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バラ「3-35-40」を守れ!~名花'ピース'の第2次世界大戦

バラ「3-35-40」を守れ!~名花'ピース'の第2次世界大戦
バラ‘ピース’。1945年5月8日、後に国連となる組織創立のための会議が開かれた際、テーブルにアメリカ・バラ会からのメッセージと‘ピース’の花が飾られたという

今年は戦後70年。園芸の世界ではバラ'ピース'発表70年です。

 

戦後世界に明るい話題をもたらした'ピース'。1976年の世界ばら会議オックスフォード大会で選出され、「栄誉の殿堂バラ」第1号になりました。その'ピース'について、世界ばら会連合(World Federation of Rose Societies) ホームページ「栄誉の殿堂バラ(Rose Hall of Fame)」を見ると、他に3つの名前が記されています。果たして、'ピース'をめぐる4つの名前とは!?

 

『別冊NHK趣味の園芸 バラ大図鑑』に掲載された世界ばら会連合前副会長、小川晶さんによる「栄誉の殿堂入りのバラ」と、フランス・メイアン社日本総代理店の京成バラ園芸の資料を重ね合わせると(ともに'ピース'作出当時の事情がわかります)、4つの名前の背景と戦火のなかで一株のバラを守ろうとした園芸家たちの情熱が浮かび上がってきます――。

 

メイアン社4代目フランシス・メイアンによって作出された 'ピース'。1935年に交配した種子から選抜され、「試作番号3-35-40」と呼ばれていたこのバラは、素晴らしい花や株姿などから1939年頃にはメイアン社を訪れる愛好家を驚かせる存在でした。

 

第2次世界大戦が勃発し、1939年、ドイツはフランスに侵攻します。バラ栽培が困難な状況になり、フランシス・メイアンはアメリカのパートナー、ロバート・パイルに届けるべく、母国に戻るアメリカ領事にバラ「3-35-40」を託しました。そして終戦。フランスは解放され、フランシス・メイアンのもとには友人からイタリアとドイツにもバラ「3-35-40」が無事に届けられていたという吉報がもたらされました。

 

バラ「3-35-40」はイタリアでは「ジョイア(喜び)」、ドイツでは「グロリア・ダイ(神の栄光)」、フランスではフランシス・メイアンの母親の名前から 「マダム・アントワーヌ・メイアン」と名付けられました。そして「ピース(平和)」と命名され、アメリカから発表されたのが1945年4月29日、ベルリン陥落の日だったそうです。

 

 

追記

 

『Mr.Rose鈴木省三 僕のバラが咲いている』(成星出版)の鈴木省三自伝によると、日本での'ピース'初お目見えは1949(昭和24)年、横浜の貿易博覧会会場で開催された「第2回バラ展」でした。前年、銀座の資生堂ギャラリーで行った「第1回バラ展」を訪れたサンフランシスコ・バラ会の米軍将校からの提案がきっかけでした。「第2回バラ展」にあわせ、軍用機で'ピース'が輸送されてきたそうです。

 

取材協力:京成バラ園芸、NPOバラ文化研究所

 

 

(元『趣味の園芸』編集長 原田)

 

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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』テキスト元編集長の原田による園芸エッセイです。

バラ「3-35-40」を守れ!~名花'ピース'の第2次世界大戦
バラ文化研究所に所蔵される、鈴木省三直筆の「第2回バラ展」のポスター。1949年、横浜で開催された「第2回バラ展」が、バラ‘ピース’の日本初登場となった

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