されている植物 - 環境省
特定外来生物 同定マニュアル(植物) - 環境省
オオハンゴンソウ等の見分け方(札幌市)

※環境省や各自治体などから注意喚起が出されている植物
特定外来生物に指定されておらず、栽培自体が禁止されている植物でなくても、繁殖力が強く、在来植物の生育に影響を与える可能性がある外来植物があります。
環境省や各自治体などから注意喚起が出されている植物は、安易に捨てたり、広げたりしないよう、十分注意を行ってください。

【参考外部サイト】
生態系被害防止外来種リスト - 環境省
ナガミヒナゲシにご注意ください - 埼玉県戸田市
アメリカオニアザミにご注意ください - 千葉県船橋市
帰化アサガオ類に気をつけましょう! - 全国農業改良普及支援協会

*「みんなの趣味の園芸」では、法律で栽培が禁止されている植物の投稿(写真・栽培情報等)を禁止しております。注意喚起目的の場合も、事実関係を確認することができないため、一律に禁止としておりますので、ご了承ください。

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2.扱いに注意が必要な有毒植物があります

植物の中には、人体に有毒な成分や刺激成分を持つ植物があります。初めて扱う植物の場合は、有毒性について調べる、ラベルの表記をよく読むなどし、むやみに恐れず、正しい知識を持って、園芸を楽しみましょう。
また野山での山菜取りにおいて、有毒植物の誤食による中毒事故が毎年発生しています。食べられるかどうか確実に判断できない植物を、絶対に採らない、食べない、人にすすめないようにしてください。

●こちらも参考に
植物の化学成分とは何だろう? 植物が生きるために備えているもの >

事故を防ぐためには

●切り口から出る液などに触ると、皮膚がかぶれたり、刺激痛を起こしたりするものがあります。それらの植物を扱う際には、手袋をして作業をするなどして、注意しましょう。
例)ミルクブッシュユーフォルビアヤトロファボリジプリムライソトマキョウチクトウディフェンバキアタンジーなど
●食用植物と観賞用の植物は区画を分けて植えるとよいでしょう。
●有毒植物やその球根は子供やペットが触れない場所で保管しましょう。
●山菜取りの際は、専門家の指導で、正しい知識や見分け方を習得し、食べられるか分からない山菜を食べないようにしましょう。採取する時は、他の植物が混入しないように十分注意してください。

以下のページでは、触るとかぶれたり、誤って食べると中毒症状を起こしたりする化学成分を含む植物の一例を紹介しています。植物が身を守るための化学成分が、人間にとっては有害になる場合があることを、正しく理解しておきましょう。

▼こちらもあわせてお読みください
植物の化学成分とは何だろう? 植物が生きるために備えているもの >

【参考外部サイト】
自然毒のリスクプロファイル - 厚生労働省
間違えやすい有毒植物 - 東京都福祉保健局
山菜と間違いやすい有毒植物の見分け方 - 東京都健康安全研究センター 東京都薬用植物園

*「みんなの趣味の園芸」では、人体への危害を及ぼす可能性やトラブルのおそれがある投稿は、事前の予告なく削除する場合がありますので、ご了承ください。投稿欄では、食用植物についての質問や回答を、安易に行わないようにしてください。トラブルはご自身の責任となり、当サイトでは責任を負うことができませんのでご注意ください。

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3.規制や保護が行われている植物があります

絶滅のおそれがある植物は、国際条約や国内の法律によって取り扱いが規制されていたり、保護が行われています。違法に取引されているものを知らずに購入してしまったり、採取などを行うことがないよう、注意してください。
また、盗掘防止の観点から、希少植物の生育場所を特定できる情報を周知したり、インターネット上に投稿しないようにしてください。

