第16回 わが家のジャングル…パルダリウム ― 今、熱い植物アーカイブ
以前この連載でもコケをガラスの容器で育てるテラリウムを紹介したことがあるが(第6回 コケで感じる森の空気)、最近、それと似た言葉でパルダリウムという名前を見かけることがふえている。パルダリウムの定義は諸説あるが、その名がついたものには、やや湿度の高い環境を好む植物が植えられている。
「私のまわりでパルダリウムと称したものをつくる人が出始めたころには、『現地ごっこ』なんて呼び方もしてましたね」
そう語るのは、国内のパルダリウム草創期から今に至るまでを知る古賀篤さん。観賞用のエビの繁殖を行うかたわら、雨林*の植物に興味をもつようになり、自身の店で販売するだけでなく、自ら現地に赴いて雨林の植生なども観察している人物だ。
「容器の中に植物を植え込んだものが広くテラリウムと呼ばれているかと思いますが、そのなかで雨林の植生を再現しているものがパルダリウムだと捉えています。一種のジオラマのようなものですね」
水槽の底に用土を入れて植物を植えるだけでなく、流木を入れてつる性の植物を絡ませたり、壁面をつくってシダを着生させることもよく行われる。
こうした変化をつけることで、水槽の中によりリアルな雨林の情景を表現できるのだ。
パルダリウムに使われる植物の多くは雨林の下草。巨大な樹木や、より大きな草に上空を覆われた、暗い林床でも育つ植物たちだ。
*1 雨林=年間降水量が多い地域でできる森林のこと。温帯~熱帯にあり、広義では霧に包まれることが多い雲霧林も含む
古賀 篤(こが・あつし)
熱帯水草・雨林植物店主。福岡県で10年ほど前から雨林植物も扱うようになり、同時期よりパルダリウム製作を手がける。
撮影/田中雅也 編集/土屋 悟 撮影協力/Heat Wave
『NHK趣味の園芸』テキスト大好評連載「今、熱い植物」アーカイブ
この記事は『趣味の園芸』2018年7月号「今、熱い植物」を編集、抜粋したものです。
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