第4回 アグラオネマ…熱帯雨林のトリコロール ― 今、熱い植物アーカイブ
アグラオネマは比較的手に入りやすい、ポピュラーな観葉植物だ。名前を認知していなくても、映画「レオン」で主人公が育てていた植物(*1)、といわれれば「ああ、あれね」と思う人もいるかもしれない。
そのアグラオネマに熱い視線を送る人がふえている。なかでも注目を集めているのは、アグラオネマ・ピクタムの「トリカラー」と呼ばれるもの。
「トリカラー」とは「三色」という意味だが、アグラオネマの場合は葉の色が通常の緑から白い斑(*2)までの3段階程度に分かれたもの。さながらジャングルの景観にとけ込むカモフラージュ柄のようだが、そういうわけでもないようだ。
「白い斑が入った葉は、薄暗いジャングルの中ではカモフラージュどころか、むしろよく目立ちます。もしかしたら、薄暗い環境で目立つことで周囲の虫を集め、花粉の媒介をしてもらうためなのかもしれませんね」
そう語るのは大阪を拠点に熱帯雨林植物の採集、輸入、卸売りを手がける長谷圭祐さん。
「地域によって斑の入り方が異なるのも、そこに住む昆虫の違いなどによるのかも」。
*1 アグラオネマ・マランティフォリウムの‘カーティシー’という品種であるといわれている。
*2 斑=ふ。植物の葉に入る、地色と異なる色の模様のこと。
長谷圭祐(はせ・けいすけ)
植物採集家。大阪を拠点に活動。熱狂的な人気を誇る植物イベント「ボーダーブレイク」の主宰も務める。
撮影/田中雅也 編集/土屋 悟
『NHK趣味の園芸』テキスト大好評連載「今、熱い植物」アーカイブ
この記事は『趣味の園芸』2017年7月号「今、熱い植物」を編集、抜粋したものです。
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