今、地方野菜・在来作物が面白い

3.映画「よみがえりのレシピ」

映画「よみがえりのレシピ」

在来作物の生産者たちはイケメンだった

 昨年秋、そんな庄内地方の在来作物の現状を追ったドキュメンタリー映画ができました。「よみがえりのレシピ」と題されたその作品にはアル・ケッチァーノの奥田シェフも登場し、おいしそうな野菜料理がスクリーンを彩ります。
 映画の主役はその料理の元になっている野菜を作る生産者たち。だだちゃ豆の中でも特に味がよいとされる「白山(しらやま)だだちゃ豆」を作る富樫さんは、翌年まくタネを指先で一つひとつ選別しながら、昔の人がいかにタネを大事にしていたかを語ります。一時期作り手が途絶えてしまった藤沢カブ(焼き畑で育つカブの一つ)の栽培を始めて20年以上になる後藤さんは、まだ煙の消えない焼き畑に立ち、カブへの強いこだわりを吐露します。ほかにも映画に登場する農家は、一家言をもつ野菜作りのプロばかり。どの顔にも今の日本では天然記念物となってしまった「信念」が宿り、晴れ晴れとした笑顔もまた魅力です。ハッキリ言って、老いも若きも男も女も、みんなイケメンなのです。
翌年まくためのタネを指先で一つ一つ選別する富樫さんも、この映画の登場人物の一人
翌年まくためのタネを指先で一つ一つ選別する富樫さんも、この映画の登場人物の一人
焼き畑で栽培する藤沢カブの生産者後藤さん
焼き畑で栽培する藤沢カブの生産者後藤さん

野菜を通して知る、食べることの原点

 ところで、映画に出てくる在来作物は、F1品種とは栽培のサイクルが異なります。難しい話は省きますが、F1品種の野菜は、毎年タネを買って育てなければなりません。今年育てた野菜の収穫が終わったら、タネをとって来年まけばいいのでは? と思うかもしれませんが、そのタネでは必ずしもうまく育ちません。一方、在来作物の場合、タネをとってまけば翌年もきちんと育ちます。生産者たちは今年育てた野菜のタネを自分たちでとって大事に保管し、翌年まいて育てます。
 タネをとるという行為には、鋭い観察力や経験に裏打ちされた見極め、味のよしあしを見分ける舌、自分のこだわりなどが反映されます。それが野菜の作り手たちの誇りを生み出し、信念と笑顔=イケメンを作るのでしょう。ということで、今すぐイケメンになりたい人は農業を始めればいいのでしょうが(笑)、そんな大変なことをやる自信がない人(筆者はこっち)は、イケメンたちがどんな思いを胸に野菜を作っているのか、この映画でその核心に触れてみるのも手です。食べることの原点は、なるほどこういうことだったのか! と合点がいくこと請け合いです。

文 加藤雅也(『やさいの時間』編集長)
庄内野菜の農家は、みな信念をもったイケメン揃い
庄内野菜の農家は、みな信念をもったイケメン揃い
子どもの頃から地元の野菜に触れることで、愛着が生まれ、その味も受け継がれていく
子どもの頃から地元の野菜に触れることで、愛着が生まれ、その味も受け継がれていく
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映画公開情報

山形国際ドキュメンタリー映画祭2011正式出品
香港国際映画祭2012正式出品
映画「よみがえりのレシピ」(渡辺智史監督作品)

おいしくて、そして心に効くドキュメンタリー映画

在来作物と種を守り継ぐ人々の物語です。


映画「よみがえりのレシピ」製作委員会公式HP
http://www.y-recipe.net/

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映画「よみがえりのレシピ」渡辺智史監督インタビュー掲載!

山形県鶴岡市生まれ。東北芸術工科大学を経て、映画制作会社で複数のドキュメンタリー映画の制作に携わった渡辺監督が語る「この映画を撮ったわけ」。作品誕生のきっかけから生産者の素顔、おすすめの庄内野菜まで縦横無尽に語ってくれました。
『やさいの時間』テキストページはこちら
渡辺智史監督

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