今、地方野菜・在来作物が面白い

2.山形・庄内地方の野菜たち

山形・庄内地方の野菜たち

今も続く焼き畑農法

 突然ですが、いまだに焼き畑で作られる野菜があるって、ご存じですか? 東南アジアやインドのことじゃないかって? いいえ、違います。日本国内の話です。
 その一つ、山形県鶴岡市の山間部には、伝統的に焼き畑で作られるカブがあります。木を伐採したあとの急斜面に火を放ち、切り株や下草を焼いてからタネをまくと、肥料を施すこともなくおいしいカブが収穫できるのです。温海(あつみ)カブや藤沢カブ、田川カブなど種類もさまざまで、なかでも温海カブは350年前の記録にも残るほど古い歴史を誇ります。ただし、いずれも生産量が限られるので地域の人々が食べるだけ。文字どおりの地方野菜です。
今でも山形県鶴岡市の山間部では、焼き畑農法によるカブの栽培が行われている
今でも山形県鶴岡市の山間部では、焼き畑農法によるカブの栽培が行われている

おいしい体験の共有

 鶴岡市を含む山形県の庄内地方は食材豊富なことから「食の都」と呼ばれます。野菜では、だだちゃ豆や焼き畑で作られるカブのほかにも、キュウリ(外内島キュウリ)、ネギ(平田赤ネギ)、ナス(民田ナス)、タカナ(山形青菜)など、特徴的な品種が豊富にあります。
 ところが他の地域同様、栽培の難しさや後継者不足といった問題で、こうした野菜の存続が危ぶまれています。そこに楔を打ち込んだのが、全国的にその名を知られるイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフ。地元鶴岡市生まれのシェフは、庄内の食材を使ってこの地方ならではのイタリアンを作るという目標を掲げて、日本全国からファンが集う店に育て上げました。アル・ケッチァーノのメニューには地元の野菜がたくさん登場します。食べる人がふえれば、その野菜を栽培する人もふえる可能性があります。人は胃袋で惚れれば浮気はしないもの(笑)。庄内地方に限らず、こうした「おいしい体験の共有」が広がれば、在来作物は見直されるかもしれません。
庄内野菜にスポットを当て、故郷の山形でイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」を営む奥田政行シェフ
庄内野菜にスポットを当て、故郷の山形でイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」を営む奥田政行シェフ
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映画公開情報

山形国際ドキュメンタリー映画祭2011正式出品
香港国際映画祭2012正式出品
映画「よみがえりのレシピ」(渡辺智史監督作品)

おいしくて、そして心に効くドキュメンタリー映画

在来作物と種を守り継ぐ人々の物語です。


映画「よみがえりのレシピ」製作委員会公式HP
http://www.y-recipe.net/

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映画「よみがえりのレシピ」渡辺智史監督インタビュー掲載!

山形県鶴岡市生まれ。東北芸術工科大学を経て、映画制作会社で複数のドキュメンタリー映画の制作に携わった渡辺監督が語る「この映画を撮ったわけ」。作品誕生のきっかけから生産者の素顔、おすすめの庄内野菜まで縦横無尽に語ってくれました。
『やさいの時間』テキストページはこちら
渡辺智史監督

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