バラの世界を数字から考えてみる~99.98%に支えられた新花
数々のバラの名花を世界に送り出した鈴木省三さんの著書 『薔薇と生きて~自らが語る「薔薇の生涯」103人が綴る「Mr.Rose」』 (成星出版)の「序―バラに添い寝をしても」に、次のような記述があります。
「採取され蒔かれる種子は五万粒くらい。そうやって発芽したもの四万くらいの中から毎年選抜を繰り返し、十年かけて三万九九九〇ほどを捨ててしまう。つまり十年後にはわずか十種だけが残るというわけである。」
鈴木さんをMr.Roseたらしめた営為を満載した書籍の冒頭の、さらりと記された文章だけに、読了後、忘れてしまいそうです。10/50,000つまり99.98%という数字は、目指すバラを生み出すとき、いかに膨大なエネルギーと時間を費やしているかを表しています。
ところで、「New Roses SPECIAL EDITION for 2013 Vol.12 バラと遊ぶつくる~最新品種・人気品種の性質と栽培」(産經メディックス)にも、バラ・ブリーダーの育種現場を垣間見るデータが載っています。(具体的な状況を想像すると気が遠くなりそうです。)
<ブリーダー名/播種数/新品種発表数/発表までの期間>
寺西菊雄/3,000粒/5品種/5~6年
河本バラ園/50,000粒/3品種/4年
ペレニアル/平均20,000粒/3~4品種/5年
バラの家/20,000粒/3~4品種/6年
デビッド・オースチン・ロージズ/250,000粒/3~6品種/8年
デルバール社/150,000粒/2~5品種/6~7年
ドリュ社/8,000~10,000粒/1~2品種/9~10年
いよいよバラの5月。西武プリンスドームでは 「国際バラとガーデニングショウ2015」が開催され、育種家の夢と情熱が詰まったバラが結集します。99.98%の世界を感じながら、一堂に会するバラの名花を鑑賞してみようと思います。
会期:5月12日(火)~17日(日)
会場:西武プリンスドーム
追伸 「国際バラとガーデニングショウ2015」のテーマは 「デリシャスガーデン」。リビングとしてのローズガーデンが提案されます。さらに「New Rose」編集長の玉置一裕さんによる「新しいバラの風」や「バラオヤジの腕自慢」、恵泉女学園大学スプリングフェスティバルの呼び物「メイポールダンス」等、内容盛り沢山です。
(元『趣味の園芸』編集長 原田)
--------------------------------------------------------------
【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』テキスト元編集長の原田による園芸エッセイです。