善林六朗[園芸研究家]
イラガは、幼虫が庭木や果樹などの樹木の葉を食害します。成虫はガで、葉に産卵し、ふ化した幼虫は周辺の葉を食べて成長します。幼虫はとげの生えた突起が体中にあり、独特の形をしています。成熟した幼虫は秋に繭(まゆ)をつくり、その中で越冬して春に蛹(さなぎ)になります。そして、初夏に成虫となって繭から出ます。
繭の形や模様は、イラガの種類によってやや異なり、卵形や扁平な楕円形などをしていて、樹木の幹や枝の分かれ目などにつくられます。
若い幼虫は葉裏から表皮を残して食べるため、食害部分は白い斑点や白く透けた状態に見えます。成長した幼虫は葉全体を食べるので、多く発生すると葉がほとんどなくなり、樹木の生育が悪くなります。そのため、果樹では品質が低下し収穫量も減ります。庭木では観賞価値も下がります。
イラガには多くの種類があります。代表的な種類は、黄緑色の体の背中に、紫褐色のひょうたん形の模様があるイラガ、青色の斑点が連なっているヒロへリアオイラガなどです。イラガは7月から8月ごろに1回、ヒロへリアオイラガは6月から7月ごろと8月から9月ごろの2回、発生します。ともに幼虫のとげには毒があり、皮膚に触れると激しい痛みを感じるので、注意が大切です。
苗木を購入するときは、繭がついていないか注意します。幼虫がいる初夏から秋は葉の食害痕の発生に注意し、見つけしだい幼虫がいる葉や枝ごと切り取ってすぐに処分します。捕殺作業の際はゴム手袋をはめるなどして、素手では幼虫に絶対触れないようにします。冬は、枝や幹についた繭を見つけて取り除きます。適用のある薬剤がある植物で、薬剤を使う場合は、幼虫が小さいうちに薬液を散布します。