「ワシントン条約」で保護されている植物

「ワシントン条約」は、野生動植物が国際取引によって過度に利用されるのを防ぐため、 国際協力によって種を保護するためにできた条約です。正式名称は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」で、一般には、ワシントン条約と呼ばれたり、英語の頭文字をとってCITES(サイテス)と呼ばれています。
附属書Ⅰ、附属書Ⅱ、附属書Ⅲがあり、基本的に附属書Ⅰに記載されている種については輸出入が禁止されています(特例を除く)が、附属書Ⅱ、Ⅲに記載されている種は必要な手続きを行えば、輸入が可能です。
植物のなかでも特に多肉植物・サボテンには、ワシントン条約に基づいて、現在、国際間の輸出入が制限されているものがあります。なお、附属書Ⅰに記載されている対象植物でも正規に流通している場合があります。これらは、1980年、ワシントン条約が発効するよりも前に日本国内に輸入されたもの、それらの種子などから繁殖したもの、あるいは条約締約国での輸出許可証および国内での輸入承認手続き類が取れているものになります。

【参考外部サイト】
ワシントン条約(CITES)- 経済産業省
ワシントン条約 税関 - 財務省
ワシントン条約について - トラフィックイーストジャパン

「種の保存法」で保護されている植物

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称「種の保存法」)で扱われている国内希少野生動植物は、捕獲や、販売目的のための陳列・広告、譲渡、輸出入が禁止されています。また国際希少野生動植物は、販売目的のための陳列・広告が禁止され、また例外的に環境大臣の承認がない限り、譲渡や輸出入は禁止されています。

【参考外部サイト】
希少な野生生物を守る「種の保存法」- 政府広報オンライン
種の保存法の概要 - 環境省

*「みんなの趣味の園芸」では、規制や保護が行われている植物の生育場所を特定できる投稿を禁止しております。注意喚起目的の場合も、事実関係を確認することができないため、一律に禁止としておりますので、ご了承ください。

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4.野生植物や自然公園の植物を無断で持ち帰らない

自然保護の目的などから、植物の採取に関してはさまざまな法律があります。無断採取などは、処罰の対象となる場合がありますので、十分に注意してください。
自然の中で生育している植物は、折ったり、掘り採ったりせずに、自然の風景のなかで観賞するようにしましょう。記念に1本だけ、という気持ちでも、自然に影響を及ぼし、取り返しのつかない結果を引き起こす可能性があります。
※法律で規制されていない場合でも、公共の施設に生育している植物を採取する行為は、一般的に管理者の許可が必要になることがあります。モラルを守って無断採取などはしないようにしましょう。

植物の採取に関するさまざまな法律

以下の法律等で規制されている行為は、処罰の対象となります。

●「自然公園法」「県立自然公園条例」:国立公園、国定公園、県立自然公園では、植物の損傷、採取が規制されています。
●「自然環境保全法」「自然環境保全条例」:国や県指定の自然環境保全地域、野生動植物保護地区では、指定された植物の損傷、採取が規制されています。
●「森林法」:森林において高山植物等を窃取した者は森林窃盗として罰せられます。
●「種の保存法」:アツモリソウなどの希少種が指定され、損傷、採取、譲渡が規制されています。
●「都市公園法」「都市公園条例」:国が管理する都市公園では植物採取や伐採は禁止されています。地方自治体が管理する都市公園でも、ほとんどが条例によって植物採取が禁止されています。

【参考外部サイト】
自然公園利用のマナー - 青森県庁
山野草の盗掘防止について - 愛媛県
希少野生動植物(高山蝶や山野草など)の捕獲・採取は禁止されています - 長野県

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5.「登録品種をふやして売る」「肥料の無断販売」は違法です

種苗登録されている植物をふやして販売したり、届け出を行わずに無許可で肥料を販売する行為は法令違反になります。インターネットサービスを通じて個人でも気軽に植物を売買する機会が増えています。法律に触れる行為を行わないように、確認を行っておきましょう。
ネットオークションやフリマサービス、直売所などを利用する際には、法令違反の疑いのある商品を購入しないよう注意してください。

登録品種をふやして売ったり、譲渡してはいけない

植物には、「種苗法」で保護されている登録品種があります。登録品種は、有償・無償を問わず、他の人への譲渡や販売、譲渡を目的とした栽培や増殖、海外への持ち出しなどの行為が禁止されています。
登録品種には開発した人の権利が及んでいます。例えば、登録品種のアジサイやバラの枝、さし穂などを、無許可でフリマサービスに出品する行為などは違法になります。
2021年に施行された改正種苗法では、登録品種には、PVPというマークを表示することが義務化されました。マークのついている品種は、個人の庭や花壇で楽しむようにしましょう。

