第19回 ケープバルブの多様性を楽しむ ― 今、熱い植物アーカイブ
多肉植物の3分の1の種類が自生しているといわれる南アフリカは、変わった植物の宝庫。ケープバルブと呼ばれる球根植物もそうした植物の一つだ。
「ケープとは南アフリカ共和国の旧ケープ州のことで、狭義にはその地域で見られる球根植物をケープバルブと呼びます。しかし、南アフリカとその周辺の球根植物を、広くそのように呼ぶこともあります」
そう語る藤川史雄さんは、ティランジアなどのブロメリア科植物や多肉植物、ケープバルブを扱うナーサリーの代表。
「ケープバルブのおもしろさは、なんといってもその奇妙な草姿です」
藤川さんの温室ではバネのようならせんを描く葉をもつものや針金のような細い葉をもつもの、幅広の葉をぺったりと地面につけて広がるものなど、多様な植物が栽培されている。
「同じ地域に自生している近縁種であっても、見た目がまったく違うということもあります。『なぜそんな姿になっていったんだろう?』と、思いをはせながら試行錯誤しながら育てるのも楽しいんですよね」
ケープバルブの多くは、雨季以外は極度に乾燥し日ざしが強い環境に生育している。奇妙な姿は、そのような環境で生き延び、繁殖するために長い時間をかけて進化してきた結果。
「雨が多く湿度も高い日本で、自生地で育っていたときの本来の姿に育てようと思ったら、意識的に環境を整える必要があります」
藤川史雄(ふじかわ・ふみお)
園芸家。神奈川県で、ブロメリア科植物や多肉植物の栽培を行うスピーシーズナーサリーを経営。
撮影/田中雅也 編集/土屋 悟 取材協力/スピーシーズナーサリー
『NHK趣味の園芸』テキスト大好評連載「今、熱い植物」アーカイブ
この記事は『趣味の園芸』2018年10月号「今、熱い植物」を編集、抜粋したものです。
「多肉植物・サボテン図鑑」で多肉植物としても楽しまれている球根植物を見てみよう!(随時追加更新中)
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