【参考外部サイト】
品種登録ホームページ - 農林水産省
品種登録データ検索 - 農林水産省
家庭菜園利用者向け 種苗法改正のポイント(パンフレット) - 農林水産省

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6.薬剤の使用時はラベルをよく読み使用方法を守りましょう

病害虫や雑草防除などを目的に、様々な家庭園芸用の薬剤が販売されています。薬剤を使用する際は、必ずラベルをよく読み、安全、適正に使いましょう。
薬剤は、使用できる植物と防除の対象となる病害虫の組み合わせ、使用濃度、処理(散布)量、1回の栽培期間に使用できる回数、使用時期(使用可能な収穫前日数)などの定められた条件でのみ使用が認められているので、これに従って使用してください。

認められた使用法以外での薬剤使用や、農薬として登録されている薬剤および農林水産大臣及び環境大臣が指定する特定農薬以外を、農薬として使用することは違法です。
農薬として使用できる薬剤は、農薬取締法などの法令により規制されており、農薬使用者すべてに使用基準の遵守を明確に義務づけられています。法令に違反する薬剤を農薬として製造(加工)、輸入、販売、使用すると、刑事罰の対象になる場合があるのでご注意ください。農薬として登録されている薬剤には、容器のラベルや包装に農薬の登録番号、適用病害虫の範囲、使用方法など規定事項が記載されているので、必ずよく読み、使用方法を守りましょう。

薬剤散布時の注意点

・使用する前に、目的、方法、対象の病害虫・雑草および植物、場所を明確にする。
・ラベルの内容をよく読み、適用のある作物以外には使わない。
・ラベルにある使用上の注意事項、適用表をみて薬剤調整をする。使用する分だけ希釈する。
・体調がすぐれない時などには散布しない。
・風が強い時、雨が降ることが予想されるときには散布しない。
・風向きなどに注意して周辺の人、対象以外の植物にかからないようにする。大量に散布する際は、近所に連絡してから行う。
・子供やペットが散布区域に入らないように注意する。
・室内の植物は外に出して散布する。
・長袖の上着、めがね、農薬用マスク、帽子、ゴム手袋、長靴などを着用する。
・散布後は、手足、顔を洗って、うがいをする。汚れた衣服は洗濯をする。

※その他にもラベルに記載されている注意点があれば、それに従い使用してください。使用にあたり不明な点があれば、販売店や発売元、製造元などに確認しましょう。

【参考外部サイト】
農薬登録情報提供システム - 農林水産省
農薬について知りたい方へ - 農林水産省
特定防除資材(特定農薬)について - 農林水産省
農薬取締法について - 農林水産省
薬剤に関するQ&A - 住友化学園芸 eグリーンコミュニケーション
農薬について - アース製薬
薬剤の使用についての注意事項 - サカタのタネ

*「みんなの趣味の園芸」で薬剤に関する投稿や相談を行う際は、法令等に違反しないようご注意ください。ラベルをよく読み、適切な使用方法が守られた内容になっているか確認のうえ、投稿してください。違法な無登録農薬等の製造(加工)、輸入、販売、使用に関わる投稿は禁止しております。また法令に違反する行為を示すおそれがある投稿は、事前の予告なく削除する場合がありますので、ご了承ください。

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7.土の処分には注意が必要です

土は、多くの自治体で一般ゴミとして出すことができず、処分方法が各自治体によって異なります。ゴミ回収では処分できないケースもありますので、お住まいの自治体のルールを確認しましょう。

用土を処分する方法

用土を処分する方法としては、次のようなものがあります。

・庭にまくなどして自家処理する
・リサイクルして再活用する
・回収サービスを行っている業者に依頼する
・土を購入した店に問い合わせてみる
※土を購入すると不要な土を回収するサービスを行っている園芸店やホームセンターなどがあります。ただし、引き取りサービスを行っているお店は限られており、店舗によっても対応が異なる場合があるので、新しく土を購入する前に問い合わせみるとよいでしょう。

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